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黒羽刑務所・礼拝訴訟で敗訴
黒羽刑務所(栃木県)に服役中の29才の男性受刑者が、昨年10月、礼拝を禁止するのは憲法で定める「表現の自由」に反するとして刑務所長を相手取り、禁止措置の無効確認を求めて提訴していた裁判で、宇都宮地裁(羽田弘裁判長)は2月14日、同所は提訴前に礼拝禁止を撤回しており、「すでに訴訟要件を欠く」として訴えを棄却した。
仙台拘置支所の接見室にマジックミラー?!
仙台弁護士会(鈴木宏一会長)は2月22日、仙台拘置支所(仙台市若林区)に対し、「接見室にマジックミラーのようなものがある」と、撤去を求める申し入れを行った。
申し入れ書によると、マジックミラーのようなものは縦50センチ、横15センチの長方形で、接見室の被疑者・被告人席背後のドアにあり、外から監視できる接見室の存在は放置できないとしている。法務省総務課によると、全国117カ所の拘置所・拘置支所のうち、マジックミラーは十数カ所にあり、接見の進行状況を確認し業務を円滑に行うことが目的という。弁護士が接見の際に発見したが、このとき、ドアの外にビデオカメラを持った職員がいたことも分かり、同弁護士会はビデオ所持にも抗議している。
城野医療刑務所医師のアルバイトが発覚
城野医療刑務所(佐藤誠所長、北九州市)で男性精神科医2人が96年4月の採用直後から約5年間、週5日の勤務のうち1〜2回、福岡市内の別々の民間病院で研修目的で診療し、月約30万円の報酬を受け取っていたことが3月2日、分かった。同刑務所は兼職を禁じた国家公務員法違反で処分を検討している。同刑務所の医師は4人おり、研修自体は、医療技術を磨くため、本人の希望に応じて週1〜2日認められている。報酬分の所得税は病院で源泉徴収されていた。同刑務所の川崎茂則総務部長は「指導、監督が不十分だった。詳しく調べたうえ、法務省福岡矯正管区と協議して処分を決めたい」と話しているという。
「情願認容事例」で損害賠償請求訴訟
30歳代の男性受刑者が、福井刑務所で服役中の1998年8月、刑務所職員から頭をたたかれるなどしたため、1年後に暴行や処遇への不満を書いた手紙を弟あてに送ろうとした。これに対し、刑務所は「職員をひぼう中傷した」として、独居房に1日中座り続ける懲罰(「軽屏禁」)を20日間課した。これを不服として受刑者が99年9月と同10月、臼井日出男法相(当時)に「情願」を申し立てたところ、昨年3月に法相から懲罰が不適切だったことを認める趣旨の通知が送られてきたという。この受刑者が国に慰謝料約100万円を求めた訴訟の第1回口頭弁論が4月23日、金沢地裁(渡辺修明裁判長)であり、国側は懲罰があったことは認めたが違法性については認否を保留した。全国的にも珍しい情願の認容事例に関する損害賠償請求訴訟であると思われ、今後の国側の応訴が注目される。
「接見禁止等請求」の新書式に抗議
東京地方検察庁は2001年1月以降、刑事訴訟法81条の接見禁止等請求に関して新書式「様式第46号」を用いている。書式には、「1接見の禁止 2 書類又は物(糧食,寝具及び衣類を除く。)の授受の禁止」の文字が印刷されており、原則として“物の授受一般の禁止”を求めるものとなっている。これでは、ちり紙・歯磨き・歯ブラシ・石鹸・タオル等の日用品(これらは最低限の官給はあるにはある)や筆記用具・便箋・封筒・ノート等(これらは官給もない)の差入れや、自弁購入を「業者からの差入れ」とみなす東京拘置所などでは購入もできず、日常生活にも支障をきたし、十分な訴訟準備など不可能となる。こうした、本人や弁護人が一部解除の申立てをしない限り自動的に物の授受一般が禁止される扱いは憲法、刑事訴訟法等に反する重大な人権侵害である。CPRでは近く「様式第46号」の廃止を求め、東京地方裁判所、東京地方検察庁、検事総長、法務省矯正局長、同刑事局長、法務大臣に申し入れを行うとともに、弁護士会などを通じて事実調査を行う予定。
アメリカの黒人死刑囚の著書が発刊!
無実の罪で死刑判決を受け、世界でもっとも著名な死刑囚の一人とも言われる黒人ジャーナリスト、ムミア・アブ=ジャマールの著書『死の影の谷間から』(原題「Live from Death Row」)が4月に出版された。訳者は、日本でのムミア支援活動に長く関わり、CPRのホームページ作成・管理も担っているジャーナリストの今井恭平氏。死刑囚としての日常を描くなかで、同国の死刑制度が持つ差別、残虐性、非人間性などを鋭く告発し、すでに8カ国語に翻訳され、アメリカの矯正、死刑、司法を知るうえで欠かすことのできない1冊となっている。
問い合わせは、現代人文社(〒160-0016 東京都新宿区信濃町20佐藤ビル201 TEL 03-5379-0307 FAX 03-5379-5388)まで。
死刑制度をめぐる動き
欧州評議会(ロシアを含む43カ国加盟)への加盟は死刑廃止が条件だが、96年オブザーバー国となったアメリカと日本は死刑制度を存置している。このため、2月19日〜24日、日本の死刑制度の調査を目的に、同評議会のグンナール・ヤンソン氏(法務人権委員長)らによる調査団が来日した。22日には高村正彦法相(当時)と面会、法相は「死刑制度は存続すべきで、廃止は考えていない」と述べた。死刑執行の一定期間の猶予についても「裁判で確定後、さらに法務省で慎重な審査をしており、必要性に乏しい」と回答。また、これまで国会議員からの要請も拒否してきた死刑囚が入る拘置所の房の視察に対しては「国政調査権の一環として国会の正式な要請があれば、一定範囲で認める余地はある」と答えた。23日夜、記者会見したヤンソン氏は、日本の死刑囚処遇について「(死刑廃止の流れが定着している)欧州からみると、拷問に等しい。死刑執行は直前に知らされ、死刑囚は毎日、(執行の)リスクを感じている。死刑囚処遇を定めたルールが(一般の人でも)入手できることが必要だ」と批判した。6月の欧州評議会で調査結果を報告する。死刑廃止フォーラムでは、来る6月の欧州評議会に元・えん罪死刑囚の免田栄さん、菊田幸一さんを中心とする派遣団を送ります。これに伴い、カンパを要請しています。詳細は同封のチラシを参照のこと。
4月25日、ジュネーブで開会中の国連人権委員会(53カ国で構成)は、欧州連合(EU)を代表してスウェーデンが提出した「死刑廃止決議案」を賛成27、反対18、棄権7、欠席1で採択した。決議は死刑廃止を目指し、日本をはじめとする現在死刑制度のある国に対し、制度の廃止や重大犯罪に限るなどして死刑の執行数を減らすよう求めている。先進国で反対したのは日本と米国だけだったが、中国、タイなどアジア諸国の多くが反対し、反対票はここ数年で最も多かった。これは日本政府のアジア諸国等への「ロビイング」の「成果」と思われる。日本政府は世界の死刑廃止への流れに逆行する動きを積極的につくり出している。
4月26日の就任記者会見で、森山真弓・新法務大臣は、死刑制度について、「凶悪・凶暴な犯罪を犯す人が絶えないので、社会正義実現の立場からも考えないといけない。法律として(死刑)制度が存在するので、法律を守り維持するため、必要な場合は(死刑執行は)やむを得ない」と述べ、死刑を廃止する考えはないことを明らかにした。前任の高村法相は死刑執行を行わなかった。新たな法務大臣にも執行停止が引き継がれるよう、要請しよう。
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