71. アメリカでベトナム反戦運動論のアンソロジー発行（99/07/30）

　アメリカで、つい最近、ベトナム反戦運動についてのアンソロジーが刊行された。タイトルは　『ベトナム戦争に抗して――反戦活動家による論文集』　"Against the Vietnam War 　　 Writings by Activists"、出版は、シラキューズ大学出版局。

　編者は、メアリー・スザンナ・ロビンズ　Mary Susannah Robbins 、1967年、ラドクリフ大学卒、1973年にボストン大学で英文学の Ph. D. （博士号）を取得とあるから、ベトナム戦争中は大学生という世代のようだ。現在はボストン大学などで英文学を講義。

　この本には、全部で25編の論文が収録されており、筆者はデイヴィッド・ハリス、ハワード・ジン、ノーム・チョムスキー、カール・オグルズビー、ジョーン・バエズ、デイヴ・デリンジャー、ストートン・リンドなど、わが国でもよく知られた反戦活動家で、中にはマーチン・ルーサー・キングのように故人の文も含められている。新しく書かれた文もあれば、ベトナム反戦運動の最中に書かれた文、戦後になって発表されたものなど、執筆時期はさまざま。編者は、これらの文でのべられている諸問題が、過ぎ去った問題ではなく、今現に、アメリカを二分している問題だとのべ、それは、若い世代に、民主主義とは、表現の自由とは、異をとなえる権利とは何か、そして、考え方が対立している世の中での生き方とは、などを教えてくれるとのべている。

（Sytracuse University Press, ペーバーバック版で　Amazon での値段は　＄19.96）