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JAL社長への公開書簡
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日本航空株式会社 代表取締役 兼子 勲様
                 ハーモニクスライフセンター きくちゆみ

 突然の書簡にて失礼いたします。差し迫った案件ですので、早速本題に入らせ ていただきますことをお許し下さい。
 もしもあなたの祖先のお墓がブルドーザーで壊され、その上にアメリカの航空 会社がゴルフ場を造成したらどのようにお感じになるか、想像されてください。 果たしてそのような開発が日本で許されるとお思いでしょうか。恐らく許されな いでしょうし、仮にそのような開発が日本で行われたら、当然国際問題に発展す るでしょう。貴社の出資されている「オーシャンサイド1250パートナーズ」 がハワイ島で建設中の「ホクリア開発」は、現地でまさにそのようなことをなさ っておられるのを、ご存知でしょうか。それだけではありません。その造成工事 の結果、世界で最も美しい海域に他から持ち運び込まれた土砂が流出し、珊瑚礁 がその土砂に埋まり、海洋生態系にダメージを与えています。一度流出した土砂 を元に戻すのは至難の業です。また、このことは米国法「クリーン・ウォータ ー・アクト」に抵触しています。
 私は長年地球環境問題に取り組む中で、人と自然が調和して生きることを模索 し続けて参りました。ゴルフ場という限られた方々のレジャー施設のために、地 球上の多くの地域で環境や伝統的生活が破壊され、貧富の差が拡大し、社会的な 問題になっているのを見てきました。日本を代表する企業の日本航空が、手つか ずの貴重な自然が残るハワイ島で、環境との調和が希求される現在でもこのよう な開発に関わっておられることを、日本人として誠に遺憾に思う次第です。
 ゴルフ場は大量の水と農薬と化学肥料を使います。水はハワイ島の人々にとっ て貴重な資源であり、いのちの源です。イルカやクジラの生息地として有名なケ アラケクア湾と周辺海域が、有毒物質によって汚染されることも心配です。その 上、開発地はハワイ先住民の埋葬地でアラ・ロア街道を始めとする重要遺跡もあ り、貴社は事前調査を専門家ではなく人材派遣会社を通じて素人のアルバイトを 雇って行ったために、すでに造成工事中にブルドーザーで遺骨を破壊したり、掘 り出してしまう不始末も発生しています。
 高級ゴルフリゾートがもてはやされる時代は、もう終りました。世界の潮流は 自然を破壊して作られた人工空間ではなく、この地球上で減少の一途を辿ってい る本物の大自然を求めています。賢明な経営者の方々は、もうとっくにそのこと には気が付いておられることでしょう。21世紀は、貴重な伝統文化や自然を守 り育む器として、企業の存在価値が問われる時代なのではないでしょうか。
 ハワイ先住民にとって、遺骨を動かすことは先祖の魂が大自然に戻れなくな り、その子孫にとっても魂が失われてしまうことを意味します。こうしたハワイ 先住民文化を踏みにじるように強行されていく工事を危惧したハワイ先住民を代 表し、4名の方が3月22日から27日まで来日します。彼らは兼子社長に会 い、話し合うことを希望しております。どうか万難を排してお時間をお作り下さ り、彼らの生の声をお聞き届け下さいますようお願い申し上げます。貴社の武田 氏を通じて3月26日午後1時に貴社に伺うお約束になっております。
 私たちは日本を代表する企業の最高責任者である兼子様が、この件に関し大き く歩み寄られ、次のように勇気あるご英断を下されることを念じてやみません。

  1. ハワイ先住民に謝罪する
  2. 即刻工事を中止しハワイ先住民が祖先の魂に対して正式な儀式を行えるよ うにする
  3. 遺骨を元の場所に戻す
  4. この土地を「ハワイ先住民歴史文化保護区(Native Hawaiians' Historical&Cultural Sanctuary)」として寄贈し、ハワイ先住民がいつでも儀 式や伝統的生活を続けられ、人類が大自然と共に生きる彼らの文化から学べる場 とする

「ホクリア開発」を根本的に見直されることは、事業を開始される以上に困難で はありましょうが、その偉業は新世紀の企業のあり方として、世界中の手本とな るでしょう。

この文書への回答は、賛同個人、団体、報道関係者に公開しますので、前記住 所宛、または電子メールでyumik@awa.or.jpにお送り下さい。

2001年3月21日


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最終更新 2001/04/30