72. 小田マサノリ さんと高石ともやさんの新宿フォークゲリラなどについての談話『 東京新聞』2003.10.13)(2003/10/18搭載)

『東京新聞」10月13日号の「こちら特報部」では、10月6日夕に渋谷・宮下公園から行なわれた「サウンド・デモ」についてのルポを掲載したが、そのなかに、このデモと1969年の新宿西口地下広場での「東京フォークゲリラ」とを関連付け、それと比較したりする部分も含まれており、小田マサノリ氏や高石ともや氏の談も引用されている。その部分は以下の通り。

  元祖は新宿西口フォークゲリラ?
 
こうした評価に対し、主催者の一人、大学研究員の小田マサノリさん(37)は次のように言葉をつなぐ。
 「春のワールド・ピース・ナウのデモは警察と事前に打ち合わせ、ゼッケン着用禁止など規制ばかり。サウンドデモへの警察の過剰な介入は、現代の見えない管理を浮き彫りにした」
 その小田さんがイメージを重ねるのは、六〇年代末のベトナム反戦運動で生まれた「新宿西口フォークゲリラ」だ。六九年春から夏にかけ、新宿駅西口地下広場で開かれたフォーク集会で、最盛期には約一万人がひしめき合って事実上、占拠。「新宿解放広場」と名付けられたが機動隊の強制排除で消滅した。

 しかし、その時代の当事者、「受験生ブルース」で知られるフォーク歌手の高石ともやさん(61)はサウンドデモを否定も肯定もしないと前置きしつつも「思想性がない」と批判する。
 「時代が違うといってしまえば、それだけだが、彼らと僕らでは人と人の連帯の在り方がまるで異なる。フォークゲリラは人を動員しようではなくて、自然に輪が広がっていった。単純に興奮を求めてではなく、一人ひとりが考え抜いて逮捕も覚悟で広場に向かった。(サウンドデモの)大音響と言うのは、それ自体が権力的で暴力的。それが嫌で僕は今でもエレクトリックギターを使わな」
 思想性のなさを利点とみるか、無意味とみるか。それいぜんに「路上解放」というサウンドデモも届け出デモ。ただ、いかめしい単語の裏側にはデモ行進そのものが日常ではなくなった該当が横たわっている。何より、「こんなふうに意思表示ができる日本は良い国」という若い参加者の言葉が実は薄ら寒くもある。
 次回の予定はまだ、立っていない。でも、警察の規制が厳しくなった現実にも小田さんは意気軒高だ。
 「今回と同じように封じ込められては芸がない。次回は新機軸で対抗します」

 (この「こちら特報部」のルポの見出しは以下の通り。渋谷で「反戦」テクノ大音響 デモは踊りでええじゃないか 思想ないけど路上は新空間 機動隊まで出動 警備、過剰反応? 『生活規制の中、接点の場に』 マンガ規制反対も(田原拓治)」

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