233. 素晴らしい絵本 『戦車は止まった』 出版。これはぜひお求めを!(02/08/03 掲載)
『戦車は止まった 市民の力――1972年相模原の100日』という見事な絵本が出版されました。文=にしお けんじ 絵=やまだ ひろみ A4版横 43ページ 出版社=アゴラさがみはら出版、定価=1,000円(本体)で、2002年8月5日の日付の出版です。左は表紙、
下は同書24ページ。
作者による「あとがき」と、23ページの本文を以下にご紹介します。
あれから30年、戦車闘争という言葉を忘れてしまった人、ひとづてにかすかに耳にした覚えのある人、全然知らない人……いろいろでしょう。
忘れられない、市民の力の爆発でした。補給廠の戦車修理機能を失わせました。しかし、SAGAMI DEPOは、厳然として存在し、いまも世界の戦争の後方支援をしています。平和憲法下の日本で……。 西尾顕爾
30年前「戦車を止めろ!」と、武器も持たずにすわりこんだ人たちの心の中には、何があったのだろう? 戦争はイヤだ。人の命は大切だ。誰もがもつ、そんな気持ちがきっとあったのだろう。
サラリーマンや学生、主婦……。普通に生活している人たちが戦車を止めた。
自分が望むことは、きっと誰もが望んでいる。平和な世の中で、幸せを感じる毎日をおくりたい。
一人の力は小さいけれど、平和を願う気持ちが大切。心と心をつなぐことが大切。そんなことを考えながら絵を描きました。 山田広美
23ページの文 (実際には、すべての漢字にひらがなのルビがふってあります)「閉じ込めただけではない 二度と相模補給廠から出させないぞ」
西門のゲートから市道交差点まで 70メートルの道路があります その両側のグリーンベルトには無数のテントがぎっしりと並びました
このテント村には昼も夜も 大勢の人が待ちかまえ 米軍がいつ戦車を運び出そうとするか 見守りました
アキラは西門に行つてみました
市内の人だけでなく 市外からもいろいろの人たぢが来ています
革新政党やその青年・婦人たち 労働組合 学生の団体など それぞれの旗がひるがえり 立て看板が並び 人が集まれば演説が始まる
「これ 解放区だって」
いつのまにか横にユカリが来ていました
「かいほうく? 解放区って 何?」
アキラが聞くと ユカリが教えてくれました
「べトナム戦争でね 北部軍が南部地区を解放して自由にしたところを言うのよ」
なるほど さすがの警察も手を出せない 市民に自由に解放された地区になっています
「あの旗 知っている? 南ベトナム民族解放戦線の旗よ」
赤青二色の真ん中に金色の星が輝いた旗もひるがえっていました
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(左の写真は、絵本を紹介する筆者の西尾顕爾さん。8月4日、東京・新宿でのベトナム訪日代表団との懇親会の席で。撮影=遠藤洋一さん)