コスタリカ平和視察日程表
コスタリカってどんな国なのか自分たちの目で見てみようと,2002/1/30から2002/2/7の間,弁護士9人,学者2人,市民12人,合計23人で,「コスタリカ平和視察」に行って来ました。
1/30 成田出発
1/31 コスタリカ入国。
まずバスに乗って首都サンホセへ。車窓からは,木々や電柱に選挙のポスターが貼ってある様子や民家の屋根や走っていく車に色鮮やかな旗がはためいている様子が見えた。ポスターはやたら大きく気まぐれに貼られているし,旗の大きさも実に様々(つけている旗が大きすぎて暴走族みたいな車もあった)。コスタリカ国民が,自由にのびのびと楽しみながら日常的に選挙活動をしていることが伝わってきた。
その後,国立博物館,国連平和大学を見学した。
2/ 1 法曹者団体コレジオ・アボガドス,選挙管理裁判所,外務省を見学。
一番印象に残ったのは,選挙管理裁判所。選挙活動の自由を十分に保障しようというシステムに驚く。選挙活動(ここでは集会のこと。戸別訪問や街頭での宣伝は入らない)の制限としては,夜10時までの時間制限,3ヶ月前から2日前までの期間制限(クリスマス期間は除く),買収の禁止,2日前と翌日のアルコールの禁止。買収以外は違反しても注意のみで罰則はない。そして,選挙の自由を守るために,選挙期間中,警察から選挙裁判所に警察権限の一部が移される。選挙活動は制限するものではなく,保護されるべきものというコスタリカの感覚に目鱗。
2/ 2 午前中は,弁護士のヴァルガス氏,元大統領夫人のカレン女史の講演。
ヴァルガス氏の「紛争は対話で解決することを教育で教わった」「(アメリカとの関係を聞かれて)友人だが従属はしていない。そのような地位を確保することは軍隊を放棄したからできた。」という話,カレン女史の「生命の尊厳を感じることはとても重要で,そこから軍隊の放棄,教育の重要性,環境保護の重要性が導かれる。」「軍隊放棄の意味はもっとシンプルに考えるべきではないでしょうか。軍隊よりは福祉にお金を使ったほうがいいでしょう。」という話は強烈な印象を残した。コスタリカ国民は,国の軍隊放棄について自信と誇りをもっていることがわかった。日本でも憲法9条をこんな風に語れたらいいのになあと思った。ちなみに,このカレン女史が平和の白いリボン運動の提唱者。
午後は,インビオという環境教育施設の見学。
2/ 3 午前中は,子供の模擬選挙と成人の選挙投票を見学。
今回の選挙は,二大政党の続いたコスタリカで,2党に並ぶ3党が現れた画期的な選挙であり,争点は海外融資増大,福祉施設の民営化,国際競争力増加という新自由主義政策をとるか否かという点だった。なお,コスタリカでは大統領候補は40%得票しないと上位2位の決選投票をするところ,この日は保守パチェコ候補が38%しか得票しなかったので,史上初の決選投票が4月になされることになった。
子供の模擬選挙見学では,コスタリカの民主主義教育の根深さを感じた。子供選挙とは,高校生が,3歳から17歳までの子供を対象に,選挙を知り民主主義を考えてもらう目的で始めたボランティア活動。1時間弱で,2500人もの子供が投票するという盛況ぶりだった。こんな風に幼児期から選挙のまねごとをすることで選挙に親しみ,民主主義を学ぶのだなあと関心した。
昼食後は,モンテベルデ自然公園へと向かった。
2/ 4 午前中は,モンテベルデ散策。壮大な自然につつまれ,リフレッシュ。
午後は,モンヘ元大統領と懇親会。彼は大統領就任時(1983年)に「コスタリカ永世・積極中立宣言」を宣言した人物。軍隊を持たないで調停と仲介をすることで積極的に平和を作り上げていくという積極平和主義の精神を語った。この精神は,まさに,日本国憲法前文・9条の理念だなあと関心した。また,当時右宣言をしないようにとの圧力がアメリカから加えられたことを話してくれた。
2/ 5 午前中は,憲法裁判所,国立病院を見学。
憲法裁判所については,国民が直接人権侵害を訴えるシステムや年間1万3 000件ほどの利用客がいることからも,国民にとって利用しやすい制度を目指していることがよくわかった。
午後は,もっといたいなあという思いを抱えながら,日本へ。
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