36 大統領選挙 (その1) (現地時間 2004年10月10日 10:13:54発 日本時間 11日 11:11:30受信)
アメリカの大統領選挙に関してのニュースでも送ろうか、と思っていたのですが、なかなかいいものがない。
だいたい日本の新聞でも報道されているでしょ。もっとも、質と量はずいぶんと違うけど。
前回のディベートでも、日本の新聞は、ワシントンの英語の新聞を読んでから報道している。もっとも次の日まで待てないから、オンラインの新聞、NYタイムス
とかワシントンポストとか、あるいはLAタイムスなどのクオリティペパーを読んで、あとは適当に。それとテレビを見ていると、いろんなコメントがでるでしょ、それを参考にしている。
当たり障りのないことを書いている。だいたい、こんなところだろう、と。自信がないから、こうだとは書けない。
第二回目ディベートは、一回目より見ものだった。ボクシングみたいなものだ。オンライン雑誌Salonによれば、ポイントはケリーに、だけどノックアウトにはいたらなかった、との評価。オンラインのクオリティペパーだって、アナリシスのところを読めば、似たようなことが書いてある。露骨ではないけどさ。これで少し、ケリーが勝つチャンスが出てきたのではないか。接戦であることは間違いない。だいたいStupidityというのが、重要なのですよ。ブッシュは、Stupidに見える。自分に近い、だから支持する。ケリーは、頭がよさそうに見える。だから信用できない。ということ。それらのことが、無意識のうちに働く。
今日のNYタイムスによれば、ディベートの最中に、ブッシュは背中に仕込んだ受信機と耳の中に仕込んだ小さなイヤーホーンで、会場の外から政治的なアドバイスを受けていた、可能性が高い、とのこと。だけどこれも、Asahi.comにも出ていた。
だけど、これは出ていないはずだ。今朝の、サンフランシスコ・クロニクル紙。アメリカの大統領選挙の場合、電話による調査が重要です。ディベートの後でも、あるいはその前でも、500人なり1000人を選んで、どちらが勝ったか、どちらに投票するか、あなたはどちらの政党を支持しているか、などを聞いて、それが即座にテレビに出る。次の日の新聞にもでる。これを参考にして、両方の政党とも、戦術を組み立てなおしたりする。
さて、問題は、携帯電話。携帯電話の番号は、連邦政府の規制だとかで、電話帳の中に入っていない。それで電話聞き取り調査の中には、携帯電話は入っていないのです。この記事によると、アメリカの所帯の5パーセントがケーブルでつながっている電話を持っていない。つまり携帯のみ。また15歳から25歳までの、アパートに住んだり寄宿舎にすんだりしている人は、携帯のみの人がおおい。そして、これらの人たちは、「たぶん」、ケリー支持者が多いのです。
それに携帯に電話をして調査ができたとしても、アメリカの場合は携帯用のエリアコードがありません。510というエリアコードをもっている携帯電話に電話をして、あなたはケリーを支持しますか、あるいはブッシュを支持しますか、と聞いても、その人がサンフランシスコ湾岸地域(510)に住んでいるとは限らない。するとこの調査は意味をなさない。この人がカリフォルニアに住んでいるならいいけど、アイダホに住んでいたりしたら、その数をアイダホに入れないといけないわけだし、選挙人(これを投票者が選ぶ)の数も違うし。
ということで、この携帯電話と世論調査の誤差はどの程度か、電話世論調査会社も、政党も、大騒ぎをしているらしいよ。
第二回ディベートは、友人夫妻のうちで、二階のベッドルームに上がりこんで、ときどきみんな野次を飛ばしながら見た。静かに、静かに、とか。ワインを飲んだり。そのあとで、近くのレストランまである行って、食事をしました。この友人は、来週から、スイング・ステイトのひとつ、どこだか忘れた、の小さな町の民主党事務所にボランティアで行くと言っていた。民主党党員ではない。今回は特別。
経済学の教授で、向こうの事務所の責任者は、あなたにやってもらうような仕事はないですよ、とのことらしいけど、なんでもするからさあ、と押しかけていくらしい。
レストランに歩いていく途中で、近くに住むその友人の93歳になるお母さんが、車イスで押されながら、これも別のレストランに行くところ。戦前の共産党員、いまでも意識はバリバリの左翼です。老人で、もう体が小さくなっていて、車イスに崩れるように座っていたけど、ニコニコして、ケリーはよくやったと小さな声で言っていた。
バークレーのみで可能な風景かもしれない。
まあそういう町に住んでいる。ここがアメリカだと思ったら、大間違い。
Kenji