書籍紹介
「何をめざして生きるんや」 −人が変わればまちが変わる− 延藤安弘 著 (プレジデント社; 2001年5月)



●紹介者:橋本六郎さん(サポーター会員)

本書は、まちづくりの本です。タイトルは、まちづくりの上で最も必要なことが、「何をめざして生きるんやを基本として常に見失わないこと」だというところからきています。本書の構成は 6 章ですが、どこからでも読めるようなスタイルで、気に入った時間に、気に入った部分を改めて読んで、よりどころにできる点が魅力的です。

第 1 章では、事例を紹介しつつ、まちづくりに対する著者の理念が平易な言葉で示されています。言葉の背後に「何をめざしているんや」と問いかけることを奨めています。まちづくりは生活の営みそのものであり、著者はそこで“まち育て”と呼ぶ。それは、人の意識の移ろいや変革をも当然含んでいるのです。

第 2 章は、まさしく具体的なまちづくり活動は、理念によるよりも人間の活動リズムや生活リズムにのっとって進めていくものだと伝えています。

第 3 章は、意識を変えていった人達によって実現されたコトについての事例です。

第 4 章から 6 章は、創造的なことのきっかけ、“風の人”という表現で示されるまちづくり専門家としての力、交流のための現代の住まいにおける工夫などについて論じています。多彩な人々のそれぞれの思いと行動、そして、それらにつながる著者の幅広いの交流の姿が浮かびあがってきます。一人一人のつぶやきや発想の雫が、やがて流れになっていくいくつもの例が示されて、こんな人もいたんだ、こんなふうに話し掛けたんだと、まちをつくっていくことが実感できます。「気持ちのいいこと、好きなことを互いに共有して」一緒に進めようとすることの楽しさが想像されてきます。

これからのまちがどうあって欲しいかに関心のある人にとって、実践的で読みやすい本です。とりわけ、地方自治体の人にはぜひ読んで欲しい 1 冊です。

※頁数: 272 頁、価格: 1,500 円(税別)

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