195. ベ平連など日本のかつてのベトナム反戦市民運動グループの代表団、ベトナムを訪問、ホーチミン市の戦争証跡博物館に資料などを寄贈(02/03/05掲載)
ベ平連など、日本のかつてのベトナム反戦市民運動グループの代表団29名(団長は作家の小田実さん)が、2月27日から3月5日まで、ベトナムを訪問、ホーチミン市の国立「戦争証跡博物館」(The
War Remnants Museum 以下「戦跡博物館」と略称)に、日本のベトナム反戦市民運動の記録や写真、資料など多数を寄贈した。
この訪問に関連した報告は、今後の「ニュース」欄で、詳しく紹介するが、とりあえず、このことについての日本、およびベトナムの新聞報道などを掲載する。なお、すでに『朝日新聞(大阪本社版)』
(2月6日)および『The
Japan Times』(2月16日)が報道した記事については、本欄の No.192、No.193 に掲載済み。
(1)『ベトナム通信』(VNA) 3月1日
日本の活動家にベトナムの友好勲章
ハノイ、3月1日(VNA)
「ベトナム友好組織連合」(The Viet Nam Union of Friendship Organisations)は、日本の「ベ平連」の平和活動家、小田実、高橋武智、吉川勇一の3氏に「平和と諸民族間の友好勲章」("For Peace and Friendship among Nations" medal) を贈った。この勲章の授与は、2月28日、ホーチミン市の戦争博物館において行なわれた。
戦争博物館、日本から展示品を寄贈される
2月28日、ホーチミン市の戦争証跡博物館は、アメリカの侵略に対する戦争の期間中の日本人民による「ベトナムの平和」のための運動(ベ平連)から、展示品を寄贈された。
この催しには、グエン・ティ・ビン副主席ほか、同市の人民委員会、友好団体連合、赤十字協会の代表などと、ベ平連からの30名以上のメンバーが参加した。
この式で挨拶したグエン・ティ・ビン副主席は、ベトナム人民の反米闘争を支援した世界の進歩的人民による運動、とりわけ、日本のベ平連運動の活動に対して、感謝の意を表明し、それは両国人民間の友好にとっての貴重な根源だと思うとのべた。
副主席は、ベ平連が、ベトナム人民や世界の人民とともに、平和と正義、諸民族間の平等をめざす闘争を続けることを期待するとのべた。
また、この催しの際に、ベトナム友好団体連合会は、「ベ平連」の平和活動家、小田実、高橋武智、吉川勇一の3氏に「平和と諸民族間の友好勲章」を贈り、さらに、アメリカによる強力枯葉剤による後遺症などの影響に関する多数の資料やテープを同組織に寄贈した。
(3)『サイゴン』紙 3月1日号
日本のベトナム平和委員会グループが訪問
2月28日午後、戦争証跡博物館において、グエン・ティ・ビン ベトナム社会主義共和国副主席はベトナムを訪れた日本のべ平連グループのメンバーに「各民族の平和と友好のため」の勲章を授与した。
べ平連(ベトナムに平和を委員会)は日本の進歩的人民の反戦運動で、アメリカのベトナム侵略の終結を要求し、戦争に対する日本政府の協力に反対して、おおよそ1965年から1974年まで力強く活動した。著名な作家小田実氏の指導による運動には日本の人民多数が参加した。今回グループの一行はホーチミン市と南部のいくつかの省を訪問する。グループは日本人民のベトナム反戦運動に関連する視聴覚器材(テレビ、DVD機器、CD、写真、ポスターなど)を戦争証跡博物館に贈呈した。博物館はべ平連の一行に民族楽器を贈り、ベトナムと日本の両人民の文化交流と相互理解、友好と団結を唱えた。
(4)『労働者』紙 3月1日号
グエン・ティ・ ビン国家副主席 日本のべ平連代表を迎える
2月28日午後、ホーチミン市戦争証跡博物館において、グエン・ティ・ビン国家副主席はベトナム侵略戦争反対運動(日本・べ平連)の代表グループを歓迎した。ヴー・スアン・ホン各組織連合主席、グエン・タイン・タイ
ホーチミン市人民委員会副主席、ベトナム赤十字会及びホーチミン市の各組織・部門の代表が副主席とともに一行を迎えた。小由実氏は訪問団を代表して、戦争証跡博物館にべ平連の反戦運動に関する記念物品を贈呈した。ベトナム友好組織連合を代表してヴー・スアン・ホン氏が、べ平連の小田実氏、吉川勇一氏、高橋武智氏の3代表に「各民族の平和と友好のため」の勲章を授与した。
(5)『朝日新聞』東京本社版 3月5日号
「ベ平連」の活動伝えたい
元メンバーらベトナムに資料贈る
「べ平連」の略称で呼ばれ、日本の市民運動に大きな足跡を残した「ベトナムに平和を!市民連合」。その活動の記録がベトナム国立戦争証跡博物館(ホーチミン市)に収蔵・展示されることになった。当時の資料を集め、新たにDVDも製作した元代表の小田実さんら約30人が博物館を訪れ、グエン・ティ・ビン副大統領に寄贈した。一行は当時、米軍による虐殺があったソンミ村などを回り、5日に帰国する。
きっかけは、ホーチミン市内の大学で日本語を教える教員から、元べ平連事務局長の吉川勇一さん(70)に寄せられたメールだった。授業でべ平連の活動を取り上げても、ベトナムの学生はその存在をはとんど知らない、と書かれていた。
戦争証跡博物館には年間7、8万人の日本人が訪れる。世界各地の反戦運動の記録を展示したコーナーにべ平連のものがないのは残念だ――。そんな声も、吉川さんの耳に届いていた。
「あの運動とそこからくみ取った教訓を風化させずに後世に伝えたい」
昨年11月から準備を始めた。元のメンバーらにカンパを呼びかけたところ、予定の100万円を上回る約200万円が集まったという。
運動の精神を表した「殺すな」バッジやビラなど、当時の資料を集めるだけでなく、約300枚の写真や記録フィルムを収めた約50分のDVDを新たに作った。
脚本・監督は作家の吉岡忍さん。「自分のできることを、自分の意思で自由にやり、自分で責任をとること。それだけがルールだった」などと、べ平連の運動方針や歩みを紹介している。ナレーションはベトナム語、日本語、英語で収録し、常時上映できるよう、テレビとデッキも贈る。
吉川さんは「べ平連を知らない日本の若者も多いだろう。歴史を継承するために、国内でもDVDを見てもらえれば」と話している。
問い合わせは「旧『べ平連』運動の情報ページ」 (http://www.jca.apc.org/beheiren )まで。
ベ平連 |
米軍が北ベトナムに大規模な爆撃(北爆)を始めた65年、小田実氏や故開高健氏、鶴見俊輔氏らが中心となって産声を上げた。74年に解散するまで、全国の地域や職場に分かっているだけで380余り結成された。デモやビラの配布に加え、ポスターやバッジ、フォークソング集会、米国の主要紙への意見広告掲載などで反戦を呼びかけた。
(写真説明)