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なだいなだ
さん逝去。(2013/06/16掲載)
作家で精神科医であるなだいなださんが、6月6日、ガンで逝去されました。83歳でした。深く哀悼の意を表明します。(写真は『市民の意見30の会・東京ニュース』90号) 本名は堀内
秀(しげる)で、「なだいなだ」というペンネームは、スペイン語の
"nada y nada"(何もなくて、何もない)に由来するそうです。
ご承知のように、なださんは、ネット上の仮想政党「老人党」を立ち上げたり、井上ひさしさん、内橋克人さんとともに「鎌倉・九条の会」の呼びかけ人にもなり、ユーモアもたっぷり含みながら、独自の反戦・社会批判論を展開し、「強い国ではなく、賢い国にしよう」と主張されました。
なださんは、ベ平連の脱走兵援助活動に参加し、自分の家族との間にいろいろ難しい問題も生じたことを小説にした作品があります。あまり読まれていなかったようですが、『影の部分』(1985年、毎日新聞社)です。しかし、ぜひ読んでいただきたいと思います。本の初版の帯には、「ベトナム戦争が投げかけた陰――脱走したアメリカ兵を匿いながら、ノンポリを装う父、その気持ちを知らずに過激な学生運動に走る娘。一つの時代を象徴する出来事に巻きこまれた父と娘の姿を鮮明に描く長編」とあります。
なださんは、2005年4月5日、「市民の意見30の会・東京」で、小田実さん、鶴見俊輔さん、澤地久枝さんとともに講演会に参加されました。なださんは、「われわれが考えるのは、人間の問題なんですよ。国のあり方は、われわれの決めることなのです。私たちの仕事は、戦争のない未来の世界を、次の世代の人たちに譲り渡したいということなんですから、国なんて滅びようが、なくなろうが、問題じゃないんです」と話したのでした。この全文は、以下をクリックすると、『市民の意見30の会・東京ニュース』90号)の講演会の全文が見ることができます。この講演の中でも、さきの『影の部分』のことに触れています。また、2004年4月の『市民の意見30の会・東京ニュース』83号には、「なんでも語ってやろう」
という文で
、「ぼくたち老人の視野には、学校での日の丸、君が代の強制と、天皇制と、イラクへ派遣された自衛隊が、日の丸だらけだったことが、一つの風景として映る」と、君が代と天皇制と自衛隊についての鋭い視線を語っています。この文も左の図をクリックして全文を読めます。