博物館提言シリーズ 4

県立中央博物館における県民と専門家による「千葉の干潟展」開催事業報告書
*A4判、横書き、253ページ→WEBオーダー

この報告書は、平成18年度に千葉県とNPOの協働で実施した「千葉の干潟展」事業の記録である。
NPO法人千葉まちづくりサポートセンター (以下ボーンセンター)は、市民活動の中間支援を目的とした市民シンクタンクとして、「これからの行政運営や市民参加のまちづくりには、市民の多様な思いや考えを反映させた開かれた対話が重要」という考えのもと、科学的知見を有する博物館の専門性や教育・研究施設としての場所や機能に注目し、実行委員会を組織して平成14年度に【千葉県博物館構想に関する提言】を行い、また、平成15年度に千葉県の委託事業【新世紀における千葉の博物館が生み出すべき価値の検討と評価尺度づくり】において「県民と響きあう博物館像」を提案してきた。 
そして具体的な取り組みの第一歩として、平成17年2月に千葉県立現代産業科学館において、ボーンセンターの自主事業として、東京湾に残された貴重な干潟の保全・再生活動を展開している地元の市民団体と協力し、実行委員会方式で【三番瀬・盤洲干潟展】を開催したが、この【三番瀬・盤洲干潟展】は、博物館と県民のパートナーシップとしては初期段階のものであり、県民が博物館に展示場所を提供してもらい、博物館からすれば一方的に県民を支援する事業にとどまっていた。
しかし、ボーンセンターが提案してきた21世紀の博物館像は、地域の課題に地域住民と一緒に取り組み、新しい公益的価値を創造していく地域づくり・まちづくりの拠点であり、【三番瀬・盤洲干潟展】を深化させた本格的な博物館と県民の協働事業が必要と考えていた。今回の「県立中央博物館における県民と専門家による『千葉の干潟展』開催事業」は、こうした経緯が千葉県の提案募集事業の採択につながったと考えている。
千葉県内には博物館と県民が協働で取り組むことが必要な課題が多く存在している。「生物多様性の保全・再生」「文化多様性の保全・創造」などは、地域づくり・まちづくりにとっても重要である。
今回の協働事業は、初の試みる事柄が多く、本格的な協働事業としては物足りない面もあったが、協働事業を理解し、参加者全員が困難を乗り越えようと努力し、事業を完遂しての満足感も大きかった。この報告書が新たな博物館と県民の協働事業の参考になれば幸いである。

 

2007年3月
特定非営利活動法人 千葉まちづくりサポートセンター 
福川裕一、 家永尚志、川本幸立、栗原裕治、鈴木優子

本編目次
T.公募企画書提出から事業開始まで
1.県とNPOとの協働事業提案
(1)公募企画書
(2)協働事業の採択まで
(3)企画の修正
2.契約前の協議
(1)行政との協議
(2)事前準備会の開催
(3)中央博物館との協議
3.まとめ

U.契約時から実行委員会開催までのプロセス
1.最終の契約内容
2.実行委員会開催の準備
3.第1回実行委員会2006年5月23日

V.干潟観察会及び「干潟展」開催に至る協働作業
1.中央博物館との協議2006年6月7日
2.第1回企画・製作部会2006年6月13日
3.第2回実行委員会2006年6月20日
4.第2回企画・製作部会2006年7月10日
5.第3回企画・製作部会2006年8月日
6.第4回企画・製作部会2006年9月20日
7.第3回実行委員会2006年10月3日
8.第5回企画・製作部会2006年10月17日
9.第6回企画・製作部会2006年10月23日
10.第7回企画・製作部会2006年11月20日
11.まとめ

W.干潟観察会の概要
1.観察会の概要
2.まとめ


X.「干潟展」の概要
1.展示品
2.会期中の関連イベント
(1)シンポジウム
(2)ギャラリーコンサート
(3)ミュージアム・トーク
(4)干潟のプランクトン観察
(5)関連講座 渡り鳥のくる干潟
(6)その他
3.干潟マップ
4.実施者の構成
5.印刷物及び広報
6.まとめ

Y.振り返り
1.第4回実行委員会2007年3月11日
2.来館者の感想
3.実行委員・協力者の感想
4.NPO公募型事業成果報告会
5.自己評価チェックシート及び評価委員会評価
6.まとめ

あとがき

資料編 

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