JVC(日本国際ボランティアセンター)を通じてラオスの村人による森林保全プロジェクトの支援をしています。
写真1 啓発研修中 | 写真2 女性グループ地図作り |
●プロジェクト概要
1村人が村落共有林を持続的に管理、利用しながらの食料確保を中心とした生活改善。
2村落共有林の管理、利用権の保障。
長期的にとらえると、これらのことにより、村人が地域在来の資源を活用して、生活の改善を安定的、持続的に図ることができるようになります。
●ラオスはどんな国?
中国、タイ、カンボジア、ベトナム、ミャンマーに囲まれたインドシナ半島の内陸国。
面積は日本の本州とほぼ同じ、人口は570万人で、首都はビエンチャン。1953年フランスから独立後内戦が繰り返され、インドシナ情勢(ベトナム戦争終結)に伴って、1957年にラオス人民民主共和国として成立。
●プロジェクト地のカムアン県は・・・
ラオスの森林面積は、1940年に70%ありましたが、1992年には41.5%にまで減少しています。これには、行政や企業による開発の影響があります。
プロジェクト地のカムアン県(7郡50村)は、中部に位置し、森林率は1989年に62%と、ラオス国内では比較的森林が豊富に残されています。
平野部が70%を占め、石灰岩などの鉱物資源が豊富なことや、タイやベトナムと国境を接し、両国を結ぶ東西の幹線道路が整備されつつあることから、開発事業の進出が増加しています。
そのため森林の商業伐採、ユーカリの一斉植林や石膏・石炭採掘が強引に行われています。
森林保全活動は「土地・森林委譲」という制度を利用して、村の共有林を正式に登録することで、村人の権利を守る活動です。地道な「土地・森林委譲」を行うと共に、村人の生活を向上させるための持続的農業や生活改善の活動も取り入れて、生活の安定、向上も目指しています。
JVCでは、土地・森林委譲を行う際に、村人に森の大切さを気づき、認識してもらうために、行政が単独で実施する委譲作業と異なり、実際の境界線や区分を決める作業に村人の声が反映するように村人参加型の委譲を行っています。
<資料・写真提供:日本国際ボランティアセンター>
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●JVC ラオス事業報告(2014年中間)
【JVCラオス】活動報告書(2014年度中間)平野(MS WORD版)
JVCラオス】活動報告書(2014年度中間)平野(PDF版)
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●JVCラオス活動報告(2013年12月)
現地駐在員 林 真理子さんからの報告
JVC(日本国際ボランティアセンター)のプロジェクト
ラオス・サワナケート県「土地・森林保全と持続的農業による生活改善プロジェクト」
毎年、ラオスプロジェクトの担当者が、アーシアンに出向いてくれて報告会をおこなっています。
今回は9月4日(水)JVC東京事務所で、一時帰国中の現地担当者林真理子さんの報告会に参加して来ました。
2012年秋に赴任した林さんは、前任者との引き継ぎが終わった後も、ラオス政府の許可が下りるのが大幅に遅れ、プロジェクト地のサワナケート県の村に入ることが出来ないまま半年間も首都ビエンチャン事務所で待機せざるを得ない状況でした。
今年の2月にやっと現地入りが実現したそうです。プロジェクトの進捗状況に加え、許可の遅れの原因となったと思われる出来ごとや、NGOとして何が出来るのかとの葛藤など、熱い想いが伝わった報告会でした。そのことを伝えたいと思い、林さんに原稿を書いていただきました。
●現地駐在員 林 真理子
のんびりと穏やかな印象を持つラオス。隣国のタイやベトナムが経済成長により発展していく中、ラオスは未だ、のどかで素朴な国として旅行者を魅了します。
1年前にラオスに赴任した私も「人は穏やかで時間がゆっくり流れる良い国だな」という印象を持ちました。
しかし、その数ヶ月後、その平穏な印象とは全く違った側面を目にしました。
2012年10月、国際的な市民フォーラムが首都ビエンチャンにおいて開催され、ラオスの土地・森林問題が話題になりました。ラオスでは経済発展を掲げる政策のもと外国企業の誘致が進んでいます。数字上では確実に経済成長を遂げているラオスですが、一方で土地や森林の半強制的な収用、違法伐採などによる農村部の問題は後を断ちません。この問題の広がりを懸念した政府は市民社会への締め付けを強め、それに対しNGOが異議を唱える、という動きがおきました。直後、一人の外国人NGOスタッフが国外強制退去、ラオス人NGOスタッフが失踪しました。失踪について政府はその関与を否認しているものの、街頭ライブカメラに国家警察が連行する映像が写っていたため、その事実は全国に広がりました。
JVCラオスでは、村人が慣習的に使っている土地や森林の利用計画を、行政官を巻き込みながら決めることによって発生する使用権獲得にかかる支援や、その法律を教える活動を行っています。村人に対する直接的支援だけではラオスの根本的な土地・森林問題を解決することは難しいため、国の土地や森林に係る法律や制度に対し政策提言(アドボカシー)も行っています。しかしこのような活動は非常にセンシティブで危険な活動になりつつあり、土地・森林に係る活動をするNGOの活動環境が厳しくなっている現実があります。国外退去命令で事を終える外国人と違い、土地・森林問題に従事するラオス人スタッフが抱える恐怖は計りしれません。
失踪したソムバット・ソンポーン氏。シンガポール人である彼の妻は彼の生存を願い、今でも事実究明のため各国メディアや国に、こう訴え続けています。
「夫の生存がわからないままラオスを去ることはできません。私にできるのは今後このような事件が起きないようにすることです。それが夫も望んでいることだと思うからです。」
彼女の立場を想像してみると、今も胸が締め付けられる思いです。JVCラオスがNGOとしてすべきことは何なのか。常に問いかけながら活動を進めています。
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●ラオス滞在日記
森の恵みと村の食卓
ラオスの農村の人たちの生活は、豊かな森と川の恵みに支えられています。子どもの頃から森に入り、キノコや筍、野草や木の実、昆虫を採取し、川からは魚やカニを捕ってきます。村の中には小さな雑貨屋はありますが、食料品を売る店はなく、こうして森や川から得られたもので、その日の食事が準備されます。
私たちJVCのスタッフも、村で研修や会議を行う日には、村長さんの家の台所を使わせてもらい、集まった人たちと共にお昼ごはんを作ります。台所の竹製のカゴにはナマズやカニが何匹もあり、朝集められた野草やキノコもカゴに盛られています。
お昼に作る定番料理は、筍のスープ(ケーンノーマイ)。
薬草にもなるヤーナーンという葉っぱをゴシゴシとこすり絞って、スープの汁を作ります。
私が初めて手伝った時には、「こし方が足りない。緑色が出てないよ」と十五才ほどの女の子にコツを教えてもらいました。
この緑色のスープに、茹でた筍と香草を入れて塩辛(パーデーク)で味つけます。塩辛は、川魚を塩と米ぬかで半年ほど発酵させたもので、自家製のものが各家庭の台所の大きな壺に入っています。ラオス料理に欠かせず、挽肉サラダ(ラープ)やパパイヤサラダなどでも、仕上げに入れて使っています。
ラオスの農村では、こうして森や川の恵みを使って皆で一緒に準備した食卓を囲みながら食事を共に楽しみます。稲刈りが終わる十一月には、新米のおいしさも語られ、一層賑やかな食卓になっています。
日本国際ボランティアセンター(JVC)ラオス事務所
森林プロジェクト担当:尾崎由嘉
(アーシアンレターNO.45より)
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村人が村人に指導するラタン植栽研修 アーシアンは2010年から ラオス サワナケート県における日本国際ボランティアセンター(以下JVC)の「森林保全と持続的農業による生活改善プロジェクト」を支援しています。
2012年度は別の村でこのプロジェクトが継続されます。
ラオス政府は主に外国投資による大規模開発事業を軸とした経済発展を追求しています。
ラオスの農村部は、豊かな森林がもたらす自然資源と粗放的農耕による伝統的な暮らしを送ってきました。
しかし最近では産業植林事業などの対象となり、村人の望まない形での土地収用が発生するなど、村人の食料確保に急激な経済発展の負の影響が見られます。
●JVCによる農業支援報告
(2012年6月)
村人が土地森林に関して持つ法的権利についての研修 2012年度は、2011年度に終了したサワナケート県アサポン郡、ピン郡での3年間のプロジェクト(第1期)の成果と課題に基づき、その フォローアップを行うとともに、やはり3年にわたる新プロジェクト(第2期)に向けての準備を行い、年度途中から開始の予定です。
第1期の活動対象村の大半では活動を継続し、さらに対象村を拡大する予定ですが、これまでに生まれたモデルとなりうる農家や村人、村と協働することで、これまでの成果を核とした活動の拡大を図ります。
(平野将人)
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●ラオス訪問報告
(2014年2月19日~25日)
長年の懸案であったラオスを今年2月に訪問しました。藤田宏子さんの報告と写真です。
ラオス訪問報告MSワード版1402_visitreport.doc
PDF版1402_visitreport.pdf
JVC事務所にて
カメムシの串焼き(ビールのつまみにぴったり)
牛銀行の話し合い(バロン村)
共有林の規則の掲示板(カンマイ村)
山羊銀行(カンマイ村、米倉の下が山羊小屋)
赤ちゃん同志?豚さんとも共生(カンマイ村)
分り易く色分けした共有林の地図(ファイサイ村)
米銀行と井戸掘り掘削会議(バロン村)
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