第27回 ボーンセンター露天風呂 「地域福祉でまちづくり」

【報告】
原田正隆(ボーンセンター運営委員、稲毛区地域福祉計画策定委員長)
【ゲストスピーカー】
相澤富代さん(美浜区地域福祉計画策定委員)
茂木俊輔さん(NPO法人千葉・在宅ケア市民ネットワークピュア)

■概要
当日の参加者はゲスト・報告者も含めて14名で、福祉に携わる仕事をしている方、福祉は全然知らないという方など多様な顔ぶれだったほか、非会員の方も2名お越しいただきました。
プログラムは、はじめに原田から「地域福祉とは何か」と、千葉市の地域福祉計画についての説明をし(ちょっと長くなりすぎましたが・・・)、次いでゲストのお二方から話題提供をいただき、その後、意見交換とまとめが行われました。
本稿では、ゲストスピーカーの方のお話以降のエッセンスをご紹介します。千葉市の地域福祉計画については、現在(平成17年12月15日から平成18年1月16日まで)パブリックコメントが行われており、概要版をどなたでも入手できますので、そちらをご参照ください。(問い合わせは千葉市保健福祉総務課=TEL:043-245-5158、または原田まで。)

■相澤さんのお話より
筆者が相澤さんと知り合ってから、かれこれ1年くらいになります。今年度のボーンセンターの総会イベントにもお越しいただきました。
相澤さんは、美浜区の地域福祉計画(案)に書かれている取り組みの中から立ち上がった、「災害時要援護者支援プロジェクト」の進行役をされています。「災害弱者」という言葉に抵抗のある方がいたので「災害要援護者」と言うようにしたとのことですが、問題は言い方でなく、「援護をする側」と「援護を必要としている側」の認識のずれにあるようです。すなわち、アンケート結果によると、「援護者」になってもいいという地域の人はたくさんいたのに、「要援護者」として登録を希望する人はゼロだったとのこと。個人情報の流出が心配という理由が大きいようですが、ニーズとそれを充たす資源もあるのにマッチできないという、思わぬ落とし穴にはまってしまったようです。現状で災害要援護者に対するマニュアル的なものはないのですが、平時のことも考えながら、ゆっくり時間をかけてこの問題に取り組んでいきたい、と締めくくられました。

■茂木さんのお話より
茂木さんはボーンの設立総会や主催シンポジウム「市民が創る公共建築の可能性」にもご参加いただくなど、ボーンとつながりの深い方です。
現在、医療系のNPOの事務局を務めている茂木さんですが、翻訳の仕事を通じて初めて福祉と接点を持ったそうです。そして、千葉県地域福祉支援計画策定に参画、計画を絵に描いた餅に終わらせないため、優先的に「10の実践」に取り組もうという「プロジェクト・ブレーメン」の研究会の委員も務められました。研究会では、生活圏で実現させるべき新しい地域社会像を提言、そのためのポイントは「地域資源と未充足のニーズの結びつけ」などいくつかありますが、実現のためには特にまちづくりの専門家に提言を読んでほしいとのこと。福祉の世界では最近「地域にひらく」ということがよく言われているが、まちづくりも「公共の福祉」が目的であるので、両者の接点は間違いなくあるはず。また、福祉もまちづくりも“人”が基本であるので、決してシステムをつくることを目的とせず、内なる力で地域コミュニティをつくりあげていくべきである、とまとめられました。

■意見交換とまとめ
意見交換の内容はごく一部しか紹介できませんが、「従来、“公助”の領域だったものをどれだけ“共助”に委譲できるかがカギ。」「計画の実現(誰がやるか)を考えると、今ある組織に頼るだけでなく、コーディネート役などが必要。」「今すぐに支援の手が必要な人のこと、生きていく権利のことも忘れないで。」・・・などなど、答えをすぐに出すことは難しい課題も多かったものの、意義のある意見交換ができました。
最後に福川代表から、「計画づくりは“流行り”の繰り返しの感もあるが、それはそろそろ終わりにして、中学校区くらいを基盤に、真剣に地域福祉社会づくりに取り組み、実現させよう!」との激励(?)がありました。
地域福祉にゴールはありません。これからも会員のみなさんと、地域のみなさんと取り組みを続けていければと思います。

 

(運営委員・原田 正隆)

 

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