第6回  口頭弁論報告

 

 6月12日、11時。

 早いものです。この「名誉毀損」裁判も、昨年の10月以来もう6回を数えます。本日の傍聴は総勢11名。常連の顔触れは固まってきました。トッキ−と担当編集者氏は皆勤じゃないか。偉いなぁ・・・。

 前回報告にもある通り、今回は、裁判所からの「釈明」に対し上杉氏が答える番でした。約束通り「釈明」に対する回答と、同時に、前回被告側準備書面に対する大部の反論書面を提出しました。この上杉「準備書面(四)」、はっきり言ってスゴイです。もうこれで決着はついたんじゃないか、内心私はそう思っています。(機を見てアップ出来たらと思います。)

 また今回提出された証拠群、如何に小林描く上杉肖像が醜いかを豊富な事例を基に視覚的に顕現させ、画期です。そうそう、それと、小林信奉者達の「生の声」も多数傍証として提出されました。心酔するよしりんの為に“良かれ”と思って書いてきた熱烈な信者達の声は、逆に、「小林漫画を皆頭から信じ込んでいる」という客観的な証拠として作用するというわけです。

 ゴメンね、よしりんファンのボクたち・・・。

 

 さて本日の弁論ですが、小学館代理人の発言が妙に弱気で気になります。元気出して行こうや。

 裁判所からの被告への「釈明」に対し、「“似顔絵を漫画に掲載する際にどの程度まで誇張・風刺等が許されるのか(釈明)”と言うことですが、一般論としてどうかとのお尋ねですか?、それとも『法理論的』に言ってどうかと言う意味ですか?」。

 ・・・・・。そんなの後者に決まってるだろうよ、瞬間私はそう思いました。これ、裁判だろ?。こんな場で仲良く「一般論」を語り合ってどうする。

 裁判長も呆れ顔です(嘘)。

 「漫画だから何を描いてもいいというわけではないですよね?。ですから、被告の考える“ここまでは描いてもよい”という基準を明らかにしてほしいということです。勿論それは法理論的に言ってということ。

 この案件は、双方の代理人が、互いに考える法的基準を出し合い、それを詰め合っていくのがよいと裁判所は判断しているわけです」。

 と、大意こういうやり取りがあったわけですな。

 小学館代理人は相当にツライと思いますよ。顔が苦渋に満ちてましたもん(嘘)。

 小林の立場に立つなら(今までの主張もそう)、漫画だから「誇張・風刺」は当たり前、何を描いてもそれは漫画における表現の自由だと主張したい所。でも、流石にそれは「主張」としては苦しいでしょう。

 「名誉を毀損された」と現に訴えられている被告の立場で、“何描いてもいいんだ”じゃ唯の開き直りですし(笑)、実際何描(書)いてもよくないからこそ柳美里も敗けたわけです。(ちなみに柳美里裁判は、かなり上杉側に援用出来る有利な判示が為されており、当然準備書面の中で言及しています。)

 だからと言って、基準を絞った主張は、裁判所への心証は良くなるでしょうけど同時に小林自身の首を絞めます。“その基準に照らしてお前の漫画はどうなんだ”という話です。

 この「整合性」をどうつけてくるのか、次回被告側書面は本当に見物です。

 裁判長の心証は、もう確実に結審に向かっています。

 「(次回被告書面で)これで双方の大体の議論が出揃いますね。まぁ、原告の再反論は勿論留保しておきます」。

 つまり、次回書面に対し、上杉側が「もういい、反論は無い」ということになれば恐らく結審でしょう。

 全ては8/13(〆切)に提出される被告側準備書面にかかっていると言っても過言ではありません。その内容がそれなりに「高度」であれば、上杉氏はもう一度位は反論し、徹底的に叩いておく必要もまた生じるかも知れません。しかし、歯牙にもかけなくてよい程度のものならば、もう結審を目指せばよいでしょう。

 被告書面の提出を経て、次回の口頭弁論は

 8/21(火) 4:00〜 722号法廷

 になります。どんな「法的基準」が漫画家・小林よしのり氏の口から飛び出してくるのか、私の興味は尽きません。

 そうだ。時間もちょうど夕方だし、6時頃からそれを報告するミニ集会でも企画しようかな。もし決まったら告知します。    (報告:「楽しむ会」 三上秋津)