ポルトアルグレは燃えているか
世界社会フォーラム反戦会議決議

 イラクで選挙が行われた日、世界の反戦運動、連合、諸組織が反戦集会に結集し、3月19日、20日の大規模な動員を呼びかけた。イラクとパレスチナをふくむ33ヵ国の代表は、3月20日の件にとどまらない戦略と行動についても討議した。次に記載するのは、この集会でなされた諸提案の報告である。これ以外のキャンペーンの提案は、info-assembly@riseup.net
まで。

 イラク侵略から2年後の今日、米国でも、連合諸国でも、全世界でも、以前より戦争への反対は多くなっている。戦争を正当化する口実は、すべて嘘であることが明らかになった。占領軍に対する広範で民衆的な抵抗が起こっている。10万人以上のイラク人と1500人以上の連合国兵士が殺された。戦争に対するグローバルな批判と、米国がイラクの抵抗を鎮圧できないという状況の下で、戦争を止める真のチャンスが存在する決定的に重要な瞬間に私たちは立ち会っている。

 今こそ、反戦運動が行動するときである。後退するときではない。今こそ、抗議を拡大するときである。あきらめるときではない。イラクでの米主導の軍の敗北は、グローバルな規模でアメリカの侵略に直面しているすべての人々の勝利である。

 私たちは、イラクとパレスチナの占領の中止を要求する。

 私たちは、米国がイラン、北朝鮮、シリア、キューバ、ベネズエラなどへの侵略をやめるよう要求する。とりわけ私たちは、米国が多くの国に侵略の脅しを行っているラテンアメリカでのグローバル戦争の危険性に焦点を当てなければならない。私たちは、イラクからの軍の即時撤退、もう戦争はごめんだと要求し、3月19日、20日の、戦争に反対するグローバル行動デーを呼びかける。私たちは、波状的な大規模デモ、市民的不服従、そしてその他の抵抗形態を世界中で呼びかける。

イラク

 私たちは、占領軍の即時撤退と、軍を帰還させるためのあらゆる努力を支持する。私たちは、戦争に反対する兵士、良心的な批判派、軍人家族を組織する努力を支持する。私たちは、兵士募集キャンペーンに反対する運動を支持し、脱走兵の政治的亡命権を支持する。

 私たちは、占領に対するイラク民衆の抵抗権を支持しつつ、無辜の市民の殺害を非難する。私たちは、私たちのキャンペーンをさらに強化するために、イラクにおけるあらゆる市民的・政治的抵抗、武装抵抗を理解するための努力を支持する。私たちは、中東の民衆との連帯のつながりを深めていく。

 私たちは、世界中の米軍基地の閉鎖を要求し、核兵器廃絶、武器取引の禁止、脱軍事化にむけたその他の動きを支持する。

 私たちは、企業や国際金融機関によるイラクの経済的占領をやめさせる努力を支持する。さらに私たちは、ボイコットや直接行動を通じて、戦争で儲けている企業に反対するキャンペーンを拡大する。
 私たちは、ブッシュやその同盟者たちがどこに行こうとも、彼らに抗議するよう呼びかける。

パレスチナ

 私たちは、正義、自決権、エルサレムを首都とする主権国家、国連決議194にしたがった帰還権の実行を求めるパレスチナ民衆の闘いを支持する。

 私たちは、国際社会と諸国政府が、イスラエルに対して武器禁輸をふくむ政治的・経済的制裁を実施するよう求める。私たちは、社会運動が、投資の引き上げとボイコットを求めて動員をすることも呼びかける。こうした行動は、イスラエルに対して、不法な壁の建設を中止して、それを撤去し、あらゆる占領とアパルトヘイト政策をやめさせるために、国際決議と、国際司法裁判所の勧告意見を実行させることを目標としている。

 私たちは、この闘いをともに担っているイスラエルの反植民地主義・反シオニストの活動を支持する。

 私たちは、3月19、20日のグローバル行動デーと戦争をやめさせ占領を終わらせる抗議の波に向けた呼びかけを再確認する。

 3月19、20日のデモの情報をwebsite@march19th.org
あるいはoffice@march19th.org
に送ってください。キャンペーンの詳細はinfo-assembly@riseup.net
へ。

3月19、20日にデモを行う諸国(予備的リスト)

イラク、パレスチナ、アルゼンチン、ブラジル、インド、米国(400都市)、イタリア、ギリシャ、アイルランド、日本、英国、トルコ、マケドニア、キプロス、フィリピン、オーストラリア、タイ、南アフリカ、韓国、スリランカ、ハンガリー、ポーランド、カナダ、オーストリア、メキシコ、スペイン(バルセロナ、マドリッド)、ハワイ、ベネズエラ、ニュージーランド、オランダ

詳細な行動計画

3月19、20日への提案
●共通スローガン:Troops Out of Iraq Now! No More Wars(軍隊はいますぐイラクから出て行け もう戦争はいらない)
もちろん各国では、それぞれ独自のスローガンを自由に使用
●それぞれの国で大きなデモ、あるいはその他の抗議の形を。
●デモを行うすべての都市と国のリストを共通のウェブサイトに掲載しよう。(http://www.march19th.org/

)

中東とのつながりを築き上げ、抵抗を強化するための提案

●イラクのさまざまなグループと反占領勢力を招いて、グローバルな反戦運動と対話する円卓会議をイラク国外で組織する。
●イラクと他の市民社会との連携を築き上げる既存のキャンペーンを支持する。
●「抵抗の声」というマルチメディアプロジェクトを作るために、イラク人とともに活動するチームをイラクに派遣する。それは米国の占領状態をなくす動員に資するため、イラクでのさまざまな抵抗形態を示すための手段である。
●中東との連携のためにあらゆる機会を利用する。たとえば3月24−27日のカイロ会議、6月に開催される地中海社会フォーラム、2005年イラク国際法廷、2006年6月21−27日にカナダのバンクーバーで開催される世界平和フォーラムなど。
●努力の重複を避けるため、さまざまなコンタクトや情報の共有を促進する。

米国による他の侵略の脅威に反対する提案

●ジョージ・ブッシュは、グローバル戦争のシンボルであるため、彼が行くところどこででも抗議行動が行われるべきである。
(1)7月2−6日 スコットランド・エジンバラ/ブッシュとG8に反対するグローバルアクション
(2)11月 マル・デル・プラタ/ブッシュと米州大統領サミットに反対する抗議行動
●イラン、北朝鮮、シリア、キューバ、ベネズエラその他の諸国に対する攻撃あるいは侵略の脅しに反対するキャンペーンのために私たちの反戦活動をリンクさせよう。

戦争によって儲けている者、国際金融機関に反対する提案

●戦争で最も儲けている二つの企業(ハリバートンとベクテル)に対する抗議と直接行動を強めよう。
●人びとが米英の多国籍企業の製品を購入せず、そのかわりに地域企業の製品を購入するよう促そう。
●戦争に反対する立場をとる社会的責任を果たしている企業を励まそう。
●世界貿易機関(WTO)、とりわけ12月13−18日に香港で開催される第6回閣僚会議に抗議しよう。
●イラクのWTO加盟を阻止するキャンペーンを始めよう。
●戦争で儲けた者についての資料をアラビア語で広めよう。

パレスチナに関する提案

●パレスチナに市民訪問団を送ろう。
●イスラエルへの制裁、ボイコット、投資引き上げのキャンペーンを始めよう。
●イスラエルへの武器禁輸と経済協定の停止のキャンペーンを始めよう。

戦争抵抗者への提案

●イラク占領連合国を支持する諸国の反戦勢力が、その戦略を調整するための集まりを組織しよう。
●青年たちに軍隊に入らないよう促す努力を強めよう。
●イラクでの戦闘を拒否する兵士たちを支援しよう。たとえば
(1)亡命の場を提供するカナダや個々の都市を支援する。
(2)異議をとなえる兵士たちのスピーキングツアーを組織する。
(3)戦闘を拒否したさまざまな諸国の兵士たちの話を集約する。

軍事基地と核拡散に反対する提案

●世界中の外国軍基地の閉鎖を求める国際的運動を築き上げるプロセスを支持し、参加しよう。
●辺野古の米軍基地建設を阻止する沖縄民衆の闘いに連帯の意を表明しよう。
●核兵器廃絶を求める5月1日のグローバルアクションを支持しよう。
●広島、長崎の原爆投下60年にあたり、8月6−9日に「ノー・モア・ヒロシマ、ノー・モア・ナガサキ」を訴えるグローバルアクションを呼びかける。

以上


WSF2005反戦会議決議(原文)
CALL TO ACTION of the ANTI-WAR ASSEMBLY,
World Social Forum 2005, Porto Alegre, Brazil
(pdf 74.3KB)



日本での行動

WORLD PEACE NOW 3.19
終わらせようイラク占領
撤退させよう自衛隊


「選挙」の正統性は拒否された
反戦運動は3月19−20日にイラクでの戦争を終わらせる大規模な抗議行動を呼びかける


[ポルトアレグレ−ブラジル 1月30日]イラクで選挙が行われた今日、1月30日、全世界からやってきた反戦運動体は、きたる3月19−20日にイラクでの戦争に反対するグローバルな行動デーを呼びかけた。

 この呼びかけは、今年は10万人以上が参加した反グローバリゼーション運動と反戦運動の活動家の年次会議である世界社会フォーラムの一部である反戦集会の決議である。

 この集会の主要オルガナイザーの一人であるフォーカス・オン・ザ・グローバル・サウスの代表ウォールデン・ベロは、「このかん浮き沈みはあったものの、この集会は反戦運動の復活を示している」と語った。

 反戦集会には、イラクをふくむ33カ国から約300人の反戦活動家が参加した。参加者のほとんどは、2003年2月15日の世界的な大規模な反戦デモを支えたグループの人たちであった。

 1000以上の組織が加盟する米国最大の反戦連合である「ユナイテッド・フォー・ピース・アンド・ジャスティス(UFPJ)」のメデア・ベンジャミンは、「私たちは2005年を戦争を終わらせる年にすることを決意する」と語った。

 ロンドンで100万人が参加する大規模なデモを組織した英国の「ストップ戦争連合」のクリス・ニネハムは、「世界的世論は私たちに有利だ。いまや戦争に反対する世論は2003年2月15日よりも多い」と指摘した。

 最新の調査では、デモはイラクをふくむ29カ国で予定されている。この呼びかけがここ数週間のうちに反戦ネットワークの中で広まるにつれて、さらに多くの諸国が参加することが期待されている。

 また反戦活動家たちは、イラクでの選挙の影響についても、それがたいしたものではないと評価した。「こうした隠密裏になされる選挙にはまったく正当性がない」「世界はこうした術策にはだまされない」とベロは語った。

 参加者の中には、はるばるバグダッドからやってきたシェイク・ジャワド・カリシがいた。スンニ派とシーア派、イスラム教徒と世俗活動家をふくむ、占領に反対するイラクの政治グループの広範な連合のリーダーである彼も、この選挙を拒否した。カリシは現在、イラクで最も影響力のあるリーダーの一人とみなされている。バグダッドのカダミーヤ地区のシーア派宗教指導者である彼は、1920年代のイギリスの占領に対するレジスタンスを指導したイラクのヒーローの息子である。

 カリシは語った。「ジョージ・ブッシュは、すでに投票日の以前から選挙結果を決めていた」「この選挙はイラク民衆のためではなく、ジョージ・ブッシュのための選挙だ」。

 カリシはバグダッドで得た情報にもとづいて、イラク人の非常に多くが選挙ボイコットを決めている、と主張した。彼は、モスル、ディヤタ、ラマディなどの5つの州では有権者の90%以上が選挙ボイコットを決めており、他の7州でもボイコット率は約70%に達した、と述べた。

 カリシは、選挙があっても暴力は終わらないだろうと考えている。「暴力はイラクが占領権力から解放されたときにのみ終わるだろう」、とカリシは述べた。

 「暴力は続くだろう。暴力を誘発しているのは、おもに占領軍だからだ」とベロが付け加えた。戦争で10万人のイラク人が殺されたが、そのほとんどは連合軍によって殺されたのだ、と彼は指摘した。ベロは「占領軍はいっそうの抵抗に直面するだろうし、そうなれば民衆はいっそうの残虐行為を受けるだろう」と述べた。