214. ベトナム赤十字社制作の枯葉作戦(エージェント・オレンジ)被害のビデオ日本語版のご案内02/05/27掲載)

 ベトナム反戦市民運動の第1次ベトナム訪問団は、戦争証跡博物館で、ベトナム赤十字社がつくったドキュメンタリのビデオを一部見ることができました。また、第2次訪問団は、ハノイ郊外の「友好の家」を訪れ、枯葉剤の犠牲となった子どもたちと実際に会い、そこの館長から話を聞きました。知識としてはある程度知ってはいたものの、これらの体験は衝撃的でした。
 帰国後、この赤十字社のビデオ(英語版)を日本語にすることも考えたのですが、このビデオは、すでに「ベトナム枯葉剤被害児支援基金』(俗称こぶた基金)によって日本語字幕を入れる作業が進められており、このほど完成したビデオが同寄金から一般に市販されることになりました。すでにこのことは、5月 18日の『毎日新聞』の家庭欄デモ紹介されましたので、ご存知の方もおられると思いますが、あらてめてご紹介しておきます。
 この記事によると、市民グループ「止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク」の石沢春美さんら4人が、「昨年7月、枯葉剤がまかれたホーチミン市周辺などを訪れ、退役軍人の子供らにも会った」のを契機に、帰国後、支援運動に向け準備を進め、「約10の市民団体が中心になり「ベトナム枯葉剤被害児支援基金」(俗称こぶた基金)を今年4月に結成した」ということです。そして、「最初の活動として、ベトナム赤十字社が昨年、制作した枯葉剤被害のドキュメンタリービデオ(30分)の日本語字幕版をつくった。このビデオを3000円で販売し、利益の約2000円を基金に回し、ベトナム赤十字社に支援金として送る」ことになったと報じられています。
 ビデオの購入希望や寄付の送り先など、下の囲みをご覧の上、このビデオの普及にご協力いただきたいとお願いいたします。(写真は、ベトナム赤十字社のリーフレット Agent Orange Victims Fund より)

 

  ベトナム枯葉剤被害(ダイオキシン被害)の今を伝える
  ドキュメンタリービデオ

ベトナム戦争枯葉剤被害 いまだ癒されない傷あと
The Vietnam war −An Unrecoverable wound

        日本語字幕スーパー VHSビデオ 30分   

      人穎にとって最初のダイオキシン被害となったべトナム枯葉剤被害を伝えるこのビデオ作品は
         戦争が最大の人間破壊であり、最大の環境破壊であることを如実に語っています。

製作 べトナム赤十字社・枯葉剤被害者基金
制作 べトナムテレヴィジョン
構成・演出 ミーン・チュエン
2001年5月

         日本語版制作・発行
         株式会社シーズビジョン

ビデオの販売収益金はベトナム赤十字社を通して枯葉剤被害児の医療費や
     生活の支援、自立のための資金として使われます。
■         
 ダイオキシン汚染、環境ホルモン問題を考える学習会などでご活用ください。

   ビデオのお申し込み方法
   ◆ 郵便振込でお申し込みください。
   ◆ お申込先:こぶた基金(ベトナム枯葉剤被害児支援の会)
          事務局・石澤春美 tel/fax 0424−22−5188  〒202−0004 東京都西東京市下保谷3-17-22 (下の注参照。)

    (2006年5月26日追記 上記の「こぶた基金」の連絡先は変更されています。現在の連絡先は下記の通りです。
   
352-0033 新座市石神5-3-18 石澤春美様方 こぶた基金 電話:042-476-8483  なお、郵便振替番号などは変更されておらず、
  今でも有効とのことです。)

    口座名 : こぶた基金   口座番号: 00140-9-158669
   ◆ 価格(税込) 個 人 : 3,000円   団 体 : 5,000円   梱包送料 : 500円
   ◆ 配送:ご入金確認後、ご指定住所に直送いたします。

 こぶた基金(ベトナム枯葉剤被害児支援の会)は枯葉剤被害児の生活や自立への支援を目的に活動します。
「こぶた」とは自然の中で植物の栽培とともに、子豚やアヒルの飼育などによる被害児の生活自立への支援を意味しています。                               テ
 基金呼びかけ人:
石澤春美(ベトナム枯葉剤被害児支援の会・ゴムの木) 小松原健太郎(シーズビジョン)坂下栄(環境科学調査オフィス)谷洋一(ベトナム枯葉剤被害者に連帯する水俣メコンの会)原田正純(熊本学園大学)藤井絢子(滋賀県環境生協)矢野忠義、矢野トヨ子(油症医療恒久対策協議会)八本哲(リサイクルせっけん協会)綿貫礼子(環境問題研究家)(アイウエオ順)
 賛同団体・個人:
アンデニスタクラブ、化学物質過敏症支援センター、環境とくらし市民ネットワーク、協同組合石けん運動連絡会、グループきなり、生活クラブ連合会、市民提案の循環型社会をめざす会、ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議、地球の仲間、東京洗剤プロジェクト、止めよう!ダイオキシン汚染・関東ネットワーク、日本消費者連盟、ベトナム枯葉剤被害児支援の会・ゴムの木、ベトナム枯葉剤被害者に連帯する水俣メコンの会、リサイクルせっけん協会/井口カツエ、上村早百合、神山啓子、指中千賀子、杉野元子、早坂玲子、水野玲子、茂木由紀子、吉川浩一郎、渡辺千鶴子(アイウニオ順・敬称略)
 

 

    

こぶた基金くベトナム枯葉剤被害児支援の会)からの呼びかけ


 経済成長、大量生産、大量消費の社会経済システムを至上のものとして戦後50年余を歩んできた日本は、いま世界で最も‘ダイオキシン’による汚染が進んでいる国となってしまいました。化学産業の野放図な生産活動、行政の無策と消費者の安易な生活態度が招いた結果とはいえ、日本の現状は一刻の猶予もならない事態にあるといえます。
 「人類の存続」さえ脅かしかねない最悪の化学物質ダイオキシンを日本からそして地上から無くすことは、私たちすべてが取り組まなければならない緊急の課題です。

 「戦争は最大の環境破壊」といわれますが、人類にとって最初のダイオキシン被害となったベトナムの現実はそれを如実に語っています。ベトナムでは戦争が終結して30年余が経過しましたが、伝えられるドイモイ政策による経済成長の陰に隠れて、戦争当時アメリカ軍によって撒かれた化学兵器による被害は、根本的な解決のないまま今も拡大し続けています。使用された化学兵器のひとつ‘枯葉剤’に含まれていた化学物質‘ダイオキシン’によってベトナムの人々の体が、そしてベトナムの自然環境が汚染されたのです。

 今も多くの人々が、その影響と考えられる、外形的障害、ガン、神経障害、免疫機能障害、流産、遺伝的な変異など、様々な疾患に苦しめられています。ベトナム赤十字社によれば、枯葉剤被害者はベトナム全土で100万人にのぼり、その内の15万人は戦後に生まれた子供たちとされています。いまベトナム赤十字社は、枯葉剤被害者救済のための基金を設立し広く世界に人道的な援助をよびかけています。

 私たちは、ベトナム枯葉剤被害者(退役軍人から幼児まで)の現状視察と交流のためベトナムを訪問しました。私たちはこの訪問を通して、日本のダイオキシン汚染ゼロをめざした活動を行うとともに、あらためてダイオキシン被害の原点であるベトナム枯葉剤被害の現状を認識し、ベトナム赤十字社による被害者救済のためのよびかけに応える活動を始めなければならないと考えました。
 とりわけ無辜のベトナムの子供たちにもたらされた後遺症に対しては、20世紀を生きてきた私たちすべてが負わなければならない原罪とも言うべきものであることをこの視察の中で、強く感じました。

 私たちは、ベトナム赤十字社のよびかけに応えその活動を支援する目的をもって、こぶた基金(ベトナム枯葉剤被害児支援の会)を設立しました。その活動のひとつとしてベトナム赤十字社の制作したビデオを頒布することにより枯葉剤被害を広く伝えるとともに、その収益金を被害児の治療費や自立のための資金として贈る運動を展開していきたいと考えています。
                                    2002年 5月
                                    呼びかけ人一同

 

 

なお、現在入手可能と思われる枯葉剤関係の書物も以下にご紹介しておきます。Amazon で調べたものです。
(1)中村悟郎『母は枯葉剤を浴びた――ダイオキシンの傷あと』(1983 新潮文庫 現在18刷)\705 + 税
(2)北沢杏子(文)・高岩震(写真)『枯葉剤の村の子どもたち――ヴェトナム・パコ族の子どものくらし』(1998 アーニ出版 現在4刷) \1800 + 税
(3))中村悟郎『戦場の枯葉剤―ベトナム・アメリカ・韓国』グラフィック・レポート(1995 岩波書店) \3,000 + 税
(4)大石芳野他『あの日、ベトナムに枯葉剤がふった―戦争の傷あとを見つめつづけた真真実の記録』 くもんのノンフィクション・愛のシリーズ (1992 くもん出版) \1,165 +税

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