CB(コミュニティビジネス)の一般的な定義は特にないようだが、人口密度が高い都市部では「市民が地域の課題を解決するために行なう社会的事業」と云われ、過疎が進む地方では「市民が地域資源を活用して行なう社会的事業」と云われているようである。そこで少し長いフレーズだが、「市民が市民や市民のネットワークを含む地域の資源を活用して、地域の課題を解決するために行なう持続的な社会的事業」と定義しておきたい。
しかし、少し考えれば、こうした事業は昔から行なわれていた。最近特にCBが注目されるようになった背景には、経済のグローバル化による地方経済の活力の低下、行政部門の地方分権の流れなどが関係しているように思われる。どうやら地域、経済、経営、労働など、様々な視点から経済性と社会性を一体的に考える市民の地域活動が各地で重要になっていると認識されてきたようである。
近年の地域活動、社会貢献活動の高まりはNPOの設立件数が示している。NPO法が施行されてほぼ10年を経過するが、その間のNPO法人の認証数は全国で3万5千件に達しており、しかも法人格を持たない市民活動団体数は、その5〜10倍あると云われている。
そうした市民活動は、活動分野も多様、目的も様々であるが、ミッション優先の非営利活動が基本になっている。市民活動を大別すると、まず、自己の楽しみや仲間づくりに重点を置く趣味等のサークル型活動があるが、これらのほとんどが法人格のない任意団体での活動である。
NPO法人で圧倒的に多いのは、社会貢献、地域貢献、各種サポート事業を推進するボランティア型活動である。その特徴は、活動資金が会費、補助金で行政等から事業を委託される場合もあるが、活動する人は無償または無償に近い人件費で頑張っている。そのために経営は不安定で、行政等の下請け組織になりがちである。
こうしたボランティア型活動に、採算性、効率性、労働の動機付けなどのビジネスモデルを導入し、安定かつ自立的・持続的な活動を推進
しようというのがコミュニティビジネス型活動である。
サークル型もボランティア型もそれぞれ重要である。しかし、同様に重要と思われるコミュニティビジネス型活動が占める割合は、全体のNPOの中で非常に少ない。その原因は、まずNPO法の構造やNPOに対する社会的理解に起因していると考えられる。
NPO法によるNPO法人の設立要件は、不特定多数の利益のための活動であり、サービスを提供する対象者に対して顧客という認識が薄れがちである。ともすれば公平・平等を基本とする行政のような考え方に陥ってしまうので、階層的な顧客ターゲットを絞りにくい。それでは適正なサービス対価を求めにくく、適正以下の価格あるいは無償でサービスを提供することが一般化している。そこで、どうしても補助金、助成金への依存、委託事業による下請化が進んでしまうのである。また、もともとNPO法人には、寄付はできても出資ができないので、資金力に乏しい。こうしたいくつもの要因が重なって、コミュニティビジネス型の地域活性化の担い手として期待されるNPO法人がなかなか増加していかない。
ボランティア型活動が一般化している社会の中で、経営を安定させるビジネス的な視点がなかなか理解されないので、最近は営利を目的とせず、出資者に配当を行なわない非営利株式会社なども出現している。コミュニティビジネスは、冒頭の定義に該当していれば、形態は株式会社でもNPO法人でも何でも構わない。
ボーンセンターは、9月6日から毎土曜日、全6回のコミュニティビジネス起業化講座をコーディネートしている。これは、千葉市の委託事業であり、国の各省も地方自治体も、温度差はあるものの、地域活性化の有力な施策として、コミュニティビジネスの育成や担い手の育成に着手し始めているのである。
(副代表 栗原裕治)
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