357 故前川美智代さんのことについて(04/09/05掲載)
本「ニュース」欄No.348、350でお知らせしました元名古屋ベ平連の創立者の前川美智代(魚住けい)さんの沖縄での葬儀には、「旧ベ平連有志」の名で生花をお送りしたのですが、このほど、葬儀の喪主である家中茂さん(前川さんのお連れ合い)と「お別れの会」実行委員長の夏目ちえさん(これまで前川さんが社長をされていた京都の有限会社「真南風」の新社長)から、以下のようなご挨拶状が届きましたので、ご紹介いたします。
魚住けい(本名・前川美智代)は、六月二十六甘永眠いたしました(享年六十オ)。 喪 主 家中 茂 |
また、家中さんからは、写真家の嶋田興生さん(ブンブンプロジェクト)の発行しているニュースレターに載せられた前川さんについての文章も送られてきました。前川さんの生前の様子がわかりますので、転載いたします。
魚住けいのこと
ブンブンプロジェクト京都事務局の魚住けい(本名・前川美智代)は、6月26日に58才の生涯をとじました。1983年夏にマーシャルに旅したときのことは『ブンブン通信』No.10に、「そこで見たものは、島の人たちの絶望。深い絶望、その中でも人はやはり生きなければならないから、生きる希望が欲しい、具体的な日々の生活の中には喜怒哀楽がある。そういうもの、島の表情というか。それがマーシャルから戻ってきてとにかく船を送りたいと発作的に思ったときに、思い返すマーシャルというのはだんだん彫りが深くなっていった」と述べています。その後、彼女はその深い絶望から目をそらすことなく、もういちど沖縄で、人々の暮らしに恵みを授けつづけてきた、生きている海に出会い、その白保のサンゴ礁の海に希望を託して(そのときから彼女は「願をかけて」、魚住けい、と名のるようになります)、やがて1995年に「沖縄手ヌ花・食と工芸 真南風」を設立します。以来10年間、彼女は沖縄の島々の個性豊かな産物を、その産物が育まれる島々の土地と人が健やかであることを願って、全国の自然食有機農産物のマーケットに送り届けることを仕事とします。いまでは女性スタッフ10名ほどがこの仕事をささえ、新たにスリランカとのフェアトレードも手がけたところでした。中村尚司さんは、彼女の真南風の仕事のことを、有無相通ずるだけのありきたりの商業ではなく、双方の文化を豊かにする互恵的な品性の高い交易、「聖なる市場」とよんで下さいました。
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