テキスト ボックス: Sand in the Wheels
N° 161 - Wednesday 15 January 2003

希望を持ち、ギャングに立ち向う
GANGSTERS VS HOPE

ATTACニュースレター「サンドインザホイール」日本版2003年第3115

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目次

 

1. 世界社会フォーラムをライブでDo not miss it!)

ポルトアレグレ・世界社会フォーラム(WSF)からのライブ;http://www.attac.info/poa2003。1月23日〜28日まで、データベース、会議、イベントなど。(205)

2. アジア社会フォーラムを終えてAfter the Asian Social Forum)

私たちはインドのサイバー・ワールドの象徴と言われている都市、ハイデラバードに集まっている。しかしこの都市は、最近の新自由主義的グローバリゼーションの影響によって、餓死だけでなく、数百人の農民や織工が悲劇的な自殺をしていることでも知られている。この国の本当の歴史は、活力ある民衆の闘争の歴史だ(941)

3.  銃を捨てろ!Drop your gat!)

EU通商コミッショナーのパスカル・ラミー氏は、神経質そうな顔に眼鏡をかけ、げっそりと痩せていて、どう見ても30年代のギャング映画に出てくる悪者には見えない。それでも彼は、あなたの将来を支配しており、それを多国籍企業に渡すためにあらゆる手段を尽くしている。ラミー氏が悪事を行う手段は、GATS(サービス貿易一般協定)である(861)

4. ただ乗りの秘訣:特権はどのように保護されているのか(The Free Rider Principle: how privilege is subsidised)

ビジネスの世界では、税金逃れは当然とされている。多国籍企業は、貧困な国に吸いつき、企業のためにインフラをつくらせることによって債務を膨張させる。西側経済でも「ビジネス・フレンドリー」[企業にやさしい]な政策とは、企業とビジネス・エリートの税金を減らし、労働者には増税と長時間労働、そして安定的雇用の終焉をもたらす(3491)

5. 米国企業のすべての取締役が、わずか数人を介してつながっている(America's corporate boards separated by just four handshakes)

ハリウッド映画をテーマにした連想ゲーム「ケビン・ベーコン・ゲーム」が流行しているが[俳優→出演作品→共演者を次々と連想して、何人目でケビン・ベーコンに到達するかを競うゲーム]、ビジネス・スクールのリサーチャーによると、米国企業の取締役会のネットワークもこれと似たようなもので、すべてのメンバーがわずか数人を介してつながっている(501)

6. 対外債務と市民の権利(Foreign Debt and Civil Rights)

対外債務と市民の権利に関する国際セミナーがオランダ・アムステルダムで開催され、法律に関する文化的背景が異なる種々の地域から専門家が集まった。セミナーでは対外債務の問題がさまざまな角度から-国際法の観点から、また国内法の観点から-検討された(794)


 



世界社会フォーラムをライブで

Do not miss it!

By attac.info

 

1月23日からポルトアレグレで開催される第三回世界社会フォーラムは、主に五つのテーマを軸として行われる;

民主的で持続可能な発展−原理と価値

人権、多様性、平等

メディア、文化と対抗ヘゲモニー

政治権力、市民社会、民主主義

民主的な世界秩序、ミリタリズムとの闘い、平和の推進

attac.info では、フォーラムの報告をリアルタイムで提供する。

 



アジア社会フォーラムを終えて

After the Asian Social Forum

 

アジアの社会・大衆/民衆運動・組織の声明

200317

 

2003年1月2−7日まで、インドのハイデラバードで多様な社会・文化・政治的背景を持つ民衆運動の組織が一堂に会し、新自由主義的グローバリゼーション・帝国主義・軍国主義・家父長制・宗教原理主義に対して声を上げた。

私たちはインドのサイバー・ワールドの象徴と言われている都市、ハイデラバードに集まっている。しかしこの都市は、最近の新自由主義的グローバリゼーションの影響によって、餓死だけでなく、数百人の農民や織工が悲劇的な自殺をしていることでも知られている。この国の本当の歴史は、活力ある民衆の闘争の歴史だ

今日のアジアは、多くの民衆が飢餓・窮乏化・解雇・債務に直面している貧困と戦争の中心にまたしてもなってしまった。

石油確保を含む戦略的基盤として、帝国主義はアジアに照準を定めている。米国のイラクに対する戦争の脅威は、湾岸戦争・アフガン爆撃・パレスチナ占領を目撃している私たちすべてを危険にさらしている。反テロ戦争を名目にした米国の南・東南・東のアジアに対する政治的軍事的干渉は、私たちを各戦争の手前まで追い詰めている。一方、アジア全域を通じて、市民は腐敗した政権のもとで非民主的で残酷な法体系に縛られている。生存・生活・人権などに対する民衆のたたかいを包括的に弾圧しながら腐敗した政権は、テロや安全保障に対する誤った考え方を広めた。これらの動きは、かつてなく凶悪な家父長制度やアジアの女性に対する抑圧を生んでいる。

資本主義と新自由主義の衝撃は、アジアの貧富の格差と環境破壊を生み、輸入や補助金の削減は農業・村落・小規模工業を崩壊の危機にさらしている。世銀、IMF、アジア開発銀行、輸出信用機関、ODAなどの一体となった政策は、意図的かつ慎重に私たち地場の国民経済を侵食している。国際機関と債権国は私たちの国を経済的に従属させるため対外債務を利用している。資本主義と新自由主義的グローバリゼーションは、女性・子供・先住民・少数民族・インフォーマルセクター・移民労働者などに影響し、賃金低下・失業・インフレなどが窮乏化を招き、児童労働や女性・児童の人身売買などの結果につながっている。教育・児童福祉・健康・交通などすべてが民営化され、補助金の削減は貧困層に対する公共サービスと食料の安全保障を否定した。こうした環境下で、攻撃的なファンダメンタリストや不寛容と暴力、抑圧的な国家権力は、総合的な市民権・人権のじゅうりんを引き起こした。したがって私たちは、帝国主義者の支配へ抵抗するため連帯を強め、活動を組織するため民主的で透明なプロセスに多様な運動を受け入れたたかう。私たちは「もう一つの世界が可能だ」ということにとどまらず「もう一つの世界が必要だ!」と訴える。平等・社会的公正・人権・社会主義に基づくオルタナティブに対する私たちの確信をここに断言する。

とりわけ以下の分野のキャンペーンと闘争を前に進める;

*帝国主義に抵抗しよう−米国のイラクに対する戦争に抵抗する共通の行動日を設定する。

*新自由主義的グローバリゼーションの非民主的構造に抵抗しよう−とりわけカンクンでのWTO閣僚会議を止めさせよう。

*民主主義・非宗教の価値観、民衆の安全を守ろう

*宗教的ファンダメンタリズム、集団的・民族的・カースト・性差別の暴力に反対しよう

*民衆の労働・エネルギー・食料・水・土地・自然資源・教育・健康・交通に対する権利を主張しよう

*民営化・過剰な投資・労働権に対する攻撃に反対しよう

*外国資本依存の開発を改め国内資源を動員し持続可能で平等な民主主義経済と民衆の生活に依拠した開発を支援しよう。途上国債務の無条件帳消しを要求しよう

 



銃を捨てろ!

Drop your gat!

スーザン・ジョージ(ATTACフランス副代表)

 

EU通商コミッショナーのパスカル・ラミー氏は、神経質そうな顔に眼鏡をかけ、げっそりと痩せていて、どう見ても30年代のギャング映画に出てくる悪者には見えない。それでも彼は、あなたの将来を支配しており、それを多国籍企業に渡すためにあらゆる手段を尽くしている。ラミー氏が悪事を行う手段は、GATS(サービス貿易一般協定)である。

GATS は「連続的な交渉ラウンド」を要求するオープンエンド(終わりのない)の協定であり、より高度の自由化を追求し、今日議題に上らないものは明日討議され、おそらくすべての国のすべてのサービスが標的とされるまで、終わりはない。

 

GATSが包括する大まかな12の分野はビジネス、通信、建設と土木、流通、教育、環境、金融サービス、健康と社会サービス、観光、スポーツ、文化と娯楽、交通、エネルギーを含むその他の分野である。およそ160を数える二次的分野は、郵便から科学調査、建築、出版、ゴミ回収などすべてを含む。GATSに関して話をする機会がある時は、これらのリストを息つかぬ速さで読み上げ、聴衆者にGATSの生活への影響に心配がないか聞くことにしている。

GATSの世界にあって「公共サービス」とは「異星人」のコンセプトである。GATSの唯一の目標は貿易を活発化させることだけだ。その第一条では、政府機関が提供するサービスは合意の対象外とすることがうたわれている。それだけなら評価できるが、さらに以下の条件が続いている;「商業的基盤がないか、サービス提供に関して一つあるいはそれ以上の競合企業がないこと」。

最近、郵便切手か、飛行機または電車の切符を買っただろうか?近隣の私立学校や病院に行っただろうか?おそらく北朝鮮かキューバに行けば、商業的基盤のない、ほかの業者と競合しない公共サービスがあるかも知れないが、ほかには全く見当たらない。

第四条−四項は大変危険である。「貿易サービスに不必要な障壁」または「サービスの質を保証する上で負担となるもの」に対して、WTOの紛争解決機関(DRB)を通して政府に法的その他の手段を行使する権限を与え市民生活への干渉を許すものだ。

同条項を受けたGATS作業部会は最近、海上輸送に関して「不適当な環境・安全基準」を標的に上げた。しかし、その三週間後、重油輸送タンカーのプレステージ号が沈没する事故が発生した。補助金は「サービスの貿易にゆがんだ影響を与える」ため削減の対象とすることをGATSは指摘したが、それが政府から保護を受ける国内サービス供給者にどういう意味をもたらすか、当時、予測できた者はいなかった。

WTOのドーハ閣僚会議以来、GATS交渉はさらに加速。秘密を条件にWTO加盟国すべては、相手国に対してサービス分野を対外競争に開放すべく要求した。昨年6月30日までに「要求」の提出を締め切った後、相手国によるその回答である「オファー」は今年3月30日まで交渉が続き、外国企業に開放することを決めたサービス分野はすべての外国サービス提供業者にオープンしなくてはならない。

我々が得ている情報では、EUは29の主要相手国に対して、とりわけ郵便事業と環境・エネルギー・輸送・科学調査の各分野をヨーロッパのサービス提供御者のために開放するよう要求している。

EUがヨーロッパの名において、どのサービスを売りに出し、貧困な途上国からどの分野の開放を要求しているかは不明である。

ラミー・コミッショナーは、交渉事項の非公開は「伝統」であると応じている。しかしいくつかの社会では、女性に投石し、犯罪者を感電死させ、少女に拷問を加えることが伝統となっている。しかし「伝統」だからといってこれらの行為が正しいということにはならない。

 

12月11日は、ヨーロッパ全土でGATS交渉の透明化を求めるデモが持たれた。英国ではGATSに関する豊富な情報を提供している。http://www.wdm.org.uk/を参照されたい。

 



ただ乗りの秘訣:特権はどのように保護されているのか

The Free Rider Principle: how privilege is subsidised

By Jamie Morgan

 

西側では、著名人へのカルト的な信仰と、犠牲者を非難する文化がある。私たちは、幻想と特権の世界に住む人々の際立つ消費に驚く一方で、一般に生活する人々を侮辱する傾向にある。最下層で生きることを余儀なくされる人々のわずかな分け前は、「手当」とか「社会福祉」などと表現されるのだ。真の問題は、名声と非難のとりつかれた観念によって誰が利益を得ているかということだ。しかし本当の富と権力の傾向は不明瞭である。ビジネスには顔がないが、私たちには雇用、製品、生活を提供する良い」のものとしてみなすことが強要される。私たちは、どのように社会の阻害要因であるビジネスを補助しているか、知らされない傾向にある。以下の例は、私たちがどのように多国籍企業とビジネスエリートに補助金を与え培養しているかを示すものだ。

 

私たちはどのように多国籍企業に補助金を与えているか

主要監査法人4社は、税金対策のため時間当たりXXのコンサルタント料を請求し、その性格上、実際いくらが免税されたかは明らかにされない。しかしオクスファムによると、途上国は年間約30億ドルの税収を失っている。これは、西側の開発援助額の総額の4分の3に相当する。多国籍企業は時に一貫生産の体制を取る。例えば、英国のコーヒー工場においては、ブラジルのプランテーションを買収し、その結果、価格移転が可能になり、両国において税負担の減少が可能になる。子会社の製品は、税金天国であるケーマン諸島などに設立された名目会社に安く販売され、その結果、生産現地法人の帳簿上の利益は現地税金対策上、低く抑えることが可能となり、その後、名目会社は本社に製品を高値で売却し、そのため本社の利益も低くなり、名目会社に残った利益はケイマン諸島の優遇措置から0かほとんど課税されない。消費者に製品を販売するのは多国籍企業だけではない。工業国のインフラである交通手段、保健医療、教育制度などもサービスを販売し、生産的な労働力の排出を促しているが、多国籍企業は価格移転の税金対策でインフラの改善に貢献していない。あなたが貧しいのは、彼らが貪欲なためであり、社会は改善されたサービスの提供を拒否している。強欲がその正体を隠すためにあなたの生活すべてが侵食される。国家はグローバリゼーションが、高い法人税、脱税への規制、労働権の保護などを促すと主張する一方、企業はグローバルな競争力を維持するため法人税の切り下げ、労働権の緩和(「ビジネスにフレンドリーな政策のため平等なプレイイングフィールド」)を要求し、両者のいくつく先はWTOなどで、あなたに敵対的な結果をもたらす。彼らの低税率は、あなたの高税率を意味し、ビジネスフレンドリーな政策とは、長時間労働と不安定雇用、さらにはストレス、不健康、家庭にいる時間の減少、究極的には社会の機能障害をもたらす。グローバリゼーションを正当化する理論としては、水が滴り落ちるように先進国の利益が貧困国に波及し、途上国が、国際競争市場に身をさらし直接投資を受け入れれば最終的に豊かになるという。しかし価格移転はこの議論をしりぞけ、西側の多国籍企業が世界のインフラ維持に対する貢献を回避していることを示す。

 

特権の実態

 

賃金も労働市場で決まる正当なものであるというのが、新自由主義の経済学である。売上に見合わない賃金の支出は非生産的とみなされ、非生産性は損失であり、合理化されるのは市場の収斂の結果という認識だ。しかし労働市場の頂点には、特権に満ちた別の市場があり、別のルールが適用される。英国で1999年に高値をつけた株式市場は、その後、2002年にはFTSE100で25%の下落を見せ、弱気な市場はあなたを貧しくさせるだろう。しかし投資資金を運用するファンド・マネージャーはどうであろうか?弱気な市場ではベンチマークというシステムが適用され、FTSE の25%下落に対して、ファンドの下落が24%にとどまった場合に、ファンドマネージャーの六桁の報酬は全く影響を受けないのだ。彼の基本賃金は、生産性に全く影響されないのである。市場が下げた2000年に1千人以上のインベストメントバンカーはx百万を超えるボーナスを得ている。2002年はさすがに同様の額を得る者は250人に減少したが、それにしてもその額はどこから来るのだろうか?あなたに代わって取引を代行した手数料からなるものであり、景気後退期にはあなたは彼らに補助金を与えていたことになる。あなたが貧しくなる一方、彼らは失われたあなたの資産から利得を得ている。非生産性から彼らの賃金が0になるということはない。単にボーナスが減少するだけである。労働市場の二極分解についてエコノミストのガルブレイスは言った;貧乏人をもっと働かせたかったら賃金を少なくし絶望によって動機づけ、金持ちをもっと働かせたかったら賃金をさらに与え強欲によって動機づけせよ。

 

経営破たんに際してエンロンは、従業員に対してわずかな貯金から自社株購入を促していたため、手当ての支給を拒否した。2001年11月、倒産を申請する直前に同社幹部は、すでに経営破たんが明らかになっていた同社資産から自らのボーナスに5500万ドルを得ている。

 

価格上昇分を調整した70年から99年の間に、米国の給与所得者の平均年収は32,522ドルから35,864ドルにわずか10%の上昇を示した。一方、同期間中に上位100人の経営最高責任者の年俸は130万ドルから3750万ドルへ急騰している。新自由主義の名の下に正当化される労働市場で、いま米国のCEOは平均労働者の1046倍の生産性があることになる。CEOの収入の伸びが平均労働者の伸びよりも大きいということは、平均労働者が、成功した企業では経営破たんした企業とは別の方法でCEOに補助金を与えていることになる。

 

ジェネラルエレクトリック(GE)の前CEOJack Welch 氏の場合、彼に対する補助金は仕事に対するものだけでないことがわかる。引退前最後の年である2000年に株式オプションを含めて彼が得た報酬は1億2300万ドルである。GEは、彼のニューヨークのアパートのため月8万ドル、会社専用機に月291,869ドル、そのほかリムジンサービス、オペラ・ウィンブルドン・野球・バスケット観戦の特別席にお金を支払ってきたのだ。

 

ただ乗りの原理

 

新自由主義経済のイデオロギーは補助金の考え方に敵対的である。多数に対する少数の利益を永久化するとして、国際貿易において補助金は保護主義の一貫としてみなされる。農業に競争がないのは食品価格の高騰を招き消費者多数の利益に反するというが、奇妙なことに、本当に強力な部門が補助されていることには同様の議論を避けている。自分のシェアを支払わずに他人の支出で利得を得ていることをただ乗りの原理という。この原理は 新自由主義の経済学ではなく、公共サービスの分野で適用されてきた。熟練した労働力が存在すれば、再生産のためのコストをかけず使い尽くすことを望む傾向があるだろう。国家は、政治経済学の正義と私たちが望む社会に対して責任を取ることをはじめなくてはならない。

 



米国企業のすべての取締役が、わずか数人を介してつながっている

America's corporate boards separated by just four handshakes

By Bernie DeGroat. News Service U Michigan.

 

ビジネススクールのリサーチャーは、米国各企業の取締役会のネットワークも幾人かの握手を経てすべてつながっており、いまハリウッド映画に関してはやっている「ケビン・ベーコンまで何作品?」の遊びと同じであると指摘した。

『フォーチュン』誌掲載一千社の取締役約7700人を対象に調査した結果、取締役各氏は平均4.6人の仲介人を介して他のすべての取締役とつながり、したがって同様に各社取締役会は、3.7人を介して他のすべての取締役とつながっていることが明らかとなった。

ビジネススクールのジェラルドF.デービス教授は、「私たちの調査結果は、企業経済の頂点は、お互い知り合っているか共通の知人を共有する極めて影響力のある人間たちのグループで形成されていることが明らかとなった」と表明。また「ブッシュ政権の閣僚メンバーが、アロカ、ハリバートン、リーダーズダイジェストなど主要企業の取締役会を経た人物で占められるのは、影響力のあるコネクションが決定力のある機関で作用することの証明である」と説明した。

同教授とビジネススクールのWayne E. Baker Mina Yoo氏は、企業エリートの周辺は、各取締役会がほかの取締役会にも名を連れる一人以上の兼任の取締役を通じて相互に知合っている連結したネットワークであることを明らかにした。

それぞれの取締役は、年間あるいは月間のうち数回直接会う関係で、情報が急速に行き交う入り組んだ情報網を形成していることを明らかにした。

しかしビジネス界に限らず、同窓会、市民組織、カントリークラブなどでも同様の傾向にあるという。

ただし企業幹部会が行使する影響力は、コーポレートガバナンス、情報公開や株主の権利など頭抜けて高次元の政策に反映しているのだ。

コーポレートアメリカを経営するエリートの小さな世界では、新たなアイディア、共通認識、うわさなどが、お腹にくる風邪のように速く伝染するという。積極的な面は、取締役会や取締役年金の廃止などを短期に相互に話し合うことができるが、否定的な面は、株主が嫌う企業買収防衛策なども相互に伝わりやすいこと。「企業取締役会や取締役の小さな世界が、共通の世界認識や企業行動の本質的な同質性を形成しているかどうか、私たちは議論する立場にないが、

情報や考えが相互に高度に伝達しあう状態にあることに違いはない」と調査員は語った。

 



対外債務と市民の権利

Foreign Debt and Civil Rights

By Mart Lozada

 

対外債務と市民の権利に関する国際セミナーがオランダ・アムステルダムで開催され、法律に関する文化的背景が異なる種々の地域から専門家が集まった。セミナーでは対外債務の問題がさまざまな角度から-国際法の観点から、また国内法の観点から-検討された

参加者の幾人かは、対外債務問題に無効な法的行為としての定義を当てはめた。とりわけ債務の契約が、その国の憲法に違反して借入政府の権利をじゅうりんしている場合など、無効な法的行為の対象となった。

国際司法上の視野でみると、ウィーン条約において不正や腐敗を通じた契約は、無効である。国家の代表に対してこうした契約が強制された場合も同様である。

南米の場合では、国際金融機関や私営金融グループが既成政府との間に多くの法的関係を成約させ、憲法上の前例をじゅうりんし対外債務を課していった。

国際法の視点から、これらの場合は国際金融経済の分野において司法上無効とみなし得るものだ。

法学者のHugo Ruiz Dz Balbuena氏は、債務を抱える背景にはこれらが実際には強制である事実が隠されていると指摘した。これは明らかな国際法上の違反であり、したがって合法性に欠けるクーデターで成立した政権は、自国の財務資源を危機にさらす危険が強い。

 

法学者はさらにかつてのナポレオン政府の債務に対するパリ裁判所の判例を紹介した。債権者の責任を明らかにした1847年の判決は、「無法な政府との間で不正や腐敗を行う意志がある場合、すべての国に共通な公共の権利からこの契約は本質的に無効である」と看破した。

この判決から類推できることは、独裁または無法な政権にローンを供与する場合は、債権者は自身のリスクですべての責任を背負わなければならない。その結果、貸し手はこの種の政府から返済を正当化するいかなる法的根拠も持ちえない。

したがって証明する側の責任はこの場合に逆転されなければならない。すなわち債権者の側が、契約は合法政府との間で締結されたことを証明し、さらに独裁政権にローンを供与した債権者は、不正と腐敗に絡む行為を行ったとみなされることが可能であり、刑事上を含めた責任が問われるものだ。

http://www.ceji-iocj.org/English/articles/ArgentinaCourtDebt(Ag00).ht

すなわち国際金融機関や私的グループが支援を行った当時、アルゼンチン政府は深刻で全面的な人権のじゅうりんを行ったのである。

1976〜83年にかけたアルゼンチンの独裁政権は、その実績をつくっている。

司法上からこうした政府に対する債務契約は無効であり、国際金融機関およびその経営者の直接の責任に関わる問題である。