169. ベトナムの戦跡博物館にベ平連などの資料を送る運動へのご協力のお願い(01/11/22掲載)

 旧ベ平連、およびベトナム反戦市民運動の活動家の有志によって、ベトナム・ホーチミン市にある「戦争証跡博物館」に、日本の反戦市民運動の展示用資料を集めて送ろう、という「お願い」の呼びかけ文が発表され、11月21日、多くの関係者に発送されました。

 以下に、その「お願い」の文章全文を掲載いたします。この運動に、多くの方がご賛同くださり、ご協力いただけるよう、お願いいたします。この文章の印刷物、振替用紙などは多数用意してあります。お知り合いなどにお渡しくださるため必要な方は、メールでご注文くだされば、すぐお送りいたします。


ベ平連などベトナム反戦市民運動の資料を
ホーチミン市戦争証跡博物館へ贈る運動へのご協力のお願い

 ベトナム社会主義共和国のホーチミン市(もとのサイゴン市)に国立の「戦争証跡博物館」(以下、「戦跡博物館」と略称)があります。ここには、ベトナム戦争の歴史を視覚的に明らかにするさまざまな具体的資料が展示されています。現在、同博物館の規模をさらに大きくする新築計画(建設予算は70万ドルを予定)も進行中です。

 この博物館への訪問者は、年間33〜35万人で、毎年増えており、うち約半分の20万人が外国人で、その三分の一の7〜8万人が日本人だそうです。今年9月13〜19日の統計では、訪問者総数3,560人(内訳、日本人 1,227人 34.5%  アメリカ人 298人 8.4%  香港人 278人 7.8%  イギリス人 22人 6.2%  台湾人 71人  2%  フランス人 52人 1.2%)となっています。

 この博物館の中には、アメリカのベトナム侵略に抗議して、世界各国で展開された反戦運動、ベトナム人民に連帯し、支援する運動などの資料を展示する一室があります。そこに日本の反戦運動のポスター、写真なども展示はされているのですが、かつて私たちが全力を傾けたベ平連運動や、それと連携して展開されていた自立した市民の運動の資料はほとんど含まれていません。この戦跡博物館を訪ねたかつてのベ平連活動家も少なくありませんが、みな、この博物館にしかるべきベ平連運動の資料を送る必要があると痛感しています。

 今年に入ってから、ホーチミン市の国立「社会科学人文科学大学」(前の総合大学)で日本語を教える日本人の教員の方から連絡があり、教材にベ平連の脱走兵援助に関する文章を使ったが、ベトナムの学生はベ平連のことをほとんど知らず、ぜひ、この博物館に資料をおくってほしいという要望がありました。また、同じころ、この博物館の整備に協力し、全館の展示物や歴史解説、戦闘地図など、すべての説明文を日本語に訳してパネルを作る作業を、在日のベトナム人留学生などの協力も得てすすめてきている日本の貿易会社の人からも、同様な指摘と希望が寄せられました。ありがたいことに、どちらの方も、もしベ平連の資料の送付が計画されるのなら、協力を惜しまないと言われています。

ベ平連の活動は、60年代後半から70年代にかけての日本の反戦運動の代表的存在、あるいは象徴的存在となっているだけに、確かに現状は残念なことです。ベトナム反戦運動の教訓は、現在の世界のような危機的状況のもとでますます重要となっており、それは、風化されることなく後世に伝えられる必要があると私たちは痛感します。

そこで、私たちは、この機会に日本の反戦市民運動についての資料を集め、この戦跡博物館に寄贈したいと考えました。博物館当局からも、ぜひ贈ってほしいという希望が寄せられ、展示用の写真のサイズまで連絡がありました。 私たちは、この希望に応えて、展示用資料を、同博物館に送る計画を立てました。

 新築前の現在では、展示室の面積の制限もあり、資料の量はそれほど多くなくていいと思いますが、ベ平連のさまざまな運動を視覚的に明示できるようなもの、たとえば、反戦のメッセージが明瞭なデザインのポスター、写真、米兵に撒いた英文パンフレット(脱走勧告のビラなど)や、在日米軍基地内で反戦米兵のグループによって発行されていた英文の機関紙(岩国海兵隊基地での「Semper Fi」 など)、運動で使われたグッズ類(「殺すな!バッジ」や「殺すな!バッグ」など)の現物、その他を厳選し(日本語だけのビラや機関紙類は適当ではありませんので)、さらに、写真は引き伸ばした上、パネル化したり、英文解説入りのビデオテープを、ビデオセットとともに用意したりなど、博物館が、すぐに展示できるような形に整えて送るのが適当と考えました。DVD化し、DVDのデッキなどとともに贈れればなおいいでしょう。さらに、写真や展示品を示す絵葉書を作成し、同博物館を訪問する人びとに頒布できるようにもしたいと希望しています。将来の課題となるでしょうが、反戦運動のアルバムの作成も考えられます。

 ハノイやフエにも同種の博物館があり、そこへの寄贈も視野に入れて、4組ほどをつくり、明2002年の初春に、同博物館に渡したいと、私たちは希望しております。その際には、ベトナム訪問のツアーも計画できるかもしれません。さきに触れた日本の貿易会社は、旅行社も経営しており、是非その企画にも協力したいと言ってくれています。博物館側からは、明年2〜3月の訪問は受け入れ可能との連絡も来ています。

 資料の収集、整理、翻訳、展示用にするためのパネル化や展示ケースの発注(一部は現地調達)などで、概算ですが最低限、100万円ほどが必要かと思われます(ベトナム訪問の旅費や滞在費などは含みません)。

 そこでお願いです。かつてベトナム反戦運動に参加され、その体験を現在の生活の中で生かし、かつ、それを次の世代に引き継ぎたいと願っておられる皆さんが、是非この計画に賛同くださり、資料の収集や資金の調達面でご協力いただきたいのです。

 具体的なことは、別紙の要綱にあります。それもご覧下さって、お力を加えてくださいますよう、お願いするしだいです。

 2001年11月

    旧「ベ平連」運動基金
    旧「ベ平連」運動・ベトナム反戦市民運動への参加者有志
(飯沼二郎、井澤幸治、石崎昭哲、梅林宏道、小田実、遠藤洋一、小澤遼子、川崎通紀、黒田光太郎、小中陽太郎、佐伯昌平、坂本洋、関谷滋、高橋武智、鶴見俊輔、戸井十月、新倉裕史、花崎皋平、東一邦、引地茂、藤林泰、福富節男、吉岡忍、吉川勇一、和田春樹)

  連絡先 151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-29-12-305 AIC吉川勇一事務所気付 電話・FAX 03-3423-0185

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(別紙)

 1 資金面での協力  1口1万円とし、以下の銀行口座、もしくは郵便振替口座にご送金ください。(1口1万円では最低100人の方の寄金が必要です。2口、3口などのご協力がいただければ幸甚です。)

  銀行口座: 第一勧業銀行 田無支店 普通預金 番号 271-2162298 名義:: 旧ベ平連運動基金
  郵便振替口座番号:   00120-7-83204
   名義:: 旧ベ平連運動基金

 なお、展示品の寄贈だけでなく、同博物館がよびかけている新館の建設資金募金、維持費カンパの呼びかけにも応えられれば、なおいいことは言うまでもありません。出来ればそうしたいと念じています。

 2 博物館へ寄贈する展示物での協力

以下のものが、どういう形態で提供できるか、たとえば、写真は、白黒か、カラーか、ネガがあるのか、印画紙なら、大きさはどれくらいのものか、明瞭度は、版権問題はどうなっているか等々、とりあえずは小さいものでいいですから、見本を添えてお知らせください。その他も、ぜひ具体的な説明をお送りください。

(1) 写真 (たとえば、相模原で戦車の前に座り込んでいるデモの状景とか、都心でのフランスデモ、新宿西口地下広場でのフォークゲリラの大集会、脱走兵を先頭にしたデモ、米艦船をとりまく洋上デモ、空軍基地での凧揚げ、機動隊の弾圧、等々、あまり文章で説明しなくても状況がわかりやすいもの)

(2) ビデオ (あまり長いものは、保存用として保管されることになるので、常時展示、鑑賞されるようにするためには、それを20〜30分くらいに編集し、英文の解説を吹き込む。出来ればベトナム語も。すでにあるものとしては、「イントレピッドの4人」、「新宿地下広場」など。) および、映画フィルム(今、とくに山田典吾監督制作の『ベトナムに平和を』というドキュメンタリ映画のフィルムを探しています。初期の市民運動の映像が含まれています。どなたかご存じないですか?)

(3) 英文の印刷物(「Message to U.S. Soldiers」 等のリーフレット、「Semper Fi」、 「Fall in at Ease」 などの英文機関紙)

(4) ポスター、ステッカー(これも、文字だけのものでなく、見て反戦、連帯等のメッセージが視覚的に理解できるもの)

(5) グッズ(「殺すなバッジ」、「殺すなバッグ」、ゼッケン、シール、その他)。これも、デザインか、英文などで目的が視覚的に明瞭なもの。)

 3 ベトナム訪問団への参加

 今の予定では、2002年2月〜3月ころの訪問を予定しています。5日程度の滞在で、個人負担の旅費、滞在費は25万円前後になりそうです。これへの参加を希望されるかどうか。透析などが必要な身障者も参加できるようなプランを計画したいと考えています。戦跡博物館当局も、来年早春の訪問を受け入れる旨が、伝えられてきています。

  4 このお願いの普及

 とりあえず、この「お願い」は、呼びかけ人の一部の手元にある名簿を整理して、約500人の方に郵送しますが、まだ漏れている方が多数おられるはずです。「お願い」の文書や振替用紙の余部がありますので、ご希望の枚数をお知らせくだされば、すぐお送りします。ぜひ、お知り合いの方にお渡しください。

  5 反戦市民運動の原資料の提供
東京のベ平連が保存してきた資料は、現在、埼玉大学共生社会研究センターで、管理、整理、公開が行なわれています(担当は、この「お願い」の呼びかけ人の一人である同大学の藤林泰助手)。同センターでは、各地の旧活動家が個人的に所有している反戦市民運動の原資料が散逸する以前に、収集、整理したいと希望しています。ホーチミン市の戦跡博物館に送るのには適当でないものでも、貴重な運動の原資料をお持ちの方は、この際、ぜひ同センターに寄贈されるよう希望します。

 埼玉大学共生社会研究センターの連絡先は

〒338-8570 さいたま市下大久保255  埼玉大学内  電話&FAX: 048-858-3284(藤林さん直通)

 同センターはホームページ http://www.eco.saitama-u.ac.jp/~siryo3/index.html を開設しており、そこに、同センターの利用規定や、案内地図などが掲載されています。

◆なお、これまでの「社会動態資料センター」の一部は改組のため1月7日より「埼玉大学共生社会研究センター」として発足し、ベ平連資料もそちらに移動します。住所も、藤林さん直通の電話/FAX番号も変わりませんが、建物が変わりますので、新しい地図が1月より新しく立ち上がるホームページに掲載されます。新ホームページのURLは未定で、決まりしだいベ平連ホームページ http://www.jca.apc.org/beheiren/ に載せる予定です。

 

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