12. バーバラ・リー議員への激励パーティ 現地時間 10月20日 21:04:28発 日本時間 21日 13:55:13受信)
昨日、つまりカリフォルニア時間の10月19日の午後3時から、我がオークランド・バークレー地域選出のバーバラ・リー議員(アフガニスタン攻撃の議会決議に唯一反対したことので日本でも有名だと思うし、数カ月前に日本に来ていたはず)の資金集め・激励パーティが開かれました。私たちにも招待状が来ていたけど、その時間は、私はあいにく東京に向かう飛行機の中だったので行けなかった。バーバラ・リーは、長い間、我が地域から選出されていた黒人国会議員の地盤を、彼の引退とともに引き継いだ人で(彼女も黒人です)、例の投票でアメリカ中から脅迫状が届いていても、来月の選挙でも、まず落選することはないとみんなは思っている。
資金集めといっても、いま手元に招待状がないから正確ではないけど、たいした額ではない。75ドルから500ドルまでいくつか選択があって、その中から自分の好きな額を選んでチェックを書けばいい。チェックを書かなくても、激励に行くだけでもいいのです。我が家は、家族決議をして、女房が出かけていって75ドル払いました。今朝、女房から電話があり、パーティは80人から100人ぐらいの規模で、友人がたくさんいたとのこと。これは公けの場所でのパーティだったけど、個人の家でのこういう激励・資金集めパーティもある。パーティでのバーバラの発言の興味深かったことは、女房によれば次の二点。
今回の議会でのイラク戦争決議では、バーバラらが提出した政府案への反対への決議案、もうひとつそれよりは少しマイルドな形だが政府案への反対の案などがあったのですが、バーバラは、黒人議員とラテン系議員のみを選んでこの2つの反対決議案の
方に投票するように働きかけたそうです。徴兵制がなくなって以来のアメリカ軍は、黒人とラテン系がその多くを占めている。軍は、職業訓練(技術系の訓練が受けられ、資格が取れる)とか大学への奨学金がもらえるなどということで、彼らを軍に集めてくる(志願させる)のです。兵士の多数を占める黒人・ラテン系の人間が選出した、黒人・ラテン系議員を反対決議案にオルグすることが、もっとも重要だと考えたからだ、と言っていたそうです。そして彼女によれば、黒人・ラテン系議員の100パーセントが、政府案に反対の投票をしたとのこと。と言っても、その数はたいしたものではない。
もうひとつ彼女が話したことで、女房が興味深かったと思った点は、数年前の議員への調査で分かったことは、議員の60パーセントしかパスポートを持っていないということ。つまり40パーセントは、外国に行ったこともほとんどなく、行くことに興味も
持っていない。たしかブッシュ大統領も、大統領になるまでに4,5回しか外国旅行をしたことがなく、アジアには一回しか行ったことがなかった。この辺は記憶があいまいだけど。
最後に、オークランドの17歳の黒人高校生がバーバラに政治家として頼みたいこととしての発言があり、学校が終わったあとに「安全に」に行ける場所にコンピュータを置いてほしい、と言ったらしい。多くの公立中学・高校ではコンピュータ・ルームが
あり、授業では使えるが、授業が終わると生徒を全部外に出して、その部屋にカギをかけてしまう。放課後に使えることはない。盗まれてしまうからね。ゲームは必要ない、ただ勉強ができたり、インターネットが使えたりする環境がほしい、とのこと。
「安全に」ということでは、やはり説明がいるだろう。その高校生が言ったところによれば、彼は過去1年半、日が暮れてから家を出たことはない、母親(父親ではない。多くの黒人家庭はシングルマザー家庭)も出てはいけないと言うし、自分も安全ではないと思うから。もし出るならばピストルを持って自己防衛しないといけないだろうし、それはイヤだから、とのこと。
オークランドは、高級住宅地もあれば、この高校生が住んでいるような黒人地域もある。ぼくの住んでいるところは、「安全な」黒人住宅街に隣接している白人が中心の住宅街です。オークランド市の知事は黒人で、黒人住民の多いところ。その黒人たちが住むごく限られた狭い治安のよくない地域では、年間に100人ほどの人が、撃たれたり刺されたりして死ぬ。
東京にいます。時差ぼけです。
以上。
Kenji Muro