代表のぼやき

2008.01


「行動するシンクタンク」 としていっそうの奮起を!

さる12月21日に開催された東京都環境審議会総会で。
「バリ島で行われたCOP13に参加してきました。米国の妨害などで、今後の削減レベルの数字を明示したものとならなかったことばかりが報道されていましたが、同時に開催された京都議定書の下での特別作業部会では明確に、今後10〜15年で排出のピークを迎えてその後2050年までに大幅に削減する必要があること、締約国は2020年に90年比25〜40%削減が必要であることなどがはっきり明示されました。気候変動対策の強化は喫緊の課題です。政策の構造転換が必要であり、それは既存の対策の延長線上だけでなく、気候変動を防止するという明確な決意の下で、大胆かつ早期に実現しなければなりません。今までのように企業や事業所の自主的な取り組みに任せているだけでは、必要なレベルまでの削減を確実に進めるには不十分です。削減義務と排出量取引は必然的施策であり、現実的な削減手段のひとつです。」
「経済界のお立場は理解できないこともありませんが、このままだと将来どうなるかということに思いを馳せれば、今何か手を打たなければいけないことは確かです。それほど深刻に捉えておられない向きもありますが、私はそうは思いません。だとすると今の経済を継続するのではなく、状況に合わせて経済を作りかえることが必要なのです。EUのキャップ&トレードではさまざまな問題が起きていることは事実ですが、EUはそれを止めるのではなく、なんとか改善していこうとしている点が重要なのです。」
「本日の午前中に国の環境省と経済産業省の合同審議会があり、温暖化ガス削減目標達成の最終報告案がまとまりました。そこで明らかになったのは、国のレベルでは審議会が始まって以来何ら効果的な手段がとられてこなかったということです。環境税も排出権取引も議論だけに終わった。そんな中で東京都が削減義務と排出量取引に乗り出すことは、行き詰まっている日本の地球温暖化対策を打開する大きなチャンスです。今度の制度は、従来からの「地球温暖化対策計画書」や「建物」の経験の上に展開されるもので、言われる公平性などの問題もゼロから始めることに比べればはるかに小さいはずです。経済界もこれに反対するのではなく、新しい経済的枠組を構築するチャンスと捉えるべきです」
委員が次々に発言したのは、審議会の二三日前に、経団連など8団体が、審議中の環境確保条例改正について、各委員に次のような意見を送付したからである:
「『大規模排出事業所への削減義務』と『排出量取引制度』については、強度の規制により企業の公正な競争や技術革新を阻害するばかりか、民間の活動そのものを行政が統制するもので、都市の活力の原動力を損なうなど多くの問題があり、その導入に反対いたします」
東京都では、産業部門と運輸部門の二酸化炭素排出は低下しつつあるが、業務部門と家庭部門は依然増加傾向にある。とくに業務部門の増加が著しい。
ここに効果的な手を打つべく検討が進められ、中間報告をまとめる総会で上記のような議論となったのであった。中間報告は無事に知事に手渡されたが、問題は、こうして条例ができても、必要な二酸化炭素削減には到底及ばないということである。
12月16日、露天風呂(ボーンセンターの公開講座)で加曽利貝塚を訪れた。坂月川沿いの低地でビオトープによる自然回復の努力が続けられる一方で、それを埋める乱暴な宅地開発が進んでいた。モノレールの客を増やす措置がこのような開発にお墨付きを与えている。これは業者の問題というより、私たちの社会のシステムの問題である。それは温暖化問題の議論とまったく重なる。ボーンセンターの使命は、あるべき社会システムをめざして、地域に根ざしグローバルに発想する「行動するシンクタンク」となることだ。本年は今までにも増して環境問題がクローズアップされるだろう。メンバー諸氏の奮起を期待します。

千葉まちづくりサポートセンター代表・福川 裕一

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