HOME > MATERIALS > クラスタ爆弾 > CCW中間会議参加国への問題提起
ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は、人道的観点からその問題点が対処されるまでの間、各国がクラスター爆弾の使用を停止することを求める。
1999年前半のコソボにおける紛争では、クラスター爆弾が一般市民に対して突きつけている脅威にこれまでになく大きな注目が集まった。1999年5月11日、HRWはNATO軍にクラスター爆弾の使用停止を呼びかけた。クラスター爆弾が放出する子爆弾は、着弾したときに爆発しないと「地雷」となる。不発率が高く、またとても広い範囲に撒布されるため、これらは市民、兵士、平和維持軍に、そして不発弾処理専門チームに対しても、長期に渡って深刻な脅威をもたらすのである。 紛争が終わってからこれまでに米国・英国が投下したクラスター爆弾によって100人以上の一般市民が死傷したと見積もられている。コソボにKFOR多国籍軍が配置されて10日後のこと、2人の英国兵が不発弾の除去作業中にクラスター爆弾で命を失った。コソボではクラスター爆弾が撒布された地点がおよそ600箇所判明している。米軍と英国軍が落としたクラスター爆弾の不発弾は、一般市民や除去チームにとって、ユーゴスラビア軍やコソボ解放軍が敷設した地雷と同じくらいに大きな問題となっている。 米軍は202個の子爆弾を含むCBU-87型クラスター爆弾を約1100個投下し、英国軍は147個の子爆弾を含むRBL-755型クラスター爆弾を約500個投下した。控え目に見積もって5 %の不発率で計算しても、NATO軍は15,000個あまりの不発弾を残したことになり、それらが対人地雷と同様に平和が取り戻されてからも人の命や手足を奪い続けているのである。紛争後に生じているクラスター爆弾による市民や兵士の死傷事故のみならず、HRWは、その紛争中の使用によっても一般市民が死傷していることを確信している。使われた1600個あまりのクラスター爆弾は、全使用兵器のわずか6%であるにもかかわらず、それによって死亡した一般市民は全体15-16%にあたる90人から150人にも上る。1999年5月にNATO軍がニスで行った空爆はクラスター爆弾も使ったものだったが、標的を外し、病院とそれに隣接する市街地を襲った。1999年4月24日、ダガノビク村の近くで明らかにクラスター爆弾と思われる爆弾が爆発し、5人の子どもが死亡し、2人が傷を負っている。 HRWは、1999年5月半ばにクリントン大統領がコソボ紛争でこれ以上クラスター爆弾を使用しないように指示を出したことを知った。それはおそらくクラスター爆弾の非人道的な効果と、また軍事目的達成のためにそれを使う必要が欠けていることの両方を認識してのものだったと思われる。これはクラスター爆弾規制に関する先例となるものである。1995年、ボスニアにおいても、米空軍司令官マイケル・ライアン少将は市民への危険を認識してクラスター爆弾の使用を禁止した例もある。 1991年の湾岸戦争ではクラスター爆弾で120万個もの子爆弾が撒かれたと見られるが、紛争が終結した後、それらによって 1220人のクウェート人、400人のイラク人市民が死傷した。H RWは以前にそのことをレポートにまとめている。 現時点では、細心の注意を払って使われた場合でも、クラスター爆弾が一般市民に対して深刻で許容できない危険を突きつけていることは明らかである。技術的に解決をつけるか、または新たな規制・使用条件を設けるまでは、その使用は停止されるべきである。 以下の条件が満たされるまではいかなる国家もクラスター爆弾を使うべきでない: 技術的側面から言えば、人道的観点から許容できるレベルに不発率が確実に押さえられるまで、クラスター爆弾は使われるべきではない。この基準は、人道法および軍事の専門家によって検討されるべきだが、1%以下に定めるべきであることは確かだろう。研究には以下のような項目が必要であろう: クラスター爆弾の使用については以下に挙げるようなことが必要であろう: ヒューマンライツウォッチ(HRW)は、各国政府が自国および国際社会においてこの緊急の人道問題について取り組むよう求める。クラスター爆弾とその使用について、市民への危害を最小に押さえるために、CCW(特定通常兵器使用禁止・制限条約)を用いて、ルール、規制、義務あるいは禁止を定めることが検討されるべきであろう。 (翻訳:東京YMCA 真野玄範) |