日時:2006年7月29日〜30日
場所:長野県小諸市・中棚莊
本年の夏期合宿は、島崎藤村がこよなく愛した、小諸の中棚莊で行いました。長野県知事選挙の真っ最中であったために、関係者の出席は出来なかったので、参加者は総勢8人となりました。しかし、コスタリカ大学生;ロベルト・サモラさんが参加してくれましたので、本腰を入れて、世界平和のありかたを討議できました。第2日目には、長野県・上田市にまでに足を延ばして、戦没画学生の作品を集めた「無言館」を見学し、戦争の理不尽性非人間性を実感し、平和とは人間の存在のために欠くべからざることを目の当たりにしました。
合宿が行われた中棚莊は林の中にあり、落ち着いた温泉宿で、千曲川のほとりにあります。島崎藤村は、中棚莊に至るこの道を行き来しながら、「小諸なる古城のほとり、雲白く遊子悲しむ・・・」で始まる「千曲川旅情」を作詞したのでしょうか。
中棚莊の入口の前にはヤギがいて、「メェ〜」と優しく迎えてくれ、ゆったりとした気分になりました。夕食には、このヤギのお乳をごちそうになりました。文字どおり「全員」でもてなしをしてくれたのです。
サモラさんは水を得た魚のように、コスタリカ大統領によるアメリカ合衆国のイラク戦争支援を訴えた、自分の裁判の意義を示しました。裁判に勝ったことは有名なことですが、さらに、ピースボートで活動するために来日し、その活動の一環として、カナダのトロントで開催した「国際平和会議」に参加したのです。
一転して、食事は日本食のため、サモラさんは勝手が違うようです。魚類は全くダメとのこと。それでも、一通りこなすのはさすがです。日本へ来て半年近く過ごしたので、何とかやりくりしている様子です。
静かな雰囲気に囲まれた合宿は楽しく終わりました。女将さんに見送られて、無言館に向けて出かけました。もちろん、お乳をくれたヤギも見送ってくれました。また、ゆっくりと来たいものです。ちなみに、女将さんの娘さんはコスタリカに大変に興味を持っており、訪問をしたりして、研究中とのことでした。
中棚莊より1時間くらい自動車で走って、林の中にひっそりと建っている無言館に着きました。入場料はとりません。掲載されている絵は全て実物であり、1979年に開館してから、かなり傷みが目立つのもありました。しかし、戦争の実態を示すために修復はしないとのことで、注意して拝観をお願いすると示されていました。実に、厳粛な雰囲気がただよっています。ここに掲載されている作品をつくった人は、どのような気持ちで、戦争におもむいたのでしょうか。「一度だけでいい、あなたに見せたい絵がある」と、購入した本の表紙に示されていました。