7年前(1996年)、アジアを中心とした1年間の旅の途中に立ち寄ったのがアルーカイールアカデミーを訪れた最初のきっかけでした。学生時代以来ほとんどカメラを手にしていなかったのですが、この1年の旅の中で写真を撮ったことが再びカメラを手にするきっかけになりました。1年の旅から戻りあちらこちらの国に出かけるようになってからは時間をかけて写真を撮ってみたいと思う場所が幾つかできました。その一つがこのアルーカイールアカデミーでした。アーシアンのメンバーに以前からそんな話をしていたのですが、アルーカイールアカデミーの写真展をしたいというアーシアンの要請があり今回の撮影が実現したのでした。

 むっとする暑さの8月のカラチに深夜到着した翌朝、合流したJFSAのメンバーと訪れた7年ぶりのアルーカイールアカデミーは大きく変貌していました。
 生徒は増え続け幼児から10学年までの生徒はすでに1900名、35クラスになり、スラムに勝手に建てた学校は幾つもの教室を増築し続けていました。低学年の子どもたちの明るく屈託のない笑顔や高学年の生徒たちの来訪者に対するはにかんだ顔などは変わっていませんでした。
 昨年11月、郊外のゴミ捨て場に作られたカチラクンディ分校がある場所はまるで化野のような風景です。ごみ処理トラックが頻繁に運び込むゴミとそれを野焼きのように焼くだだっ広いゴミ捨て場の中に簡素な分校は建っています。その風景には強烈な印象を受けました。
 ハエが飛び交う中で地面に敷いたむしろの上の座り込み子どもたちが勉強しています。
 壁にグリーンのペンキを塗っただけの黒板を真剣に見つめる子どもたちの顔が印象的でした。そこに教育の原点を見たような気がします。こんな中でも教育を受けられるということがここの子どもたちの未来にとって一縷の希望の光になっていると痛感しました。
 アルーカイールアカデミーと分校、新たに設置された職業訓練所に4日間通い詰め約800枚の写真を撮影してきました。
 アーシアンの主催により千葉県を中心に写真展「アルーカイールの子どもたち〜パキスタン・カラチにて〜」を各地で開催しています(10月〜12月)。
 また多くの日本の人たちにアルーカイールを知ってもらいたいという趣旨で2004カレンダーも作成しました。この売り上げは職業訓練校への支援にも使われます。
 多くの人たちが写真展やカレンダーを通じスラムで学ぶ子どもたちを支援する仲間になってもらえることを願うものです。

(2003/11)