Subject: [fem-women2000 355] 国連総会特別会期報告〜10〜
From: Junko Kuninobu <kjunko@asu.aasa.ac.jp>
Date: Sat, 10 Jun 2000 20:31:43 +0900 (JST)
Seq: 355

6月9日最終日には結局なにも結論も文書もでませんでした。
なんともふんぎりの悪いUNGASS NYでした。
始まりは結構はなやかだったのに。アナン総長がCONGOでないNGOも参加できるよ
うに配慮して、開会式をわざわざ国連の向かい側のダグハマーショルドプラザに
屋外舞台を設置して開催しました。日本からもたくさんの女性たちが参加してい
ました。手話もついていました。
国連総会会議場にも、翌日の雨の中入場券をとってはいりましたが、そちらは退
屈な議長による開会の言葉のみですぐ各国のカントリーレポートの読み上げの連
続となりました。
6月10日(土)にまたのこっているCONGOで会合はもちます。
昨日6月9日午後にバンチのやっているLincage Caucusが宣言文をだし、参加者
の署名をあつめました。
そのなかでには今回の会議への落胆が鮮明に表明されています。
いくつかの国々における政治的意志political willの欠如、国連としても具体的
施策、数値目標、目標達成時期の設定、指標の確定、さらに予算の確保など北京
行動綱領をさらに実施するための一歩進めた行動計画をだすという合意ができて
いなかった、と批判しています。

しかしそれでもいくつかの進展はあった、それは北京行動綱領の実施する責任を
各国政府が負っているという政治的宣言を再確認したこと、そして北京行動綱領
(BPA)の12重要領域における女性の権利擁護については、政府が責任をもって
実施する基準であることにかわりはないこと、さらにBPAを越えて押し進められた
内容もいくつかある。
BPAにみならず、その他の国際会議で合意内容、採択された各種の文書の女性のエ
ンパワーメントとその権利擁護について今後も役立ててゆく。
各国政府がCEDAW(165カ国が批准)、世界人権宣言、そのほかの人権関連条約、
文書についても政府は責任をもってこれらを遵守することを期待する。
これらの人権擁護のための道具となる文書は批准国の政府がそれらを尊重し、促
進し、守り、女性と少女の人権を擁護することはBPAに明記されている。これらの
文書のすべては普遍的であり、分かちがたいものである。
等々
この宣言は La Lotta Continua!!!  たゆみない努力  どでも訳せるイタリア
語のタイトルを付けた A statement from the NGOS of the Linkage Caucus
という文書になっています。みなが署名して国連へ提出されました。

その中で進展のみられた内容について裏面に列挙しています。
健康
母体の保護、保健領域で優先事項とする
安全な性のあり方についての教育を男性にむけて実施する
マラリア、結核なのの伝染病にもジェンダー視点が必要
世界人口会議の目標の再確認
保健サービス、安全な中絶のためのサービスの提供(これはまだ合意はとれてい
ない)

暴力
名誉殺人HonourKillings, 強制結婚:forced marriagge の禁止(これらのことば
が国際文書にでたのは今回は初めて)
ダウリー関連暴力の防止、特に政府がこれを撤廃するために十分あn施策をとる
ことという強調した文言がはいった。
婚姻内強かんの防止:立法措置とより強力な対応策があらゆるDVにたいして要請
された。(国信個人としてこの部分の獲得は予想以上で、獲得目標をこえていた
と思う。婚姻内強かんについての言葉を国際文書に出すことをアフリカ、南太平
洋、南アジア、南アフリカなどの政府も皆合意したということはすごいなー。
でも、じゃーどういう手だてをとるのかなー???、いれても何もできないと思っ
たから皆合意したのかなー)

グローバライゼーション
女性へのマイナスのglobalization の影響について認識し、社会的保護の平等な
アクセスを確保すること。
マクロ経済の意志決定レベルへの平等参画

経済
各種財産所有、継承の権利確保
居住権の確立
ジェンダー平等化に配慮した予算
ILOの女性の労働権についての宣言の確認

人権
CEDAWの選択議定書の批准促進(今40カ国ほどが批准しているとのこと、)
各種保護施設(精神病院なども含めて)ジェンダーに配慮した施設を確保
男女移住労働者平等促進
先住民女性の女性特有のニーズの認識と権利擁護

政治的エンパワーメント
クオタ制度などの手段をとって女性の政党、国会への参画の促進

以上がバンチさんたちのグループ(アメリカ、ニュージャージーにある州立大学
でラトガース大学というのがあり、彼女はそこの女性学教授、女性リーダーシップ
育成センター所長なども兼任、70年代からのfeminist)
が作成した文書の紹介でした。

この文書の他にもいろいろ個別の組織が声明文を6月9日(金)の午後にだして
いました。なかでも興味深いのは女性カソリック教会の組織のリーダーがバチカ
ンの旧態依然とした要求、北京行動綱領もなにも無視したような要求と修正文の
頻繁な提出、しかもそれにイラン、スーダン、リビヤなどの国をひきつれて、会
議の進行を遅らせたこと、合意済みの項目をまたほじ繰り返したことに業を煮や
しているという声明文は秀逸でした。アフリカ、南アメリカ、北アメリカ、ヨー
ロッパのカソリック教会の国々もバチカンHolly Seeを指示する国はほとんどなく、
カソリック教会女性の指示も次第に縮小してきているという文章にみんなが拍
手しました。

日本の仏教界、カソリック教会、神道、etcでもこうした明確な声明を出す女性は
いないのかなー

国信潤子
2000年6月9日(土)午前7:30  ニューヨークにて









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