ATTAC日本版2002年第25号
Sand in
the wheels
Weekly newsletter - n°134 –
Wednesday 26 June 2002.
トービン税をめぐる論争
A WORKABLE TOBIN TAX
ATTACニュースレター「サンドインザホイール」(週刊)
2002年6月26日号(通巻134)号
関西:7月13日(土)「フランス農民連盟とラルザック農民の闘い」☆報告:上坂喜美さん+杉村昌昭さん☆午後2時スペースAK
京都:7月20日(土)☆報告:島本慈子さん(ノンフィクション・ライター)、午後6時20分キャンパスプラザ
目次
トービン税をめぐる論争の掲載にあたって
私たちはトービン税をめぐる記事を掲載し始めた(132号、133号を参照)。世界の最富裕国からなる国際機関であるOECD(経済協力開発機構)は、G8とセビリアでの欧州サミットを前に、トービン税に関わる文書を発表した。私たちは世界中の専門家やエコノミストに実行可能性、再分配、租税回避をめぐる論議に答えるよう依頼した。この夏は毎週、この論争に関連する記事を掲載する予定である。
[日本語版ニュースレター翻訳グループより:日本語版では、この論争を要約で紹介しています。重要な記事については別途に全文訳を準備します。翻訳協力可能な方、またはこれらの記事をご自分で翻訳をされている方はATTAC-J事務局までご連絡ください]
1.討論:実行可能なトービン税をつくる―ジョセフ・スティグリッツに聞く(Debate. Making a
Workable Tobin Tax: Interview with Joseph Stiglitz)
トービン税は二つのことを同時に行う。世界レベルでの非常に重要な公共のニーズを満たすための収入のベースを提供すること、世界中を破壊してきた資本の自由移動に関わる不均衡を強調することだ(853語)。
2.討論:トービン税―本当にできるのか?(Debate. Tobin Tax: Could it Work?)
外国為替市場の激しい変動に関する懸念により、多くのエコノミスト、政治家などが対抗策を提言している。最もよく知られる通常「トービン税」と呼ばれる提案は、すべての外貨取引きへの課税だ。これは証券取引税のケースと同じだ。このような税は外貨などの資産を比較的短期間持つ人々に、特に大きな負担を課すことになる(1629語)。
3.労働組合は長期にわたる下からの組織化を(Organizing: Union Takes the Long, Bottom-up)
ゼネラル・エレクトリック(GE)は、工場から労働組合を排除するための専門部署を持つ。この「労働組合回避」課の努力は成功してきた。GEの工場で最後に勝利した労働組合は1980年代半ばのテネシー州Murfreesboroでのことだ(1226語)。
4.NEPAD―不毛の種を植える(NEPAD: Planting Sterile Seeds)
先週土曜日、ワールドカップ準々決勝のセネガル対トルコ戦の観戦前に、ルワンダ、タンザニア、ウガンダの大統領と、ナイロビ州議会のMoi大統領が傷を舐め合うニュースを聴いた。アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)で東アフリカが軽視されているからだ。私は、アフリカがサッカーで世界を征服しようとしているとき、敗北に文句を言う4人の閣下を気にとめなかった(2058語)。
5.チリ:ブイン被解雇労働者組織からの公開状(Chile—Open Letter)
彼らは私たち解雇労働者をただの統計だと考えている。しかしその後ろには家族、苦しい貧困、空腹、栄養失調がある。私たちはすべての社会的疾病のえじきとなり、まともなカロリーと蛋白質の摂取ができず病気になりやすく、神経衰弱寸前で生きている(342語)。
6.米国―抗議者たちが警察の活動にお金を支払う?(Will the Protesters Pay Police Operation?)
先週、ブロードモアホテルで環境活動家グループが開催した平和的なデモに対して大掛かりな警備を行った市の警察が、活動家らにこの警備の費用を請求する可能性を示した(654語)。
7.世界のATTACの会合(Meeting ATTAC worldwide)
■付録1■世界議員フォーラムの共同アピール「地球を救えサミット:持続可能な世界は可能であり、必要であり緊急のものである」
■付録2■討論:トービン税の将来―世界規模の課税(フランス版ニュースレター344号より)
[要約版]
実行可能なトービン税をつくる―ジョセフ・スティグリッツに聞く
Debate.
Making a Workable Tobin Tax: Interview with Joseph Stiglitz
by Sonia Mikich
【ノーベル賞受賞者、ジョセフ・スティグリッツへのインタビュー、ドイツのテレビ局ARD, Monitorで2002年5月13日に放映。以下「聞」=聞き手、「ス」=スティグリッツ=ス)
聞:毎日世界中で投機的取引により15億USドルが動く。80%が短期的な動きだ。現在この動きへの課税が求められている。あなたはどう考えるか。
ス:トービン税導入には二つの動機がある。一つは世界的な公共ニーズのための資金源が必要だということ。世界が統合されてくると、世界レベルで満たすべきニーズが増える。AIDSなどの世界的病気、対テロ戦争、環境改善、途上国の貧困対策。開発という課題には500億ドル以上が必要だが、現在その収入源がないため、米国が世界を人質に取り、国連の行動が気に入らなければ支払いを拒否するという許し難い状況だ。トービン税はこの収入を得る一つの方法だ。トービン税は多大な象徴的価値がある。最近は金融市場が世界を動かしている。貧しい国などの人々を犠牲にする非常に不安定な状況をもたらしている上、国内での交渉力を奪っている。資本に税をかけようとすれば、自由移動できる資本は「では手を引く」といえるからだ。つまりトービン税は象徴的だがそれ以上でもある。トービン税の重要な点は、同税からの収入を公共のニーズに充てる点だ。私たちが集団的行動を起こす必要があることを認識している。世界レベルで集団的行動を起こすには資金がいる。それが今私たちにはない。つまりトービン税は二つのことを同時に行う。世界レベルで非常に重要な公共のニーズを満たすための収入のベースを提供すること、世界中を破壊してきた資本の自由移動に関わる不均衡を強調することだ。
聞:トービン税の支持者は同税が全体のメカニズムの一部でなくては、抜け穴がありすぎて効果がないという。あなたは同税を始めるにあたって欧州は充分だと思うか。
ス:そう思う。よいものに課税するわけではないから、金融市場を安定化させるのに大成功しなくても悪いほうには転ばない。投機的取引が減って世の中が悪くなると思わないだろう? また世界的効率も悪影響を受けない。欧州が懸念すべきは欧州外で取引が行なわれること。だから現在の他の税と違い、トービン税は取引が世界のどこで起ころうと欧州住民の資本にはすべて掛けることが重要だ。だから技術的に実行できるかが問題だと思う。
聞:技術的か政治的か?
ス:両方だ。租税回避ができないように法律を設計できるか? 私が気になっているのはデリバティブとオプションだ。克服できると思うがもう少し研究が必要だ。金融市場の人々は租税回避に非常に創造的だ。私は象徴的なだけでなく効果的な税制が欲しい。
トービン税―本当にできるのか?
Debate.
Tobin Tax: Could it Work?
by OECD
[2002年OECD報告書「為替市場の揮発性と証券取引税」より]
[訳注:volatilityを「揮発性」と訳している、「極度の不安定性」という意味で使われている]
外国為替市場は世界経済を機能させるのに必要不可欠だ。しかし時にこれは過度に不安定であるように見える。市場原理に反する過度に変動する為替相場は経済に負担を課す。また時に為替市場からの圧力が通貨政策作りを複雑にしてきた。外国為替市場の激しい変動に対する懸念から、多くのエコノミスト、政治家などが対抗策を提言している。最もよく知られる通常「トービン税」と呼ばれる提案は、すべての外貨取引きへの課税だ。これは証券取引税のケースと同じだ。このような税は外貨などの資産を比較的短期間持つ人々に、特に大きな負担を課す。最近の提案者はトービン税が生む多額の収入を価値あるイニシアチブの資金に充てることができると主張している。
■為替市場は過度に揮発性があるか:
「特に短期間の為替相場の動きが市場原理で説明できる範囲より大きい」との論が確立されている。だが為替相場の根本的決定要素の変化を示すものとして評価された新しい経済データに対して、トレーダーが過度に反応したのではなく、経済原理と関係なく動いている、という範囲がどれくらいなのか明らかではない。
■トービン税は揮発性を抑えるか:
この疑問に対する確固たる答えはない。トービン税は不安定をもたらす取引と、流動性や情報を提供して市場の安定化を助ける取引を区別せず、すべての短期的取引に課税する。証券取引税が導入された金融市場では取引量に大きな影響はあったが価格の変動性は影響を受けなかった。
■経済効率の点でこの税の効果はそのコストを相殺するだろうか:
為替市場の揮発性が貿易と投資を妨げるか否かについて、どちらの論にも、それを裏付ける証拠が挙げられているが、悪影響があるという調査報告によっても、その影響は小さいとされている。これは低コストのヘッジ・ファンドを利用できるためだろう。もしトービン税が揮発性を抑えるならヘッジ・ファンドの価格はかなり下がり、その必要性も薄れる。だが流動性が間接的に影響を受けて揮発性は逆に上がる。トービン税は特に低コストのヘッジが可能な取引に影響を与えるだろう。つまり潜在的利益よりマイナスのリスクの方が高い。
■このような税が実行できるか:
原則として、トービン税は世界規模で、全ての金融市場含めて実行されなければならない。そんな税を実行する政治的メカニズムは今のところない。
■トービン税からの潜在的収入は:
実行できれば税収はかなりになるが、税のベースそのものが縮小するため現在の予測より少ないだろう。いずれにしろこの税収を開発援助などの特定の支出に充てることは経済的に効率的でも政治的に適当でもない。
■外国為替市場は株式市場より揮発性が低い:
為替市場は国債市場より揮発性が高いが、株式市場よりは低い。だが外国為替市場の月単位の揮発性は経済原理の動きでは簡単に説明できない。日単位の揮発性も高いがこれは為替相場を設定する際のノイズと見れらる。このため過度の揮発性があるとレッテルを貼られる。取引量と揮発性が正比例しているから投機が価格を動かしているかに見える。だがこれは単に取引量と価格が共に新情報に反応しているだけかもしれない。また、過度の揮発性はトレーダーが新情報に過剰反応しているか関係ない情報を得ているためかもしれない。新情報により間違った価格設定が行なわれその後直されることも取引量と揮発性の比例関係を強める。
■トービン税は過度の揮発性を抑えるか:
トービン税により短期間の為替所持は敬遠されるだろう。一年以上所持するトレーダーにはこの税負担は非常に小さい。つまりこの税は短期的取引を大きく制限し、長期的取引にはほとんど影響を与えない。だが短期的取引の制限は必ずしも揮発性を抑えない。同税は危機管理しようとするトレーダーの短期的取引にも課税するため、市場の流動性に対して逆効果となる可能性がある。弱い市場では各取引の価格に対する影響力が強くなるため揮発性が高くなるかもしれない。金融市場における証券取引税の経験(イギリスでの印紙税、米国および東アジアの市場、1991年1月1日まであったドイツの証券取引税、最近のパリ株式市場への取引費用の影響評価)からもその効果は疑わしい。
労働組合は長期にわたる下からの組織化を
Organizing:
Union Takes the Long, Bottom-up
by Paul Bouchard, Organizing Director, IUE-CWA Local 201
■多数派でない労働組合が勝利の道を見つける:ゼネラル・エレクトリック(GE)は、工場から労働組合を排除するための専門部署を持つ。この「労働組合回避」課の努力は成功してきた。GEの工場で労働組合が最後に勝利したのは、1980年代半ばのテネシー州Murfreesboroでのことだ。
IUE-CWAは本来の労働組合の組織化戦略に戻ってGEの要塞を打破しようとしている。国際電力会社労働者組合(IUE)などの労働組合は通常、GEの1つの工場にオルグを長期にわたって派遣して、一気に組織化しようとしてきた。このキャンペーンが大多数の支持を得られず失速すると、組合の人と資金は他の工場へ移る。このことは組合支持者に苦い思いと混乱を残す結果となった。IUEは2000年に通信労働者組合(CWA)と統合し、これまでとは違う組織化戦略が吹き込まれた。CWAでは「WASHTECH」と「Alliance@IBM」という2つの組織化の活動が行われている。どちらも伝統的な組合というよりは会員組織であり、その目標は団体交渉による合意に関わりなく経営者の態度を変えて労働条件を改善することだ。
■もともとの戦略:新しい戦略といわれるが、これは労働法がなく創造的方法が唯一の方法だった頃のもともとの戦略である。IUE-CWAはGEでの組織化にこの会員制の戦略を採った。GE労働者(WAGE)委員会はミシガン州Muskegonとノースカロライナ州Wilmingtonの二つのGEの工場で労働組合を設立し始めた。WAGE委員会は自ら経営者の態度を変える方法を見出すことが使命とされた。労働組合の役割は委員会の活動を促進し研修や資源を提供することだ。組合の専従オルグの指示待ちだった以前の地域組織化委員会にとっては大きな変化だ。最初労働者はこのアプローチに混乱して半信半疑で、その説得には時間がかかった。
■WAGE委員会:同委員会は大衆による集団的行動によっても労働条件は改善できると示して労働組合の支持を得ようとしている。この過程で労働者らは労働組合の最良の形が何かを直接的に経験する。労働者はWAGEの会員かサポーターになれる。会員は月10ドル支払い、IUE-CWAの会員となり投票権を得、一連のサービスを受ける。会費は委員会の運営費となる。会員とサポーターは委員会活動に参加する。例えばWilmingtonでは4月のWAGE委員会で、事故を報告すると労働者が事故の原因と見なされ「指導セッション」を受けさせられることや、法律で義務づけられた危険物取扱いデータシートが手に入らず危険物の扱い手順が分からないことを議論する。すると次の委員会までには経営者側が解決策を用意する。6月にOSHAが定期監査に入るためGEがすばやく対応するのは不思議ではない。このように議論するだけで影響力を与えるポイントを見つけることができる。
■非労働組合員の契約:IUE-CWAと地域WAGE委員会は、2003年にGEと13の労働組合から成る交渉協議会の間で契約交渉がなされる際に、労働組合のないGE工場の一般労働者の力を投影しようとしている。組合のないGE工場労働者も契約条件改善に関心があるため、IUE-CWAはWAGE委員会に頼んで委員会が集めた情報を交渉の際の要求に取り入れる。WAGE会員も交渉の場に招く。労働者が無関心と恐怖心を乗り越え、組合の過去を許すのには時間がかかるだろう。組合の支持を長期的に積み上げ、労働者自身で学ぶWAGEのボトムアップのアプローチは、この挑戦にぴったりの方法だ。
【この記事は「レイバーノート」との提携により掲載される。】
NEPAD―不毛の種を植える
NEPAD:
Planting Sterile Seeds
by Oduor Ong’wen
ワールドカップ準々決勝のセネガル対トルコ戦の観戦前に、私はルワンダ、タンザニア、ウガンダの大統領が、ケニアのモイ大統領と、ナイロビにある彼の大統領官邸で傷を舐め合っているニュースを聴いた。アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)で東アフリカが軽視されているからだ。私は、アフリカがサッカーで世界を征服しようとしているとき、敗北に文句を言う4人を気にとめなかった。残念ながらアフリカは負けた。サッカー同様、世界は勝ち専門と負け専門に役割が分かれている。私たちアフリカはヨーロッパ人がインドへの航路を探索した時代から負け専門だ。人々が奴隷として「新大陸」アメリカへ、金が、象牙が、銀が船に積まれていったが、今でもアフリカは召使いとして働きつづける。NEPADはもう一つのアフリカの負けをもたらすと私は考える。私は自尊心のあるアフリカのリーダーらが負けチームに入らなかったことに文句を言うのが理解できない。NEPADがアフリカ開発の青写真ではない理由を5つ挙げよう。
1.新パートナーシップという名。パートナーシップとは共通の目的を目指すために一緒になること。NEPADの文書には誰と誰が何を目指すか明確に示されていない。アフリカのリーダーらはNEPADを8つの最富裕国(G8)に売り込むのに必死だったが、アフリカ市民社会、農民、起業家、学者らはその文書をなかなか入手できなかった。つまりNEPADはアフリカのリーダーらとG8のパートナーシップと推測できる。だが猫とネズミの関係はパートナーシップといえない。
2.NEPADは北、特にG8国が私たちの開発を助けるとの誤解に基づいている。ニュートンの第三の法則(作用があれば反作用がある)は、まさに産業国と国際機関がアフリカ自身の開発イニシアチブに対して行ってきたことだ。▼エンクルマやルムンバなどのアフリカリーダーはアフリカを植民地関係から切り離し自給的経済を目指した。北はアフリカにアフリカ社会主義を売り込むことで反撃した。コリンズ・レイズはこの開発青写真はアフリカのものでも社会主義でもなかったという。▼1970年代に非同盟運動が新国際経済秩序を求めたことで「国連アフリカのための経済委員会(ECA)」は枠組み見直しをし、これはモンロビア戦略(1979)、ラゴス行動計画(LPA)、ラゴス最終決議(1980)の基礎となった。LPAは独立・自立・民主化・公平性を強調した5つの原則を基礎にした開発を求めた。国際金融機関とこれら機関を操作する国々への警告もなされた。これらに対する反撃は、1981年にE.T.バーグらがアフリカの開発問題を調べ、このバーグ報告書が構造調整プログラム(SAP)の先駈けとなったことだ。▼1986年、アフリカで「経済回復のためのアフリカ優先プログラム(APPER)」が作成され、国連で採択されて「国連アフリカの経済回復と開発のための行動プログラム(UNPAAERD)」となった。1989年には「アフリカ社会経済回復と転換のための構造調整プログラムに代わる枠組み(AAF-SAP)」ができた。G8の支持を得た国際金融機関はこれに反撃し、報告書「サハラ以南アフリカ:危機から持続可能な成長へ」を作成し、アフリカが消費しないものを生産し、生産しないものを消費することを強いた。この報告書を基に、元世界銀行総裁(元米国防長官)のロバート・マックナマラと元オランダ国際協力相のジャン・プロンクに先導された「アフリカのためのグローバル連合」ができた。「開発への大衆参加のためのアフリカ憲章(1990)」と「国連アフリカ開発のための新アジェンダ(UN-NADAF、1991)」も富裕国と国際機関が路線をそらしたものだ。
3.NEPADの促進する政策は現在の開発危機をもたらしているSAPを通した政策そのものだ。NEPADは多国籍企業にいい環境を作ることに取り組み、外国直接投資を呼び込むという。私たちのリーダーは自問しないのか―「経済活動の目的は何だ?」と。
4.NEPADは民主的ではない。アフリカ大衆の力―農民とその協会、労働者とその組合、市民社会とその組織、先住民事業コミュニティ、女性とその組織、専門家と学者―とは協議がなかった。NEPADが私たちの開発についてならば、なぜ私たちが無視される?
5.NEPADは物乞いの皿だ。リーダーらはG8にNEPADのための資金源を物乞いしている。金額は640億USドル。富裕国の貿易制限は私たちから毎年1000億USドルを奪っている。また知的所有権が技術移転と資源を妨げなければ私たちは4000億USドルを稼げるという(オックスファム、2002年4月)。NEPADの焦点はずれている。
アフリカは他の国のために働きつづけるだろう。富裕国が消費者から集める税金は生産者に支払う金額より高いから、富裕国は消費することで生産する私たちより利益を得る。昨年11月、途上国は多国籍企業の権利法案を作るWTO(世界貿易機関)新ラウンドに署名させられた。私たちは、外国投資家に自由が与えられるほど投資に苦しめられる人々用に牢獄が作られることを知らされなかった。軽視、搾取、依存の連鎖は世界の資本主義の特徴だ。アフリカ内では、より強い国によりより弱い国が軽視される。だから多国籍企業が地域本社をナイロビからヨハネスブルグに移動すればエジプトやナイジェリアは次に北が関心を示したときイニシアチブを取ることになる。各国の中では大都市による小さな町の搾取、男性による女性の搾取、農業の潜在性の高い地域による乾燥地域の搾取がある。歴史を競争と見るならば、アフリカの後退と貧困は単にその失敗による。私たちは負け、他が勝った。他は私たちの負けのおかげで勝てた。私はNEPADに希望を持つよりセネガルのサッカーチームに賭ける。彼らはアフリカのために勝つ強い意志があるからだ。
【NEPADに関する詳細は、http://www.nepad.org/へ。】
チリ:ブイン被解雇労働者組織からの公開状
Chile—Open Letter
by Buin
Redundant Workers Organization
チリでは何千人もの男性、女性が解雇されてきた。私たちのことは誰も―国、民間企業、どの政党の政治家、消費者調査も―知りたがらない。彼らは私たち解雇労働者をただの統計だと考えている。だがその後ろには家族、貧困、空腹、栄養失調がある。私たちはすべての社会的疾病のえじきとなり、カロリーと蛋白質の摂取ができず病気になりやすく、神経衰弱寸前で生きている。私たちは社会的に排除され、見下されている。政府、議会、市長、議員は皆無視する。ブイン被解雇労働者組織は何千人もの解雇されたチリ人の一部を代表している。食べるものがない、請求書の支払いができない人々だ。政府の雇用計画は実行されず、社会的ブラックメール(脅迫)を方針としている民間の雇用者は仕事場を閉鎖したまま。彼らはこのシステムが生み出した世界経済危機の社会的コストを私たちに支払わせている。彼らがこの経済システムにおける何千人もの人々の飢餓と死の原因なのだ。私たち解雇労働者組織はいくつかの会議を開いた後、人々を動員し始めた。私たちはマイポ自治体事務所に向かい行進する。既にブインの中央広場にスープを支給するキッチンを設置したが、特別支部警察隊に攻撃され30名の男性、女性、子どもが拘留されている。私たちは貧しい地域を通って行進する。スープ・キッチンも継続する。私たちは次のことを提案する。1.全ての人々に差別なく開かれた緊急雇用創出計画
2.解雇労働者の主な債務(電気、水、自治体税)の免除
3.解雇労働者の再研修プログラム。
2002年6月 ブイン被解雇労働者組織
米国―抗議者たちが警察の活動にお金を支払う?Will the Protesters Pay Police
Operation?
by Terje Langeland
コロラド・スプリングスでは、言論の自由は「タダ」ではないかもしれない。先週、ブロードモアホテルで環境活動家の小グループが開催した平和的なデモに対し大掛かりな警備を行った市の警察が、活動家らにこの警備の費用を請求する可能性を示した。森林保護グループ「森林倫理」のうちオレゴンで活動する「コニヴァリス」の弁護士でスポークスマンのアロン・サンガーは、公的当局がデモに関して活動家に請求書を送るなど聞いたことがないし法的根拠もないと話す。警察側のスポークスマンのスキップ・アームスは、指揮官が市の弁護士事務所代表と会い法的根拠の可能性を調査するという。6月10〜12日、30名の環境活動家が同ホテルで年次会合を開催していた北米木材卸売連合に抗議するため集まった。活動家らは同連合が、絶滅危機下にある森林からの膨大な量の木製品を取引しており有罪だと主張。警察が攻撃態勢で現れ、何十人もの警官がホテルを囲んだ。警察のヘリコプターが頭上を飛びつづけた。警察は「どんな状況にも対応できるように」したという。抗議行動の目玉は6月10日のホテルの外での平和的行進と、3名の活動家がホテルの塔に登り横断幕を垂れたことだ。彼らは逮捕された。2日後10名の活動家が会議参加者の配偶者らがツアーに行く予定だったガーデンに、寸劇を見せるために出かけた。多くの警察の車とバイク、機動隊の乗ったバンが彼らの後を追った。後に警察は、彼らが民間のガーデンの訪問者センターを「不法進入」したと告げた。警察隊側は行進の主催者らが違法行為をするつもりだった場合費用を請求する法的根拠がある可能性があると述べている。「私たちは平和的デモを行う権利を保護する義務がある。だが彼らが犯罪行為をわざと行う場合、罰金を支払う可能性が開ける」と警察側はいう。
■付録1■
世界議員フォーラム
地球を救えサミット:持続可能な世界は可能であり、必要であり緊急のものである
リオ+10サミット宣言
2002年8月26日〜9月4日 ヨハネスバーグ
1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された第一回地球サミットは、世界での消費と生産の非持続的なパターンを覆す必要性を国際的に認識させた。10年後、ヨハネスバーグでの第二回地球サミットは、この目標に対する進捗を再検討し、世界の主要な問題に取り組む新しい提議を決定しなければならない。事実、UNEP(国連環境計画)の「地球的環境概観3」は、これまでより世界の状態は悪化しているという少し惨めな結果を記載している。これまでよりも多くの人々が貧困、飢え、環境荒廃、戦争と抑圧に苦しんでいる。
ヨハネスバーグでの地球サミットには、政治的指導者と世界中からの市民グループ、ビジネスとその他の社会分野からの代表が集まる。
多くのことが危機に瀕している。サミットの具体的な結果は、とりわけ工業国からの政府参加の欠如のために、モントレーや金融発展に関するバリ会議と同じく決断力に欠けるものとなる恐れがある。そして貿易に関する議事が、開発や環境に関する議事よりも優先される恐れもある。多国籍企業は、ヨハネスバーグで決定される行動のための提議を彼らの経済的利益を反映するものにしようと主に取り組んでいる。もう一度、企業の力が民主的な決定と管理を覆そうとしている。我々は断固としてビジネスの問題を支持する試みを拒絶する。我々は、リオ−10の結果を招くようなリオ+10は望まない。ヨハネスバーグでの失敗は、すべての人々のための安全で公正な世界を求める戦いにおける敗北ともなる。すべての人々のための持続可能な開発、健康と明るい未来を求める戦いに勝利することにより、世界の人々は平和のための戦いにも勝利するだろう。これはヨハネスバーグがたいへん決定的なものとなるであろうもう一つの理由である。
それ故、我々世界議員フォーラムのメンバーは提案する。
リオ+10に対する10の要求
それは、我々が議会での職務の中で擁護し支持するものである。持続可能な開発の目的は、たとえそれが経済的発展に寄与しようとも、経済的発展のようなものにあるのではない。その目的は、人間の進歩、人間の尊厳、すべての人々の生活の質の改善、社会的包摂と環境の保護である。したがって我々は、明確なヴィジョンと明確な目的、目標と時程表を必要としている。この目的を達成するために必要なのは以下の10項目である。
1、貧困の原因を断ち切ること
世界の人々のための生活状態の改善は、政治的、経済的活動の全般的な目的である。その目的の大きな部分として、教育に対する権利は増進されなければならない。我々の議会で我々は、公共を私有化するどんな企てにも反対する。公共財に対する自由なアクセスは保障されなければならない。公共サービスは、売り物ではないし、社会的権利と同じく擁護され、促進されるべきである。種子の所有権の私有化とは両立しないが、食物の安全性は一つの人権である。国際的取引に課されるトービン税やその他の国際的な税(排気ガスに課される炭素税など)は、極度の貧困を根絶し、途上国において持続可能な手法ですべての人々に公共財へのアクセスをさせることを目的とした基金を立ち上げるため実行されるべきである。世界規模での富の再分配なくして持続可能なグローバリゼーションなどないだろう。
2、環境荒廃の原因を断ち切ること―リオ以来締結されたすべての国際的な環境、開発に関する協定、公約の批准と実行
これまでより多くの人災を招いてきた、大地とエネルギーの無責任な使用(濫用)で始められる成長の論理に終止符を打たなければならない。無軌道な伐採、殺虫剤使用と家屋や道路の造成は、地球を生存の危機においている。汚染者負担原則と予防主義は、全規定の基本とならなければならない。気候変動に関する条約(京都)、生物的多様性、生物的安全性と漁場に関する条約は、もう施行される時期である。したがって我々はアメリカのように署名を撤回したり、調印をしぶったりする政府に圧力をかけることに貢献する。ヨハネスバーグサミットは、実行の時程表を含めた国連目標のGDP比0.7%のODAを採択しなければならない。
3、債務、金融投機の侵食を打ち切ること
途上国の年間債務元利返済額は、2000億米ドルに達している。これは、ODAのおよそ四倍である。それ故、現実には、南側が北側に資金を融通していることになる。完全に思い通りにならない結果で、債務の罠にすべての国々を巻き込んでいる現行のシステムは、貧困国に対する債務帳消しを始めることで、停止されなければならない。さらにトービン税や税金天国の抑制などの手段は、投機的な資本の流れを止める助けとなるだろう。
4、企業責任を問うこと
我々は、独自の検証機構を含む、国際法、国内法で定められた主要な労働、環境的基準を個人投資家に遵守させる、企業の責務と責任に関する法的拘束力を持った国際的な枠組みを要求することを支持する。これに関する第一歩は、社会的、環境的な影響を必ず報告することと多国籍企業に対する現存のガイドラインの強化をなすべきである。さらに、すべての多面的環境協定は、天然資源使用と投資の管理に関する条項を盛り込むべきである。自発的な規約では、市民と共同体の権利、そして企業の責務を保証するのに十分ではない。ヨハネスバーグは、国際的な枠組み協定の調整を開始する場であるべきである。
5、WTOを縮小させること
WTOに新たな力を与える代わりに、その機能をよく再検討し、改善することが必要である。WTOに投資、政府調達、競争やとりわけ健康と教育に関する公共サービスといった新領域に対する権限を与えるべきではない。WTOの議決機構はとても強力すぎるので、社会、環境や人権に責任を持つその他の多面的な機関の決定に従うべきである。WTOに多面的環境協定を蹂躙させないために、新しい国際的な枠組みと国連機関の管理の下での国際的ルールの新しい体系を認識する必要がある。貿易は、社会的目的に役に立ち、国際的共同体の環境、健康に関する優先事項を尊重するものであるべきである。その他のやり方ではあるべきではない。決して生きている物が商品となるべきではない。
6、ジェンダーの平等とマイノリティの権利を発生させること
男女の平等は、依然として認めるには程遠い。民族的マイノリティの権利の改善も必要であり、これは開発政策の大きな部分に違いない。ジェンダーの影響の査定は、発展がジェンダーギャップを埋めることに寄与するのを 確実にする全国際的協定において義務化されなければならない。
7、戦争と軍事化に終わらせること
テロリストの脅威は、現実のものであり、それに立ち向かわなければならない。しかし、反テロリズムの名における民主的自由の縮減とさらなる軍事化は答えではない。もし状況が持続可能な平和におかれるなら、もし不平等に立ち向かい、民主的権利が強化されるならば、暴力的な紛争によって引き裂かれた地域における持続可能な発展はありうる。「軍事化のグローバリゼーション」の論理は、これら本質的目的に対する適切な反応ではない。国際的共同体は、安全保障理事会の決議を尊重し、国連のリードの下での紛争の政治的解決を優先事項にしなければならない。抑圧された人々を守るために干渉する権利は、国際司法裁判所によって規定され、制限されるべきである。武器貿易と軍事援助は、同じく制限されるべきである。
8、文化と言語に対する権利を保障すること
すべての人々に対して、彼ら自身の遺産や人間的慣習を尊重することなくして自己開発に至ることはできない。生物的多様性と同様に文化的、言語的多様性は、地球レベルで保全されなければならない。今日、世界で話されている6000程の言語の約半分が脅威にさらされている。3世紀にわたって、特にアメリカやオーストラリアでは、劇的で確実に増しているペースで諸言語が死滅し、消滅してきている。少なくとも3000の言語が、世界の多くの部分で深刻な危機に面し、または死滅している。
9、水に対する自由なアクセスを保障すること
新鮮な水に対するアクセスは人間の最も基本的に必要とするものの一つである。けれどもこのアクセスは、気候状態が悪い南側のみならず北側でさえも地下水脈と河川の汚染の増加によってより不安定で高価なものとなってきている。このような状況の下では、水または水の配分の私有化は、人々にとって致命的な結果を招く。我々は、水および水サービスの私有化に反対する。
10、持続可能な開発は私有化されるはずがないこと
公的な個人的パートナーシップまたはいわゆる「タイプU提案」は、持続可能な発展の問題解決ではない。リオ+10サミットは、時程表をともなった政治的合意の確かな約束と政府間行動計画でもって幕を引かれるべきである。これこそ我々の未来を保障する唯一の道である。我々は持続可能な共同体を必要としているのであって、企業のための持続可能な利益を必要としているのではない。
署名
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■付録2■
討論:トービン税の将来―世界規模の課税
By Dominique Plohon
[2002年5月17日、ATTACフランス主催のセミナー「世界規模の課税と金融発展」でのドミニク・プリオン氏の発言から抜粋、フランス版ニュースレター344号より、訳:林 昌宏]
「課税の目的」
トービン税の目的は3つある。
1−公的支出といわゆる商品として扱われないものに対する財源の確保
2−企業、投資筋、預金者、消費者などの私的行動に一定の圧力をかける。
3−これらのプレーヤーの所得再分配を図る。
これらの目的は原則的に相互補完的であるが、競合的でもある。すなわちトービン税は投機筋の行為を削減する(目的の2)がため、財源の確保(目的の1)に対立することになる。
経済原理によれば、課税は次の存在に基づく。
1−市場原理では生産されず、その消費活動は共同的な公共財
2−外生的プラスマイナス要因(経済学者ピグーの論理より):個人の経済要因の計算において外生的であり市場では規制できない経済現象。
公共財と外生的要因の2つの存在は相互補完的であり、市場以外の公的介入を要するという市場原理からは離れたところに位置すると言う共通点がある。
「なぜ世界的課税でなければならないのか?」
現在の課税システムは外部に対して開放されているという前提では構築されていない。
現代、展開しているグローバリゼーションの過程は、国家の主権事項である貨幣や課税などの国家権力に疑問を投げかけている。それゆえ、国内の課税体制との関係で世界的な課税体制のあり方を見なおす必要がある。世界的課税の目的は国内課税の目的と同じであるが世界的課税は世界的経済レベルの話である。すなわち、国際的規模で公的財源を徴収する、世界的プレーヤーに対して一定の圧力を加える、世界的規模のマイナス外生的要素に対抗する、世界的公共財のための財源を確保することである。
より詳しく世界的課税体制の必要性を4つの点にわけて述べる。
A/グローバリゼーションの過程で国内課税対象が侵食されている。すなわち金融自由化により最も課税が低い国へ資本が自由に移動し、徴税を低下させている。
B/グローバリゼーションが経済と国内公共財政の遊離を拡大した。一国の課税方針は他国の経済と課税方針とのバランスに左右される結果となっている。このような現状において2つの政策が考えられる。
1―課税競争政策(課税のダンピング)、現在、最もよく見られる例であり、国の課税ベース引き下げにより資本を世界から呼び寄せる方法。タックスヘイブンなどはこの極端なケースである。
2−国家の課税対象を確保するために国家間が協力する政策。地域または世界的課税体制の構築が、国家間の協力をより押し進め、課税手段確保を可能にするケース。
C/グローバリゼーションにおいては資本移動がより素早くできる者が徳をするという、経済を構成する要素の1つである課税上の不平等を生み出す。すなわち国際的規模で活躍している上級管理職者や機関投資家や多国籍企業、彼等は意志決定が世界的規模で可能であり、課税に対しても世界的な取り組みをしており、課税が国内のみに限定された効力しか持たないことを利用して国家間の課税体制のずれを利用して課税を逃れている。この多国籍企業の政策は課税の分野で非常に効率よく運営されており、本社や子会社の所在地の決め方や、国際的グループの間で都合の良い架空の価格(価格移動)でやり取りを行うなどといったやり方で課税を逃れている。
不平等の根源であるグローバリゼーションによる歪みのなかでも次の点を強調したい。大部分の労働者は国際的にほとんど移動できないが資本を保有する機関投資家などは金融の自由化のおかげで自由に移動できる。この状況から機関投資家たちの課税は下がる傾向にあり、また源泉課税を余儀なくされる労働者とそうでない労働者との間の格差も拡大してきている。この課税の歪みは金融のグローバリゼーションを直接の原因とする重大なる不平等の源泉である。
D/グローバリゼーションは、世界規模で元来、商品としては扱われるべき対象ではない新しい要求を生み出した。
1−世界公共財:水、環境、安全
2−世界的規模のマイナス外生要因:投機、他からの公害
これらの世界的公共財と世界的外生要因は、場合によっては国際的世界的規制により世界的規模の課税でのみ効果的に財源を確保でき、また規制できる。
「世界的規模での課税の政策的制度的条件」
A/世界的規模の課税の導入にあたり1つの大きな反対意見に国を超えた公的権力の不在がある。民主的に公的権力を設定し、また徴税した資金の使途と同様に課税ルールの適用と運用のための公的権力の不在である。
この反論は受け入れがたい。国際的協定が国家による課税の批准と課税による財源の管理運営を可能にする。税源の管理と割り当ては現在の政府間で機能している国際的機関に委託できるであろう。この基金は“1つの国家、1つの声”という原則の国連のシステムと結びついた機関に託すことが望ましい。
B/“all or nothing”という議論は同様に避けなければならない。世界規模の課税批准は例えばヨーロッパ連合だけでまず始めると言うことも可能である。
C/世界規模の課税は現在進行中であるグローバリゼーションの流れを変えるのには十分ではないであろう。国内及び国際的権力が同時に他の手段、特に規制をかけるなどと言った手段を講じることが必要である。資本の国際間の移動に対する再規制は国際的規模の課税を批准するにあたり必要不可欠である。
D/国際的課税は国内の課税と同様に技術的問題ではなく政治的選択である。技術的解決方法は明らかになっており、今、求められているのは国家の政治的意志決定である。国際的課税はまた、企業や個人、市場関係者の行動を制御する必要性があるという議論を作り出す重要な教育的価値をも持つ。世界的課税は、現在のグローバルな経済システムを再検討する上で社会において明確な位置付けをもつ。