2001年12月27日 死刑執行抗議 議員連盟法相面談メモ
2002年1月17日於:法務大臣室
- 出席者
- 法務大臣:森山真弓
- 死刑廃止を推進する議員連盟:
- 亀井静香
- 木島日出夫
- 保坂展人
- 辻元清美
- 大島令子
- 山花郁夫
各議員(敬称略)
冒頭:抗議声明を亀井会長から大臣へ手渡し(マスコミの頭取りあり)
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亀井:
- 死刑制度が法律で定められているのは事実だが・・・・この間、マスコミがいて、全く聞き取れず・・・私が悪かった。死刑制度について、聡明な大臣と理論闘争をするつもりは毛頭ない。12月におうかがいしたときには、執行はないものと安心して帰った。誠に残念。それぞれの議員からご意見を。
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木島:
- 2つ残念なことがある。1つは、執行された時期。国会も終わっており、皆が以内時期に行われた。2つ目は、個別のことは論じたくないが、今回被害者の遺族の方から死刑の執行を望まないという申し入れがあった。誠に残念だ。なのに、なぜご決断をされたのか、厳しく問いたい。
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保坂:
- 今回執行された長谷川さんの被害者の遺族の原田さんは、上田政務次官にも面会していたし、高村さんとも会い、死刑をとどまって欲しいとお願いしていた。大島さんが遺体と対面している。執行をしないことを求めていただけに、衝撃的だった。スウェーデンは児童ポルノ売春についても力を入れている国。死刑についても力をいれている。EUも注目している。今年、欧州評議会は再び調査も含めて来日することも検討しており、日本の死刑については強い懸念を示している。
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大島:
- 私は27日の朝執行を知った。その日に拘置所に行った。遺族が一人いたので、会い、一緒に直接遺体を引き取った。27日の午後4時くらいに遺体と対面している。翌日も対面した。事件を起こすと、被害者のみならず加害者の遺族、特に息子さんが自殺をするなど厳しい状況に置かれていた。被害者の遺族ももちろん悲惨な状況だ。言いたいことは、遺体を引き取り、クリスチャンだったので教会で葬儀を行い、でもお金もなく、皆でお金を出し合いボランティアで葬儀をした。荼毘に付し・分骨した。遺体は生きていた。2日目ひげが伸びていて、おかんの中の遺体のひげをそってあげた。現実を見た思いがした。手にたこができていた。死に直面して体力を付けないとと、腕立て伏せをしていた。残虐な話だ。遺族の了解を得て、首や体を見た。1日目は苦しい顔をしていたが、2日目は穏やかな顔をしていた。
この執行は、最終的に大臣が決定したのですね。拘置所長とも会ったが、法務省が決めたことで自分たちは処遇をするだけだと言っていた。どういう基準で今回の長谷川さんを執行するという判断をしたのか聞きたい。
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山花:
- 誠に残念です。2点ある。1つは執行にあたって以前から言っていたことだが、親族の方に会いたがった人にも連絡がなされない。その日の朝言い渡し、絶命するまで数時間。会えば執行をしていいというわけではないが、せめてそのくらいの計らいがあってもいいのでは。また、国会でも今後死刑の問題を議論していきたいが、それにはまず刑場が見たい。どういう形で執行されて、どのようなところなのか見たいということを、改めて申し上げたい。
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辻元:
- 死刑廃止の流れは世界の潮流である。韓国でも死刑廃止法案が提出された。私たち議連も韓国に行って来たが、こうした世界的な流れの中で、日本は死刑に対する方向性を示さずに今世紀を迎えたことを誠に残念に思っているということを、申し上げたい。
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亀井:
- 国家が違えば違うのは当たり前。同じような犯罪を犯した者が、この地球に存在する同じ人類でありながら、ほとんどの国に置いて死刑されない。日本だけ死刑にする。死刑そのものの議論もするが、わずか日本とアメリカだけが行っていることで、人道的に配慮がなされてもしかるべきではないか。心優しい大臣は、秘書官に言われてやったに違いない。
それから、執行の前に家族と会わせるくらい、そのくらいはたとえ犯罪をおかしたとはいえ人として当然の権利ではないか。ちょっとおかしい。私は行政の現場もみてきたが、人の命を奪う決断をするのだから、ご自分も立ち会えば、立ち会って執行をおやりになればと思う。それは、全て現場をやれと言うわけじゃない。私は建設省でも現場で建設指揮をした。そういうことも、今後お考えになって。
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大臣:
- ご心配をおかけして恐縮です。特に尊敬する亀井先生には恐縮している。皆様にも心を砕いていただいてご心配いただき、恐縮の極み。現在法律上死刑が存在する。そういうものを前提に裁判が行われ、調査し、慎重に検討をした結論に死刑がある。裁判所の結論に基づいて執行をするのが法務省の立場であり、尊重しなければならない。それでもなお、考慮すべき点があるのではないかと、検討をし、全ての検討が終わり、そういう事態がはっきりして全ての検討が終わって法治国家であるので、執行を行うのが役割と思った。亀井先生が12月にみなさんとおこしいただき、十分考えさせていただいた。被害者の家族のことも承知していた。検討をしたが、この際、裁判に従うべきだと思った。年末のケースも、先生方の教えも考えていないわけではないが、大臣の役目としてやらなければならないと考えた。他の国で死刑をなくそうとしていることも聞いている。外国の方がお見えになったときもそのようなことを聞くし、先生方からのご質問でも聞いて、承知している。でも、日本には法律があり、それがもっとも重要だともっている。法がこうしてある以上は、それに従うのが行政の第一のつとめと考える。それが結論です。議連が増えていると聞いているが、国会のご意向で、刑法改正でなくすとか。現行法で制定されていればそれに従うのは当然。制度を維持していくのが立場。
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大島:
- それならば、情報の開示をしてくれないか。刑場、執行に関するマニュアル、執行をした人、執行命令書など。それを出してくれると受け止めていいのか。
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大臣:
- 刑場については委員会で、国政調査権で見ていただく。それは前から申し上げているとおり。委員会で検討なさればいいのでは。その他については、昨年の執行に限らず一般論として加害者のプライバシーの問題もあるので、細かく開示はしていない。被害者の家族、もしくは被害者にも大きな影響を及ぼす。法改正で廃止をすれば、そのような開示の必要もなくなるのでは。
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保坂:
- 国会の今後の議論に注目して欲しい。韓国では金大統領になってから事実上執行を行っていない。議連としては、国会で議論する時期に来ていると思う。その議論の間死刑を止めて欲しい。
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大臣:
- 議論はしていただきたいが、その結論が出るまでは必ずしもそうはならない。確定してから。
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保坂:
- 議論がおこっているのに、それを無視して機械的に年に数回執行を行うのはおかしい。韓国でも事実上とまっている。
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大臣:
- 他の国はどうしていようが、日本では考えていない。今の時点では(そのようなことは)申し上げられない。
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亀井:
- おっしゃることもわかるが、日本だけが特別ではない。今日本人はたまたま日本の中で暮らしているにすぎない。同じ罪を犯した人に対しては、法律があるから執行をしなければと言うわけではない。判決があるからしなければならなというわけではないはず。検察や裁判官も悪いことしているし。それぞれ考えはあるだろうが、かたくなにしなければならないと考えるのは果たしていいものか。ともかく、今後執行がないよう。秘書官が言うのだろうけれども、そんなの聞かなくていい。
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保坂:
- 刑場の件だが、委員会の求めがあればとおっしゃっているが、昔は個人でも見ている。土井さんなど。
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大臣:
- ああ、そうですか。
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保坂:
- 議連がまもなく100人になる。100人で視察を求めるので、その時は見せて欲しい。
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亀井:
- いや、私たちの前にまず大臣ご自身がみないと。
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大臣:
- 見ました。ずいぶん前ですが。委員会で決めていただくのが一番スムーズなんですがね。
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大島:
- 刑務官の人権も考えて欲しい。
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大臣:
- いろいろなご意見があると思う。今後も率直なご意見を頂戴したい。アドバイスをしていただき、間違えないようにやっていきたい。
(以上は、会見に同席した議員秘書のメモにもとづくものです)