土砂流出によるサンゴへの影響

JALはサンゴの0.4%のみ影響を受けたとして環境破壊は軽微であったと主張しています。
以下は、ハワイ州水資源課のウイリアム.ウォルシュ博士による公式な調査報告です。これによると2回目の土砂流出から約3週間後の州政府の調査ではサンゴの死滅率は5.5%になっています。さらに報告書はサンゴ群はこれからもストレス下の置かれ、さらに死滅する恐れがあると述べています。


公式調査報告の結論 (翻訳)

1) 2000年9月と11月の大雨によってホクリア開発地からかつてない規模の土砂流出が起こり、近隣の海とサンゴ礁生態系に堆積しました。このような土砂流出はこの附近の海岸線ではこの開発地域だけであり、この海域で20年間仕事をしているダイバー業者もこのようなひどい流出は初めてと証言しています。

2) 9月の土砂流出事件の後まもまく開発地の南端の洞くつ内でのサンゴへの堆積調査が行われました。継続的調査地点としてこの洞くつが選ばれましたが、この時点では土砂流出の影響がここだけかどうか不明でした。しかしダイバー達は他の地点(カルカルベイ:洞くつから0.6マイル北)でも20ー50フィートの深さで相当堆積していることを観察しています。
 この洞くつでの予備調査では深いところで3インチの厚さの堆積層が広範囲に観測されました。その後数カ月間でこの表面の堆積層は打ち寄せる波の影響で分散したようです。しかし詳しい調査の結果、堆積物は砂の下にもあり、またサンゴ礁の中や下にもあることが判明しました。洞くつ内の北と南側にある海中のラバチューブ(溶岩洞くつ)にも多量の堆積物が観測されています。
 さらに深い海中のサンゴと石灰質海藻類の表面にも細かい堆積が明らかに観測されています。この海中での透明度は波が高く荒くなると低下しました。したがって9月の土砂流出事件から最近の調査(2000年12月7日)まで洞くつ内のサンゴ礁地域に相当量の堆積があったことが明らかになっています。

3) 土砂流出のよる堆積が直接起因する現在のサンゴ死滅率は洞くつのもっとも深いところで最大でした。これらの場所では現存するサンゴの死滅も起こりますが、その死因はあきらかでなく自然のさまざまな要因と考えられます。この区域の海中での分析調査では平均してサンゴの5.5%が堆積によって死滅していました。土砂流出による直接的な死滅数は少ないと考えられますが、それでもそれは明らかであり計測可能です。サンゴ礁にとって堆積は致命的な環境的脅威なのです。
 世界中のサンゴ礁が危機的状況にあり、それに加えて増大する人間活動による影響も考えると、ホクリアの土砂流出を軽視することはできないし起してはならないことです。嵐のような自然災害論をもちだしてこの問題を矮小化することは問題の歪曲です。同様な議論が人類の汚染や種の絶滅問題にも適用されました。それらがどのような結論を導くか自明です。

4) 特に海中の溶岩洞くつ附近で漂泊しすでに死んでいると思われる石灰質海藻類が観察されました。土砂流出前のデータが存在しないので他の海洋生物への直接的影響を評価することは困難です。自由に不快な環境から逃れられる魚類や大型無脊椎動物のような能動生物と違って、海底生物への影響は大きいと考えられます。特に、溶岩洞くつに居住する生物がもっとも影響を受けたと思われます。
 残念ながらこのような生物への影響評価のためのデータが今の時点ではありません。しかし、ホクリアでの土砂流出による影響がいまだにあることが明らかになってきています。フィラメント状海藻類の発生と生存しているサンゴと石灰質海藻類上への堆積がこのことを示しています。この地域に生息している健康なサンゴや石灰質海藻類にこのようなことは起きません。この地域はいまだに土砂流出による影響が引き続いているためよりさらに広範囲のサンゴ礁への影響が懸念されます。


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最終更新 2001/04/30