1979年にカナダ・バンクーバー市で生まれたセヴァン・スズキは、世界中をキャンプしながらこれまでの人生を生きてきたといっても過言ではない。
セヴァンは9歳のときにECO(Environmental Children Organization)という小さなグループを立ち上げ、仲間の子どもたちと一緒に地球環境問題について学びあう活動をはじめた。彼らは多くのプロジェクトで成功をおさめ、1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロ市で開催された「地球環境サミット」に子ども代表を派遣する費用までも自分たちで工面してしまった。
リオ・サミットでの彼らの使命は、国の政治を動かす大人たちの行動あるいは非行動のすべてが地球に影響するということを、本人たちに気づかせること。彼らの目的は、12歳のセヴァンがサミット本会議で大人を圧倒するスピーチを披露し拍手喝采を浴びたことで、みごとに達成された。
リオ会議以来、セヴァンは世界中の学校や企業、また国際会議やミーティングに招かれ、講演をしてきた。彼女の活動に対し、UNEP(国連環境計画)は1993年に「グローバル500賞」を贈った。また教養テレビ番組でのホスト役やパネラーとしてもセヴァンはめざましく活躍し、彼女の姿はカナダやアメリカ、イギリスのブラウン管にたびたび登場した。
最近では、世界中で(日本でも)放映されている子供向けのテレビシリーズ「Suzuki's
Nature Quest」にもホスト役として出演している。一方、文筆面においても大いに才能を発揮し、多くの雑誌や新聞に環境問題に関する論文を執筆したほか、地球サミットでの体験をまとめた書籍『Tell
The World』も出版した。
1997年から2001年にかけては、「国連地球憲章」起草に委員の一人として携わり、地球上のあらゆる生命や資源に対する人間たちの行動指針や倫理を示すことに全力を注いだ。現在のセヴァンは、2002年8月に南アフリカ共和国・ヨハネスブルグ市で開催される、リオ・サミット10周年を記念した世界サミット(WSSD)参加に向け、積極的に活動している。
セヴァンは持続可能でない破壊型の森林伐採による脅威から森を守るため、カナダのブリティッシュ・コロンビア州やブラジルのアマゾン川流域の先住民族と一緒に活動してきた。カナダのハイダ民族、ヘイツック民族、ヌーチャーヌース民族からセヴァーンは民族名をもらうなど、彼らとの信頼関係を確実に築いている。
セヴァンの自然をこよなく愛する思いは、地球環境の未来について訴える情熱となり行動となる。2000年夏、彼女はミレニアムを記念して、女友達5人と自転車でカナダを横断する「パワーシフト2000」というクリーン・エア・キャンペーンを行った。このキャンペーンにはカナダ・トヨタ自動車がプリウスを提供してサポートしたことが話題となった。また2001年夏にはブラジル・アマゾンのシングー峡谷に2ヶ月間滞在し、専攻である生態学の学術調査を行った。
今年5月、米国コネチカット州イエール大学を卒業したセヴァン。環境活動における若者のリーダーとして、今後ますます国際的な場での活躍が期待される。
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