■やりくり上手のNPOに変身しよう            2001.08


NPOの事務局は「やりくり」上手になりたい。もちろん、「何のために?」というコンセプトは生命のように大事にしながら、それを実現するためのマネジメントの内実を育むことが肝心である。

NPOマネジメントの基本的な柱はいつくかある。

第1に、会員管理。志のあるメンバーの意向の掌握とひとりひとりのチエ・ワザを生かせる状況づくり。ひとりひとりに活動全体の中味とこれからの方向を多面的に示唆する質の高い情報の定期的伝達を行い、恒常的に会員を拡大していくこと。

第2に、資金管理。会費や自主事業・受託事業などから生まれる収入と、諸活動と経常的運営に必要な支出のバランス・チェック。収入見込み、月別資金繰りなどの定常的コントロールをメリハリよく行う。

第3に、対外交渉。他のNPOなどとのネットワークづくり。行政への政策提案や業務受注などの働きかけ。市民団体等からの相談・コンサルティング、などなど、そのことはさらに次の段階に進んでいく。

第4に、支援事業。市民・行政からの要請に応えて課題を解きほぐしていくための情報やスキルをもって支援活動を共にする協働のプロセスに身をのりだしていく。

第5に自主事業。ボーンセンターは、市民活動促進中間支援の業務に加えて、自ら市民事業を起こしていく。例えば、「ピーナツ・クラブ」(地域通貨活動)、「CO住創」(コーポラティブ、コレクティブ住宅づくり)、本づくりなどをプロモートし具体のプロジェクトを実らせていくことにかかわる。

NPO事務局としては、各プロジェクト起こしとそれらの間の相互批判と建設的方向を模索していくための創造的討議をまきおこす役割がある。千葉まちづくりサポートセンターは上記の3,4,5をすすめるための自立的な小規模活動体のゆるやかなネットワーク、いいかえればひとつひとつがキラキラと輝く星が連なりあった「市民活動体星座」のようなものである。この「星座」が地域の多様な市民のくらしと営みの不安をこえて希望のしるしになるためには、1,2の実務をきちんとこなしていくことが求められる。

「ボーン」発足後、上記の3,4,5の面でみるべき成果を着実にあげている反面、運営管理の面でギクシャクしているのは、1,2の「やりくり」下手にあるのではないか。3,4,5をさらに前進させるために、会員管理や資金管理などの「やりくり」を意識的に改善し、組織的危機をのりきらなければならない。特に資金管理の面では知恵や心をふくらませる市民参加型まち育てのスキルや市民活動によって生みだされている価値をアカウンティングし、それぞれのプロジェクトを経済的に評価する術を開発することが大切となる。そのことが、業務の経済的評価と運営の質的発展を生みだしていく。そのような視点から、総会後の最初の運営委員会で事務局体制を変更することになった。

「何をめざして生きるんや」のキモチを大切にしつつ、「やりくり」のカタチが早急に見えてくるといいナと思う。

延藤安弘


BACK