283. 『産經新聞』コラム、ベ平連運動を揶揄、批判。相変わらずのことですが……(2003/02/24掲載)
毎度ながらのことだが、『産經新聞』(03年2月17日)のコラム「産經抄」は、今全世界に広がっているイラク攻撃反対のデモやそれを報ずるメディアの姿勢と関連して、1970年代のベ平連運動を引き合いに出し、批判している。
反戦運動を支持するような報道は、サダム・フセインに誤ったメッセージを与えることになると他のメディアを批判し、それをヒトラーの政策に対する英チェンバレンらの宥和政策にたとえ、そのうえで、「一九七〇年代、ベトナム反戦は流行ファッションになった。日本でも「べ平連」の進歩的文化人がもてはやされた。そして解放戦線の本質に目をつむった結果、ベトナムは共産化しボートピープルがあふれた。ともに“反戦”が悲惨をもたらしたのだった」と書いている。
さらに同コラムは、「いまイラク問題をめぐって欧米は分裂寸前だが、国際関係を考えるとき、善悪(道徳)のモノサシで計るのはナンセンスなのだ。たとえば独仏は正しくて、米英は間違っているといった判断は意味がない。計るペきモノサシはただ一つ、何が国益なのかである」と続けて、北朝鮮の核恫喝への対処
こそが国益で、そのためには日米同盟堅持以外に選択肢はない」とし、「観念的、偽善的な反米はナンセンス」と決め付ける。
だが、国際関係を「善悪(道徳)のモノサシで計」っている、あるいはそうしていると思い込んでいる張本人こそ、ブッシュ米大統領だ。彼は、まさにそういう言葉で、今の対イラク政策を語ったのだ。「アメリカ=正義、イラク・北朝鮮=悪」のモノサシこそナンセンスなのであり、「計るべきモノサシはただ一つ、どうすれば殺戮を回避できるか」だろう。