新聞やテレビで、政府の産業構造改革・雇用対策本部の審議内容が伝えられるが、総花的な内容か、一部の内容しか一般の市民に伝わってこない。6月26日に中間とりまとめが発表されたが、
1.新市場、新産業の育成による雇用創出
2.人材育成・能力開発の推進
3.安心して働ける就業環境の整備
4. 労働市場の構造改革に適した雇用面のセーフティネットの整備
の4項目の基本的な方向性が示されたと言われている。
この「1.新市場、新産業の育成による雇用創出」の中に、「新たな経済主体(NPO)の育成」という章が設けられており、政府もようやくNPOを新たな経済主体として認めるようになっている。既に関東経済産業局の中にもNPO推進室がある。
「新たな経済主体(NPO)の育成」の内容は、「近年、介護福祉、環境、リサイクル、まちづくり等の分野で先駆的な社会事業を実施する新たな組織形態であるNPOの設立が相次いでおり、こうしたNPOは高齢者、女性、障害者の社会参画や雇用を促進し、充実した自己実現の場を提供するものとしてわが国経済社会にとってますます重要な役割を果たすことが期待される。このため、経済社会システムにおけるNPOの位置づけについて分析するとともに、NPOが事業主体、雇用主体ととして発展する上で隘路となっている人材、資金、活動基盤等に係わる課題を明らかにし、その解決のために必要な整備を図る。」というものである。
今後の具体的な作業として、「NPOの位置づけについて分析」、「NPOによる経済社会インフラ整備の促進」、「NPO活動の環境整備」、「NPO法の見直し」、「NPO会計基準に関する考え方の整理」、「NPO法の適切な運用」を掲げている。
こうした中央政府の動きは、NPOにとって歓迎すべきことであるが、大きく3つの懸念がある。
一つ目は、NPOの現場は、主に地域であり、地域の意見が反映されなければ意味がないこと。
二つ目は、NPOを行政の便利で安価な下請けとする考え方が根強くあるので、これを払拭する必要があること。
三つ目は、「NPO法の適切な運用」など、計画には「適切な」といったあいまいな耳障りのよい言葉が羅列され勝ちだが、「適切さ」を判断する主体を明確にする必要があること。
栗原 裕治
|