獄中検閲情報 no.5
提供 統一獄中者組合--------------
1998年1〜2月の抹消報告
パンフレット等に含まれる外国語文の部分の抹消は相変わらずですが、このところ官の不手際による事件の抹消が目立ちました。以下は東京拘置所在監者から報告のあった抹消個所です。(いずれも朝日新聞)
- 1998年1月17日夕刊より「『大和』収賄事件、本垰前警部、自殺図る/警視庁内、手首切る」の記事全文
- 1月18日朝刊より「前警部自殺未遂/私物のカッターで、所持品管理に手落ち、トイレで手錠取る、責任問題に波及必死/身内への甘さ認めず、警視庁側会見」の記事全文
- 1月23日朝刊「差し入れ装う妻、刑事にスプレー/取調室から被告逃走 愛知・守山署」の記事全文
- 1月23日朝刊「拘置所内で被告が自殺」の記事全文
- 1月24日朝刊「スプレー逃走 刑事の携帯番号聞き出す/妻、取り調べ中に電話」の記事全文
- 1月27日夕刊「奪還事件/夫婦逮捕」の記事中「護身用スプレーを吹きかけて被告を連れ出し二人で逃走した疑い」という部分
- 1月28日朝刊テレビ番組欄中いわゆるワイドショー番組の見出しで「催涙スプレーで警察から夫奪還!逃走6日間猛妻逮捕」等の個所
- 1月28日朝刊の『フォーカス』広告中の「催涙スプレーで年下亭主を警察から奪還した猛妻」という個所
- 1月29日朝刊の『週刊 新潮』広告中の一部
- 2月3日夕刊「受刑者に携帯電話を貸す/大分刑務所看守部長」の記事全文
- 2月5日号の『週刊 文春』43ページ「取調官と窃盗犯のあやしい関係 現代版『俺たちに明日はない』」と題する記事の一部 計47文字
- 2月19日朝刊の「スプレー逃走事件」という見出しの部分と「警察官にスプレーをかけて逃走した事件で」という記事の部分
- 2月27日夕刊の「警視庁志村署、留置場から被告逃走/無施錠などミス重なる」の記事全文
これらの抹消個所を検討してみると、一般の在監者には何の責任もない話ばかりです。念入りに抹消された「スプレー逃走事件」についていえば、具体的な逃走手段を示唆するものとして警戒されたのでしょうが、ちょっと待て。在監者はそもそも催涙スプレーを入手できない。物品の検査をすれば充分なはずであり、文章の内容をチェックするのはまったく無駄。これらの抹消は、そうした逃走の具体的な予防としてあるのではなく、官のミスが在監者に伝わることによって在監者にナメられないことに気を使っているもののようです。ちなみに逃走事件の起こったときは全文抹消で、逮捕の記事は「スプレー」の個所に限定するあたりも意図がミエミエで失笑ものです。
なお、東京拘置所の女区の人からの情報では2月6日に「ラジオ聴取についてのアンケート」「新聞紙の購読について」というアンケートが実施されたとのことです。ラジオは番組のジャンルや放送時間帯等の希望をきくものであり、新聞は購読希望の新聞を「読売」「朝日」「毎日」「その他」から選ばせるものです。(現在は「読売」と「朝日」に限られている)在監者の希望を聞くこと自体は悪くはないが、どうして各人で自由に選べられないのでしょうか。