Subject: [E] 武力紛争分科会報告 (09.01)
From: lalamaziwa <lalamaziwa@jca.apc.org>
Date: Fri, 10 Sep 1999 20:48:47 +0900
Seq: 39

(代理投稿)

12日の報告会は明日からマニラなので参加できず、申しわけありません。
とりあえず、武力紛争分科会についてメモ的な報告を送ります。

最終日の「21世紀の女性運動」についてのパネルのあと、ナショナリズムとフェ
ミニズムの問題で討論を続けたいと、アメリア(フィジー)の提案で、ニガート
(パキスタン)、バネッサ(APDC)と私の4人で企画することになりました。日本
の右傾化の問題とも関連するので、関心のある方は私に連絡してください。

   松井やより

Forwarded by Yayori Matsui <yayori@jca.apc.org>
---------------- Original message follows ----------------
 From: Yayori Matsui <yayori@jca.apc.org>
 To: アジア女性資料センター <ajwrc@jca.ax.apc.org>
 Date: Thu, 09 Sep 1999 22:19:29 +0900
 Subject: NGOシンポ武力紛争分科会報告
--

NGO シンポジウム報告「武力紛争と女性」分科会報告 9月1日

 「武力紛争と女性分科会」には日本から、VAWW-NETJapan( 戦争と女性への暴力
日本ネットワーク)松井やより、沖縄から「基地・軍隊を許さない行動する女たち
の会」高里鈴代、新日本婦人の会中本奈々江の3人が出席。
 
この分科会には現在さまざまな紛争が起こっている地域の女性たち(一部は男性)
が40人ほどが加し、シンハラとタミールの間の内戦が30年も続いているスリ
ランカの女性二人の司会で、午前午後2回連続で討論した。
午前はまず紛争の定義をして、次のパターンを含むとした。
 グローバルな軍事経済的支配(ただし、米国などの国名は出さず)
 国家間の紛争
 国内紛争 少数民族、宗教的地域社会、国家建設、イデオロギー支配、国家の
      暴力 
 過去から現在までの武力紛争を含む
 武力紛争でない紛争も含む

中国女性がチベットと台湾について国家でないと発言したので、司会者が「ここ
では国家を背負って発言しないことにしよう」と提案。

続いて各国の紛争の最新情報の報告。
ーアフガニスタン イスラム原理主義勢力タリバン支配のもとで、女性たちは外
出も許されず、学校へ行くことさえも禁じられている。パキスタンに難民として
出ている人々は生活も困難をきわめ、未来に希望もなく苦しんでいる。
ーインドネシア 東チモール、アチェ、西パプアで軍隊と民兵が残酷な暴力をふ
るい、女性は性暴力の犠牲になっている。乳房を切るなどかつて日本軍がやった
ことを今インドネシア軍がやっている。昨年の民主化闘争では中国系女性への強
かんが頻発した。暴力中止の署名運動を提案。アチェ出身者は大きな布に激励の
サインを集めた。
ーカンボジア 虐殺政権や20年間の内戦で女性たちは平和行進などで和解を求
めて行動している。しかし、今も銃による暴力が横行し、人々は貧困に苦しんで
いる。
ー中国 米国などNATOのユーゴでの誤爆で中国大使館員などが死亡、抗議してい
る。
ー台湾 中国のミサイル発射などで脅威を受けている。国連にも入れないので、
台湾女性は国際的に発言の場が限られている。
ーチベット 中国に占領されているので、インドに難民として何年も住んでいる。
今武力紛争中ではないが、国を奪われているという点で紛争下にある。中国の参
加者の抗議で、名札からチベットという文字をとるようにいわれた。
ー中央アジア 5つの国があるが、武力紛争が続き、100万人の難民が出て、
母子家庭も多く窮状にある。
ーパキスタン カシミール紛争が続き、インドに対抗するために核実験をやった
とき、お祝いムードだった。このようなナショナリズムとイスラム原理主義の暴
力が恐ろしい。離婚とかイスラムの掟に背いたとして女性を殺す”名誉殺人”も
連続している。
ーフィリピン ミンダナオ島南部のイスラム系少数民族モロは差別されている。
モロの女性の中には解放のための闘いに参加して戦闘員になっている者もいる。
ー沖縄 軍事基地が集中して米兵による性暴力が頻発している。95年の少女強
かん事件以来女性たちは、女性の安全をおびやかす安全保障そのものを問うている。
武力紛争でなくても軍隊の長期駐留を行動綱領の武力紛争の項目にいれてほしい。
ー日本 アジア太平洋戦争中の「慰安婦」問題で日本政府は法的責任を認めていな
い。戦時性暴力の不処罰が現在の武力紛争下の性暴力につながっている。女性へ
の戦争犯罪の処罰を求めるために、「女性国際戦犯法廷」を被害国と共に2000
年12月に東京で開く。

午後は行動綱領の実施状況や今後の提案について討論。
ー成果 国際刑事裁判所規程の採択で女性への戦争犯罪が明らかに。女性の平和
運動、ハーグ市民平和会議
それ以外はほとんど成果はないどころか、軍事予算の削減はなく、コソボや核実
験など事態は悪化している。
ー今起こっている問題として次のようなものが指摘された。
核兵器競争激化、武器貿易拡大、日米ガイドラインなどの新しい防衛協力、市民
社会の軍事化、国家の暴力悪化、国内難民の増加、核廃棄物処理問題、人権への
攻撃、強制労働、子供兵士、軍事基地
ー今後の課題 国際刑事裁判所設立のための批准キャンペーン  
       軍事予算のモニター
       非核化(核実験反対)
       国連改革(拒否権なくすなど)
       紛争被害者の保護、被害の記録化
       平和教育、研究、人権教育
       軍事基地撤去
       紛争下の性と生殖の権利保護
       伝統文化の名のもとの暴力撤廃 

松井やより  <yayori@jca.apc.org>
------------------------------------
アジア女性資料センター代表
155-0032東京都世田谷区代沢3-9-5-203
Tel 03-3412-2775 Fax 03-3412-2765
------------------------------------ 


Return to Index
Return to fem-women2000 HOME