642. グエン・テイ・ビン女史回顧録、ベトナム詩集などコールサック社が出版 2013/08/14掲載)  

 詩などを出版しているコールサック社が、ベトナム元国家副主席のグエン・ティ・ビン女史の回顧録『家族、仲間、そして祖国』(左の写真)と、ベトナムの詩集『ベトナム独立・自由・鎮魂詩集175篇』(右の写真) とを出版されました。前者は四六判/368頁/ソフトカバー ¥2,000+税、後者は鈴木比佐雄、佐相憲一、グエン・クアン・ティウ編 『ベトナム独立・自由・鎮魂詩集175篇』 (日本語・英語・ベトナム語 合体版)A5判/632頁/ソフトカバー \2,500+税です。
 
ビン女史の回顧録には、小中陽太郎さんの跋文も載せられています。日本でのベトナム反戦運動については、138〜139ページに以下のように書かれてあります。

 戦争中、ベトナム南部解放民族戦線のメンバーは査証が得られず日本には入国できませんでした。この時.日本政府はアメリカ側に付き従い、よって日本には多くのアメリカ空軍海軍の基地がありました。その最大のものは沖縄にあり、ベトナムを爆撃する戦闘機が毎日出撃していました。しかし、そこに我われの戦いを支持する強力な運動があったことは知られています。青年・婦人・労働者組織などの日本の進歩派の勢力、平和委員会、日越友好協会、べ平連、特に日本共産党が、アメリカの侵略戦争に反対する様ざまな活動をしていました。ベトナムの戦場で使われる物資の輸送を阻止するため、何千人もの人びとが港で座り込みをしました。「ベトナムの子どもと母親に一円を」という運動もありました。思うに、日本は広島と長崎の原爆被害国ですから、ベトナムの人民にもすぐに共感できたのでしよう。……

 後者の詩集では、売上げの5%を枯葉剤被害者に寄付されるそうです。この詩集については、編者の一人で、コールサック社の代表、鈴木比佐雄さんが、以下のような解説を書かれていますので、紹介しておきます。

 もしこの詩集のベトナム詩人の105篇の中で、1950年代頃までのすでに書かれていた50篇をアメリカの指導者たちが読んでいたら、アメリカは1964年にトンキン湾事件をでっち上げて、ベトナムに50万人以上の兵士を送り、北爆を開始しただろうか。それらを読んでいたら、ベトナムは2000年以上にわたり、独立自由を国是として決して負けない国であることを知っただろう。冒頭の詩篇は十世紀の頃から語り継がれてきた伝説と化した、侵略者に決して屈しないベトナムの民衆の魂を体現したものだ。私たち日本だけでなく世界中の人びとは、なぜベトナム人にはこれほど揺らぎのない独立・自由の精神が備わっていたのか、その秘密を知りたいと願っていた。そんなベトナムの精神の秘密は、この詩集を読めば、私たち一人ひとりに、105篇の回答が語りかけてくるだろう。

 175人の詩人たちと翻訳者の力を合わせてこのような詩集が出来たことは、ベトナムと日本の国交樹立40周年に相応しい価値ある仕事になったと思う。この詩集がアジアだけでなく全世界で読み継がれていくことを心から願っている。最後に私はこの詩集を今も苦しんでいる枯葉剤被害者たちとベトナム平和を願う多くの人びとに捧げたいと思う。

      (解説・鈴木比佐雄)

 コールサック社の連絡先は、TEL:03-5944-3258 FAX:03-5944-3238。お問い合わせは、編集部:鈴木比佐雄 suzuki@coal-sack.com ヘ。

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