第52回 ボーンセンター露天風呂 「団地再生と高齢者対応」
【講師】
泉 宏佳(ボーン運営委員)

「団地」と言われる集合住宅地の開発が進んだのは、賃貸住宅では40年代、分譲住宅では50年代がピークであった。そして集合住宅の寿命については、70年を目安としているが、その中間点、35年が過ぎた時点で、建て替えたり、リニューアルの検討時期と考えられている。日本の集合住宅は、現在、一斉にこうした課題を抱える時期に差し掛かってきている。一方、集合住宅の居住者についていえば、高齢化の進捗が著しい。というのも、初期の集合住宅は、定住型というより、一定時期の居住スタイルという受け止め方が大部分であったため、規模が小さく、部屋数も少なかった。このため、成熟した家族は子供世帯が分離独立して出ていくため、高齢者のみが残っていく結果となっている。
 こうした背景から、団地の再生が問題となり、高齢者への対応が課題となっている。露天風呂では、この2つの課題に取り組んだ事例を紹介しながら、問題点を整理した。事例では
「多摩平の森」、「高根公団」、そして現在進みつつある「豊四季団地」を紹介した。
 かつて、集合住宅の建て替えでは、未開発の容積率を実現し、余分の住宅を売ることによって、建設費の補てんを行い、居住者の負担を減らしてきたが、現在の、住宅が余っている状況では、こうした開発は不可能であり、自前での建設費負担が前提となってくる。しかし、団地居住者は高齢化に伴い年金生活者が増えてきており、とても負担には耐え切れなくなってきている。これまで、公共団体あるいは公的機関、そして民間などの参入も加えて対応が図られてきているが、まだ正解は見いだせていない。建物解体費用への公的助成や、団地内高齢者施設の建設では、用地費の助成等が必要となってくるだろう。
 当日は海浜ニュータウンの居住者や自治会役員の方など30名が参加し、熱心な議論が交わされた。ただ、課題の大きさを十分説明しきらないところもあり、消化不良のまま終った。   
(文責 泉 宏佳)



 

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