2007年 年頭のご挨拶
JCBL(地雷廃絶日本キャンペーン)
代表 北川泰弘
新しい2007年の年明けのご挨拶を申し上げます。
2007年は私共にとって感慨深い年です。1997年7月19日にJCBLが発足して10周年にあたります。発足後直ちに、対人地雷は人道的な見地から許せない兵器であるとの見地から、橋本竜太郎首相(当時)にあてて日本政府が対人地雷禁止条約に参加することを求める手紙を出しました。また、同趣旨の署名を集めて小渕恵三外務大臣(当時)お渡しをしました。その甲斐あってか、小渕外務大臣は日本の同条約への参加を決断され、12月3日、オタワに大臣ご自身で行かれ、対人地雷全面禁止条約に署名をされました。
条約が発効し、152ヶ国が参加し、埋設地雷の除去、地雷被害者への援助が積極的に行われています。しかし、今尚、地雷による汚染は大きく、被害者が多く、「地雷のない世界」の実現に至るまでは長い道のりが残っています。地雷問題の解決には膨大な資金、労力、時間がかかります。私たちはこの10周年を機に、地雷問題の解決には更に長い時間と資金が必要であることをもう一度世界に訴えたいと思っております。
また、古くて新しい問題として「クラスター兵器」が事実上の対人地雷となる不発弾を多数発生させ、23の国、地域の一般市民に脅威を与えている問題があります。新しい戦乱が起きて被害国、地域が増える可能性もあります。2006年11月、ノルウエー政府が「クラスター兵器」の禁止をCCW(通常兵器使用制限禁止条約)の会議場でなく、対人地雷禁止の前例にならって、有志の国々の間で議論をしようという提案をしました。CCWの会議はクラスター兵器の使用制限について、既に5年間議論を続けてきましたが未だに結論を出せずにいるのです。
ノルウエー提案の会合は2月21日から23日にオスロで開かれるという情報があります。日本政府はこの会合への参加について様子伺いのようです。私たちは、新年とともに、クラスター兵器の禁止を訴える国際的な連帯NGOであるCMC(Cluster
Munition Coalition)の呼びかけに賛同して、事実上の対人地雷を生む「クラスター兵器」の禁止を世界に訴え、日本のみならず各国政府にこの会合に参加することを求めます。
クラスター兵器の禁止、規制については色々と複雑な議論があり、禁止を訴えているICRC(赤十字国際委員会)、各NGOsも、全面禁止か、条件付きの禁止か、規制か、同床異夢です。「クラスター兵器の禁止」は「対人地雷の禁止」以上に難しい問題です。しかし、私たちは敢えてこの問題を取り上げ、過去の被害の実情を解明して、人道的に許せない兵器であるという角度で掘り下げて禁止を訴えて行く覚悟です。皆様のコメント、ご教示、ご協力を賜りたく、宜しくお願い致します。
2007年1月
JCBL(地雷廃絶日本キャンペーン)
代表 北川泰弘
NCB01450@nifty.com
註:クラスター兵器は、数十から数百の子弾をまとめて運搬し、広がった面で不規則に動き回る敵兵、車両、航空機、移動ミサイル基地、等の上空で無数の子弾をばら撒き、どれかが目標に当たればよいという攻撃兵器である。従って、目標の近くに一般市民がいれば巻添えを食う。また、目標に命中しなかった子弾の数%から数十%は不発のまま地上に転がるか、木の枝に引っかかって残り、戦闘行為の終了後に一般市民を脅かす。
数十から数百の子弾の運搬方法として、地上発射では大砲、曲射砲、ロケット、多連装ロケット、ミサイルがある。空中投下では爆弾、ミサイルがある。子弾は使用目的によって、焼夷弾、徹甲弾、破片弾、それらの複合弾と色々とある。徹甲弾と焼夷弾の複合型は先ず戦車の装甲を打ち抜き、車内を焼き尽くす。1999年のNATO軍のコソボ攻撃では空中投下のクラスター爆弾が使用された。2003年の米英軍のイラク攻撃では、空中投下の他に、地上発射のクラスター砲弾が多数使用された。