八街市は協働のまちづくりを進めるために平成24年度
八街市民参加協働事業として、「八街市協働のまちづくり市民講座」を開講している。これまで市民に対する講演会や市職員研修会に、千葉大学法経学部 准教授 関谷 昇 先生がかかわって来られた。今年度は講演会形式ではなく、市民と職員がともに参加し、共通の認識を深めていくために各回のテーマごとに協働のまちづくりについて考える場として開催することを目的とし、2回の依頼があった。全8回の講座のテーマは、
1. 自治体の現状と課題
2. ボランティアとまちづくり
3. 環境と市民協働
4. 高齢者・障害者福祉と市民協働
5. 子育て、教育と市民協働
6. コミュニティビジネス
7. 地域コミュニティの現状と課題
8. 市民協働のしくみ・ルール、市民自治、まとめ
このうち、3.を鈴木が担当し、終了した。
第3回 「環境と市民活動」
―持続可能なまちづくりをめざして―
8月22日 八街市役所会議室
▽3.11以降の社会変化
昨年の3.11東日本大震災以降、大きく変わったこととして、これまでのようなエネルギーの大量消費による大量生産、大量消費、大量廃棄の経済優先、便利さの追求から新しい価値観を求めて、ライフスタイルを変えていかなければならないとの気づいた一般市民が政策、まちづくり、暮らし改善に行動を起こすようになってきた。このうねりは一過性なのか?今後、環境と市民活動、安心で住み良い持続可能なまちづくりへつながるよう期待したい。これまでの市民の環境活動の分野に、エネルギーと食の地産地消で持続可能なまちづくりの視点が具体的に課題となった。日本
は今、50の自治体でこれらが可能となり、地 域のエネルギー産業が雇用を生んでいる。バイオマス資源あふれる千葉は?八街市は?
既に少子高齢化、人口減少社会に転じ、社会に閉塞感があるが、円熟した大人の社会をめざしたい。
市民活動の低調な原因として、
1. 地域の問題は従来通り行政が扱うべき
2. 地域の問題の解決に関わるのは煩わしい
3. 第3者機関への根強い依存傾向
が挙げられる。先ず行政依存体質から、自分は何をしたいか、するべきかを見出すことだ。
▽地域の環境と市民活動の事例紹介
地域の問題解決と直面しながら、自然と共生した持続可能な住み良い環境形成を市民主導、協働で取り組んでいる事例紹介として、印旛沼再生・水循環健全化事業、南房総地域での県外から移住した市民と地域のネットワークづくりによる事業展開、新しい公共事業講座の中で公園の将来計画、ボーン・センターの事業などをPw.P.で紹介した。
受講者との交流では、「今後、環境問題に自分が関わる、行動開始する」ための具体的な質問や意見が出てきたことは良かった。
▽市制20周年と市民への期待
落花生の出荷で日本一の八街市はこれから秋の収穫後に畑に積み上げられたボッチの景観が見られる。台地上の街の歴史は海底だった時代の貝層、宮前古墳、奈良時代の山邉郡印までさかのぼる。谷津といくつかの川の水源地、分水界となっていることから、水環境、特に印旛沼への排水と水環境問題、里山、谷津田の保全、まちづくりなど17のNPOがすでに取り組んでおられる。
今年7月に市制20周年を迎えた八街市の市民が、この記念すべき年に改めて市民とは何か、行政がするべきことは何かを考える起点になればすばらしい。対等な協働関係のために、市民参加⇒協働⇒新しい公共へ向けて、市民の意識、主導力が問われている。
(副代表 鈴木優子 )