42. 小中陽太郎著『青春の夢』出版記念会 (98/09/27)

   9月24日夜、小中陽太郎著『青春の夢』(98年8月 平原社刊 ¥5,000)の出版記念会が東京、市ヶ谷のアルカディアで開催され、約200人が参加した。この650ページの大著は、明治の作家、小栗風葉とその弟、喬太郎(独逸共産党日本人党員)らの伝記だが、べ平連やデモ、脱走兵援助に触れた部分も出てくる。主人公の小栗兄弟は、小中さんの近い姻戚関係にある。出版記念会にはペンクラブの尾崎秀樹、巖谷大四さんらのほか、鶴見俊輔、井出孫六、遠藤洋一、栗原幸夫、小林トミ、高戸要、中川六平、中部博、野田裕次、針生一郎、水口義郎、吉岡忍、吉川勇一さんら、旧べ平連関係者も多数出席した。

  挨拶にたった鶴見俊輔さんは、小栗喬太郎が残した日本共産党の官僚主義についての提言を引用しつつ、官僚主義は、党に限らず、あらゆる機構に伴う弊害だが、べ平連がひどい官僚主義に陥らなかったのは、小中さんの小説『ファック』のように、運動の過程で、運動の中心的当事者の一人が、運動自体の内部を赤裸々に小説に書いてしまうのを許すような自由さがあったからだ、と述べた。栗原幸夫さんも挨拶で、およそこの方面ではまったくの素人だった小中さんが、この労作を通じて、いまや戦前の国際共産主義運動のすぐれた研究者になってしまって、一驚しているとのべた。

  ニュース欄先頭へ ホームページ先頭へ