Subject: [fem-events 374] −婚外子の声−「東大ジェンダーコロキアム」
From: Satoko Matsuura <satoko@jca.apc.org>
Date: Sat, 28 Oct 2000 01:44:40 +0900
Seq: 374

松浦さと子です、(ビデオ作品):『罪なく罰せられて−婚外子の声−』の
制作者 江上倫子さんからのメールの転送です。

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**興味ある方へのこのメールの転載を歓迎します。**

東大ジェンダーコロキアムの電子メール担当・松井隆志と申します。
以下に「東大ジェンダーコロキアム」の案内を送付します。

なお、本メールは上野千鶴子ゼミ情報用メーリングリスト(準公認)
を中心に、その他の希望者にもBCCにて送付しています。
このメールに対するお問い合わせや案内送付の希望などは松井までお
願いします。

東大ジェンダーコロキアムに関するお問い合わせは、下記連絡先まで。

(なお、現在のメールアドレスが変更される・消滅する時には確実に
ご連絡ください。)

            連絡先:上野千鶴子研究室
            メール担当 松井隆志(mtakasi@ca.mbn.or.jp)

=======================以下案内========================

ジェンダーコロキアムの予定をご案内をします。
今回のご案内で【News】 の点は、
【第12回】12月5日(火)に田中美津さんをお呼びすることです。
また、来週10月31日(火)の
第8回 (ビデオ作品):『罪なく罰せられて−婚外子の声−』
は、いつもと場所が違うので、ご注意下さい。
ジェンダーコロキアムはオープンな研究会ですので、各回とも
ご出席はご自由です。関心ある方のお越しをお待ちしています。
                              担当・荒井



第8回 10月31日(火)18:30−20:00
報告(ビデオ作品):『罪なく罰せられて−婚外子の声−』
  制作者 江上諭子(ビデオ工房AKAME)         
コメンテーター:橋本マコト(お茶の水女子大学大学院博士前期課程 社会学)
場 所:法文1号館2F・215教室


第9回 11月7日(火)18:30−20:00  
報告者:ジェシカ・ラム(東京大学大学院博士課程)
テーマ:「セクシュアル・ハラスメントにおけるフェミニズムの位置」

第10回 11月14日(火)18:30−20:00  
報告者:佐藤文香(慶應義塾大学 SFC研究所 訪問研究員)
テーマ:「自衛隊におけるジェンダー」


第11回 11月21日(火)18:30−20:00  
報告者:轡田竜蔵(東京大学大学院博士課程)


第12回 12月5日(火)18:30−20:00  
報告者:田中美津



          *        *        *



第8回 10月31日『罪なく罰せられて−婚外子の声−』の詳しいご案内
  

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      江上諭子(えがみゆうこ)の自己紹介と参加のお誘い
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             ●ビデオ工房AKAMEについて●

 こんにちわ。ビデオ工房AKAMEの江上です。
 わたしたちは1991年に開校した「ウーマンズ・スクール」(大阪)でフェミニズム
とビデオ制作を学びました。当時はまだ女性センターもなく、フェミニズムを学べる
場所は限られていました。数十万円のお金を払い、多い時で週2〜3回、1年半
ほど通いました。
 卒業後、「払った金の元は取る」「始めたからにはやり通す」という意気込みで、
みんなで200万円ほどのお金を出し合って機材を買い、事務所も借りて活動をスタ
ートしました。1993年のことでした。最初は、メンバーが毎月運営資金を出していた
のですが、数年前から運営資金のほか、わずかな給料が払えるところまで来ました。
 「マスメディアには女性の視点がないし、女性が必要とする情報が取り上げられる
こと自体が少ない。女性による女性のための映像表現を創っていこう」。それがわた
したちの唯一の共通認識です。いままでに、自主制作のほか、女性センターや女性
運動団体から頼まれて作ったビデオは20本余り。扱ったテーマは離婚、仕事、家族、
女性と起業、従軍慰安婦、在日朝鮮人女性などです。
 ビデオ制作のほか、仲間を増やしたいという思いから、各地で女性のためのビデオ
講座などもやっています。


         ●「罪なく罰せられて −婚外子の声−」について●

 ビデオのテーマになっている婚外子というのは、両親が結婚していない子どものこ
とです。昔は私生子とか庶子(父親が認知した私生子)と呼ばれていました。戸籍の
記載方法が婚内子(両親が結婚している子ども)と違います。父親が認知しているか
どうかも戸籍で分かります。
 このように表記に区別があるのは、相続がからんでくるからだというのが、国の説
明です。たとえば、妻と子どものある男性が妻以外の女性との間に子をもうけて
認知し、財産を残して亡くなった場合、妻はまずその2分の1を受け取ります。残り
を子どもたちが分けますが、等分ではなく、婚外子は婚内子の半分という規定が
民法にあるのです。そのために、だれが婚外子なのかが分かるように、戸籍に記録
しておく必要があるというのです。でも、父親の認知を受けていなくて財産相続に関
係のない婚外子にも区別があるわけですから、これでは説明になっていません。
 また、出生届には婚外子と婚内子のどちらなのかを書く欄があります。親が自分で
チェックを付けるのです。結婚している場合は、母親は入院しているはずですから
父親が届け出ます。シングルマザーの場合は自分で書くことになります。
 わたしは、父が婚外子だということをわたしが大学生のときに知りました。自分で
は最初「ちょっとビックリ」と思っただけだったのですが、その日から、親の前では
どうしてもそのことを話題にできなくなりました。話そうとすると胸がつまって声が
出なくなるのです。なぜ悲しいのかも分かりませんでした。
 その理由は、何年もたってから分かりました。わたしの中に婚外子を差別する気持
があったからでした。父は、祖父のいわゆる「不倫」で生まれました。わたしはそれ
が嫌だったのです。当時のわたしの心をいま、文字にするなら「身分が下がった」
「父の親戚たちは、ずっとわたしを、うちの家族を笑い者にしていたんだ」です。
これは、わたしの心の中にあった婚外子に対する差別を反映しています。
 その後、たまたまビデオを学ぶ機会があり、仲間にも恵まれて、婚外子をテーマに
した作品づくりを決意しました。わたしは「婚外子差別とは何か」をビデオを見た人
に「感じて」ほしいと思いました。「理解」ではなくて。ある意味で「当事者」に
なってほしかったのです。婚外子ではない人にも、婚外子として苦しんでいる人にも
それを感じて、受け止めてほしかった。なかなか受け止められなかったわたしの
経験から、受け止めることが差別をなくしていくための第一歩だと思ったからです。
わたしはその第一歩になりたいと思ってこの作品を作りました。

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******* コメンテーターより **************

 こんにちは。当日コメンテーターをつとめる橋本マコトです。
 わたしは現在、「婚外子差別」をテーマに修士論文を作成中なのですが、
 差別の問題を解放運動と切り離して論じることは出来ません。 
 
 今回上映するビデオも、漠然と「婚外子」についてまとめたものではなく、
 「差別と闘う」という視点をもって作られた一つの主張であり、
 この主張の存在それ自体もまた、
 差別の時空を変容させる、一つの「できごと」であると考えています。
 
 ですので、当日はビデオを「ダシに」語り合うのではなく、
 そもそも差別の問題を「訴える」とはどういうことなのか?
 また、今回のビデオがどのように受け止められ、
 どのような効果を持つものか?ということについても、
 当日お越し頂いた方々の感想を手がかりにして、
 皆さんと一緒に考えてみたいと思っています。
 つまり、皆さんが来てくださらないことには、何も始まりません。
 
 ちなみに翌日の11月1日は、戸籍続柄裁判の口頭弁論が行われます。
 この裁判に関心をお持ちの遠方の方々に、
 足を運んで頂くきっかけにもなれば、と考えています。
 
 当日はビデオ製作者の江上諭子さんも来て下さいます。
 江上さんと共に、多くの方々のご来場をお待ち申し上げております。

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=======================以上============================ 
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松浦さと子 
(大学)072-839-9316(自宅)06-6353-8722
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