Subject: [fem-women2000 85] ESCAP会議、日本政府ブリーフィング
From: lalamaziwa <lalamaziwa@jca.apc.org>
Date: Sun, 31 Oct 1999 23:20:11 +0900
Seq: 85
29日、ESCAPハイレベル会合終了後に、政府代表団から今回の経緯について 日本語によるブリーフィングがありあました。 # 別途、25日昼に政府主催の昼食会があり、プリンスパレスホテル中華料理店で # 飲茶を呼ばれました。 以下、29日の政府ブリーフィングより。 1.外務省から 私は女性の関係は実際に担当してからまだ3ヶ月なので、わからないなりにどう いう流れだったかということを説明します。 まず、最初に今回事務局の方はどういう勧告案を作成するかという明確な方針が ないまま直前まで文書が完了せず、昨日の正午くらいに会議の勧告が出た。それ をもとに夕方に議論を始めようとしたところ、多くの国から全く議論をしていな いことが入っているとか、反映されていないことが多いということで、もう一回 事務局の方で作ることになった。 10時半から始まった公式協議では1ページ半の前文=プリアンブルのみを議論 することになったわけです。事務局が作成した原案はそもそもかなり問題の多い 60ページという検討できないシロモノだったので、我々JUSCANZの中で 作って日本から問題のあるところは削って、前文としての意味はそれほど付加価 値はないということにして、それを基にアメリカがドラフトすることにした。 米国の修正案のできがわるかったので、紛糾し、5時間までかかって合意ができ なかったという状況でした。今日は午前6時から7時間にわたって協議した。そ の過程ではいろいろあった。 日本の対応 事務局の準備が遅いということと、不慣れなので、事務局と議長に進め方を提案 して貢献することができたと思う。 具体的には、協議を始める際に、こういうことがあった。昨日の夜中に事務局が 提出した議題4と5のサマリーについては協議する時間もないし、協議するべき でないということを指摘した。ところが、今朝の会議で議長がこれは後で協議し ようということを言ったので、その後の協議の過程で「これはもはや協議しない。 事務局のテキストあるいは議長の作成したテキストという位置付けにしないとい けない」ということを指摘し、ほかの国の合意も得た上で、そいういうことを裏 で合意してこういう形になった。 勧告については、レコメンデーションという言葉の下に一文入っている。「今回 の協議の結果、各国はこういう活動をするようになった。こういうような提案を した」ということを書いてあるが、これは日本のアイデアだ。日本から「あれを 入れないと議論が非常に難しくなる。合意ということをやっている時間がない。」 ということを言って、日本の代表団からだしたわけです。アメリカは、単に我々 が言った通りに作って皆に相談して回っただけで、そもそもあれを作ろうと言っ たのは我々です。アメリカに小走りをさせたというわけです。 それから、議長に対してもその時々に、協議を長引かせるような対立のあるもの はすぐ協議の外に出して、「関係国の間で合意したものでなければ入れない」と いうことにしないと終わらないというアドバイスした。そのアドバイスに反する ような動きをするとその都度我々の方から指摘して、何とかしてまとめるように したわけです。 日本の代表団の表の発言ぶりについては、こういう時間的な圧力の中で如何に合 意をするのが効率的かという判断で必要最小限にとどめました。従って具体的に 行なった提案の数も本来もっと行ないたかったものもありましたが、あえて外に 出さなかったもこともありますし、発言の方も、すべきものが多くあったのです が、特に注意せず、とにかく採択されるのであればそれで良いという立場でいた ので、発言がなかったからと言って関心が無いというわけでは全くありません。 具体的な勧告案の中で日本が提案して入った項目は9項目あります。 (1) para 56 グローバリゼーションについて、多くの人がこれを経済的な側面のみからしか取 り上げて、しかもマイナスの面しか抽出しなかったが、我が方から情報流通、ネッ トワーク化の方向へ向かうことで女性にとって良い面があるということを指摘し た。また、これは経済だけに絞るべきものではなく、マイナスの面もしっかり書 く必要があるということになった。 (2) para 82 「農村の女性の地位の明確化」を提案し、取り入れられた (3) para 84 「女性の生産的資源へのアクセス」を提案し、取り入れられた (4) 人身売買についての国際条約の作成作業については日本提案があって、既存の作 業を更に強化することになった (5) 女性のエンパワーメントについては日本から更に追加で、統計の整備が重要であ ることを提案 (6) リプロダクティブヘルスと保険については、当初の勧告にはなにも入っていなか ったので,日本で事前に関係者に了解を得ていたのだが、日本が沢山提案してい るのであまり出さないでくれといわれていたのであえて出さなかった。 (7) para 99, para 93 セクハラの撤廃については、「学校」ということで提案したところ、「その他の 場所、それぞれの場所」ということで取り入れられた。 (8) para 94 暴力撤廃基金の活動強化ということが日本から提案して取り入れられた。 (9) para 106-2 学校、国際教育、生涯教育に、ジェンダーセンシティブな教育を取り入れること を提案して入った。 今回の日本の対応については、手続き面など、議長ほか関係国からも感謝すると いう言葉をもらっている。表ではそう目立ったことはしていないが、裏ではそう いう風に動いているわけです。 2.共同参画室から レポート作成の過程では、事前に意見をまとめる方向で関係省庁と動いていた。 総理府、文部、労働、厚生の関係者が参加し、多岐にわたる省庁と調整してきた。 オーバービューのところで、初日に言ったことだが、日本としては、北京会議後、 2000年プランなど作成して、2001年には機構整理も予定されている。それから関 係法令の改正に地道な努力をしている。また、国際的にもパートナーシップをし ている。NGOとも交流していることを報告した。 パネルでは、議題に応じて積極的に貢献する観点から発言した。顧問の目黒さん からも課題に対する視点という意味で助言を貰った。それから、1階に展示して いたパネルは各省庁の手作りで前日に皆で作成したもので、各国に日本の状況を 知らせる努力をした。 ちなみに「聞く会」を9日に開くということで、国内でも今回の成果を使いたい と思っている。 報告書については、確定版が届くのがいつになるか分からないが、届いてから可 及的速やかに仮訳をして提供したい。 3.アドバイザーから 昨日出てきたドラフトを見たときに、「これは何だ!」と思ったのですが、ご覧 になった方もいると思います。まとめ方が、我々がここで具体的に取り上げた議 題に沿ったものではなかったのが問題。3月の時に国連総長報告という形で出て きた線を使ってまとめられたものだった。これはおかしいということで、その後、 3−6時くらいに協議して、誰がそれをリクエストするかで手間取ったが、結果 として事務局に10ページ程度のものを頼むことにした。それを6時半にやった。 そこで、夕方のセッションでは協議できないので、前文だけで良いということに なった。そして、今朝のセッションは本質的な交渉内容ということで、結果的に は朝まで協議にすることになった。 そういう風に、放っておくと何も進まない状況があり、その辺、皆が苦労したが、 数カ国が一丸となって協力して作成した。私は代表ではないが,内容的には今ま での流れを分かっているので手伝うことにした。 Q.クロスカッティングというは、3月に出された柱だてですね。それと今回出 てきたテーマと必ずしも一致して入ない。その関連性がわからないので、どうい う経緯だったのかその流れを教えて欲しい。 A.CSWで出てきたドキュメントは、それが非常に confusing だ、12領域と どういう風に関連するのか枠組がわからないということになった。それは新しい テーマではなく、12のテーマを横断するような perspective だという話にがあ った。一旦あれはボツになったと思っていたが、ESCAPの会議に当たっては、どう いうテーマでやるかという専門家会議を4月の1日2日にかけてここで開いた。そ の専門家会議のレコメンデーションに沿って今回の会議のテーマが設定された。 我々のレコメンデーションをESCAPがどの程度評価するかということはまた 別立ての判断なので、テーマに関しては我々のレコメンデーションを出した。や り方についてもいろいろ意見を出したのだが、それは全く用いられなかったとい うことになった。 何故こういうものを出したかというと、この地域で何が重要か、それから12領 域について一つ一つまた取り上げることはあまり生産性がない。なぜなら、各国 の進捗状況等についてはアンケートでもう国連本部に行っている。ただそれを繰 り返すのではなくて、この地域に特に重要であるとみられるような状況に絞って、 そのテーマに沿って12領域が入ってくるような形で議論しようという形になっ た。従って、先に言ったように、我々がここで採択したアジェンダに沿ってまと めるべきだ、というリクエストがあったわけです。 Q.CSWで決まった柱立てが分かりにくいという話はあの場で出ていても、そ れがどう評価されていたかということは分からなかった。 A.事務局から出された文書は、どういう位置付けかは分からないが、あれが 『ドキュメント』として公式に出ていたものなのでそれを使おうとしているんじ ゃないかと強く思ったわけです。どういう今回始めて見て、「死んでない」と思 った。 Q. para 94 だが、UNIFEMのトラストファンド、アンド、ユニフェムと入 っているのは、どういう意味か? A.日本からの提案はトラストファンドの方が良いということで、これだけだっ たが、他の国がUNIFEMも入れたいということで、その指示に従って両方を 入れることになった。 Q.すると、その後に暴力に対することが書いてあるので、ならば経済的なエン パワーメントなどを一緒に入れるともっとUNIFEMが活きてくるのではない かと思うが?UNIFEMはバイオレンスばっかりやっているようなイメージに なる。 A.私は少なくともそう思いました。それで、UNIFEMはバイオレンスだけ をやっているわけではないし、バイオレンスについてもプロジェクトを持ってい るけれども、基本的にはこのファンドを通してやっているのでそれだけで良いと いうことを説明をしました。だけど、ここはバイオレンスについてのパラグラフ なのでこういう形になった。