中国政府による再度の日本人死刑執行に対する抗議声明
2010 年 4 月 9 日
東京都千代田区神田小川町3-28-13-8F
菊田法律事務所気付
TEL / FAX 03-3259-1558
NPO法人監獄人権センター
代 表 村井敏邦
事務局長 田鎖麻衣子
4月9日、中国政府は日本国籍者である武田輝夫死刑囚(67)、鵜飼博徳死刑囚(48)、森勝男死刑囚(67)の3名に対して死刑を執行した。3名はいずれも、覚せい剤を密輸しようとした罪により死刑判決が確定していた。4月6日に執行された赤野光信死刑囚(65)に続き、4名の命が奪われたことになる。
生命に対する権利は、すべての人に保障された基本的人権であって、刑罰として生命を奪う死刑は、いつ、いかなる政府によっても、用いられてはならない。
まして、薬物犯罪は、国際人権(自由権)規約第6条第2項が規定する「最も重大な犯罪」にすら該当しないものであり、かつ、中国政府自身が、国連機関をはじめとする国際社会から、死刑を適用しないよう繰り返し求められてきたものである。批判に真摯に耳を傾けることなく、処刑をもってこれに応えた中国政府の態度は、強い非難をまぬかれない。しかも、中国政府は、上記4名以外にとどまらず、日々、多くの市民を処刑し続けているのであって、この点をも見過ごすことはできない。
我々はまた、日本人死刑囚の執行を阻止するための具体的行動をなんらとらなかった日本政府に対しても、強く抗議する。日本政府は、中国政府による国際人権法に反した日本国民の死刑執行という事態に直面した今こそ、自ら存置する死刑制度が抱える数多くの問題点を率直に受け止め、死刑廃止に向けた一歩を踏み出すべきである。
監獄人権センターは、今後も国内外の死刑廃止を実現するための取り組みを強めていくものである。