第11回露天風呂
「社区営造享楽世界」〜台湾のまち育て〜

 

◇ 講師・木下勇氏の口上

今、台湾があつい! といっても気候の暑ささではない。まちづくりの熱気である。

台湾ではまちづくりを「社区営造」という。「社区」とはコミュニティや地域の単位、「営造」はつくるということ。日本のまちづくりや米国のコミュニティデベロップメントなどを取り込んでつくった造語です。ということは米国や日本に留学して帰ってきた人たちが、今このうねりの中枢にいることがなんとなくわかるでしょう。そして台湾の本格的な民主化は80年代後半にマーシャル法の網を解いてからのこと。それからというもの地域づくりへの情熱もひとしおなわけです。

現在の陳総統はこのような動きに支持されていて、また行政院の中の文化建設委員会という庁が率先してこの社区営造運動を支援している。行政とこのようなまちづくり運動との風通しがすこぶるいいのだ。またソフトとハードが組み合わされた総合的な活動へと展開している点がすごい。われらが延藤代表は「ひょっとしたらこっちの方が進んどるかも知れへんな」とぼやいていました。

私や延藤先生が台湾に行ったのは環太平洋コミュニティデザインの会議が開かれたから。その会議の会場となった島の漁村がこれまたびっくり、石造りの民家の景観のすばらしさは延藤代表がいっぱい撮っているはず(なにしろしょっちゅう行方不明でしたので)。常に皆が延藤先生が居ないのに気づく。それだけ注目されている訳は、Mr.Keywords さんと呼ばれるほど、まとめの語呂合わせが英語、中国語、日本語縦横無尽にかけめぐって、もうウケにウケていたから。会議の後は震災後の復興まちづくりの現場を視察しました。それもまたすごい!

 

◇ チンビー村の漁村集落

中国大陸に近いマーフィーという群島の一つにある小さな漁村集落。以前は48軒あったこの村も現在はわずか5軒と中学校が1校あるだけである。この石の構築物でつくられた集落が新たに観光開発され、漁村文化の再生が図られている。この村の特徴を延藤代表は、300枚のスライド(台湾震災復興現場報告も含む)と流れるような延藤節で紹介された。

石積みに穿たれた窓は絵画的構成をなしており、現代と未来をつなぎとめるような額縁となっている。狛犬など生物をデザインしたモチーフの造形物が至る所に配置され、神社は多様な文様とカラフルなデザインの伝統文化を残している。人が去り、風化した建物には野草が宿り、中庭空間や道空間にはコモンのしつらえがある。

(運営委員・成岡 茂)

☆露天風呂のおもしろさは、とても活字では伝えられません…。が朗報です!当日の模様をビデオ撮影してありますので、貸し出しをご希望の方は、事務局までご連絡ください。

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