東京・水道橋にあるトヨタ東京本社前での集会は6月21日午後2時から始まりました。90名以上の労働者が結集しました。その多くが全造船関東地協と神奈川シティユニオンの1日行動の仲間たちでした。集会は、主催者の挨拶、この間の経過報告、申し入れ書の読み上げの後、交渉団7名が会社内に入り交渉に臨みました。
前回、トヨタ自動車フィリピン労働者組合(TMPCWA)委員長のエド・クベロさんとの申し入れから二ヶ月が過ぎました。フィリピンでは相変わらず組合敵視の労務管理が続いています。それどころか合法的に抗議行動を続けていた組合員に対して、散弾銃を持った多数の警備員が襲いかかり、おおくの仲間が負傷しました。(5月29日付TMPCWAからの通信参照)
係争中の仮処分で6月24日までは組合活動ができないTMPCWAを国際的に励まそうと、今回の抗議行動が取り組まれました。会社側は組合側に対して「ゼッケン・腕章を外さない限りは交渉に応じない」と本社入り口で恫喝しましたが、組合は抗議して誠意ある回答をするのであれば、トヨタの要求に応じると言明して、一応代表団の半数が腕章を外して、その他の者はそのままで本社内に強引に入りました。トヨタ側は前回と同じ、東京総務部企画サービス室の澤田猛係長他1名が応対。開口一番、4月23日の前回の交渉以降のトヨタの不誠実な対応にこちら側は抗議して、今回の「申し入れ書」を手渡しました。申し入れ内容を読み上げ、交渉団からの若干の補足・抗議・要請を行ないました。
トヨタの反応は前回同様で、「現地で解決に向けて努力しているので、その推移を見守りたい」との一点張りで、具体的なトヨタ本社としての解決に向けての取り組みおよびその回答は「総務としては答えられない」との態度で始終。事態の泥沼化に本社としての責任を果たすよう要求するが、「現地で努力しているはずだ。アジア部には伝えてあるので、事態をよく理解しているはずだ」との返事だけ。直接の担当部署である、「アジア部」の責任者をこの場に参加させよ!」との我々の強い要求に対しては、「お断りします。私たちにはその権限がありません。」との回答のみで、後は暖簾に腕押し状態。締めくくりとして、交渉団の一員で滞日フィリピン人労働者を代表してレニー・トレンチーノさん(カトリック横浜教区滞日外国人と連帯する会スタッフ)が、「フィリピントヨタの解雇された労働者の家族からの訴えで、一応給料はもらえているが手当てが一切無いので、その低い給料だけでは、家族全員の生活は維持できず、困窮状態になっている。子どもたちは学校にも行けなくなっていると訴えて来ている」と現状を訴えました。
トヨタ側総務の反応はやはりその発言を無視した状態で、彼等には会社から何らの権限も与えられず、単なる「使い走り」の役割で我々に応対しただけでした。トヨタの姿勢、狙いがフィリピン同様に日本でも労働組合を一切認めず、ただ組合を潰すことだけを考えていることが、かれらの行動から直接窺い知れました。
最後に、6月30日の指定回答日に誠意ある回答をするように再度、申し入れを行い交渉を終えました。交渉のあいだ、トヨタ本社前で抗議集会を継続。神奈川県央ユニオン、全造船関東地協の各分会などから連帯のあいさつが続きました。今回の結集した労働者の中には、日本で働くフィリピン人労働者たち10名も。彼ら/彼女らはいずれも神奈川シテイユニオンの組合員です。集会ではフィリピンの闘争歌も歌われました。その他、アジア、中南米の労働者たちも参集しました。神奈川シティユニオンの村山さんから、今後恒常的な支援組織の必要性が訴えられました。
(APWSL日本委員会 稲垣)
熱烈な挨拶を送ります!組合に関する近況をお知らせします。
5月28日に私たちはトヨタのビクタン・サンタロサ両工場の門前で同時的に平和的なピケ抗議行動を行ないました。これは227名の給料が支払われている組合員たちの職場復帰と労働協約締結のための交渉をもとめての物理的な抗議行動でした。
しかし、残念ながら両ピケとも会社側のガードマンたちと警官隊によって強制的に蹴散らされてしまいました。午後2時15分ごろ、ビクタン工場での会社による再度のピケ粉砕攻撃は、10人の組合員のほとんどが負傷すると言う残忍な結果を生じました。私たちは、トヨタのガードマンたちの堅い木の警棒によってさんざん殴りつけられ、空中にはショットガンが発砲されました。1人の組合員は彼の頭をひどく打たれ、彼の体も数箇所打たれてちょっとした手術が必要で、更には、怪我の更なる観察が必要です。
私たちは国際労働機関(ILO)へこの事件に関する告訴をしたいと考えていますが、私たちはその方法とやり方を知りません。皆さんは、この問題で私たちを助けて戴けますでしょうか?
私たちはまた、他の前進的な労組たちと友誼団体に支えられた怒りの抗議集会を計画しました。今日、私たちはストライキの予告を政府へ通知しました。その根拠は会社による不公平な労働慣行(大量の有期雇用契約)、不当解雇と停職処分、いやがらせと差別(未払い手当て)等です。そのうちに、私たちが計画したストライキを実行します。あなたがたは、日本のトヨタ本社前で貴方方が抗議行動を行なうことに関して私たちの承認を尋ねていました。私たちの答えは肯定です。あなたがたが望む抗議行動を行って下さい。
私たちは、また地域のレベル(アジア太平洋)で「トヨタ製品ボイコット」運動をしたいと考えています。あなたがたは、これについてどのように考えますか?私たちからの質問とあなたがたの計画する抗議行動に関して私たちにあなた方の答えを送ってください。再び、あなた方の持続的な支援全てに対して私たちのこころからの感謝をあなた方に伝えたいです!連帯に内に
(TMPCWA)
(5/29付け記事)
パラニャーケ市
二十八日午後、労働争議の続くトヨタ自動車の現地法人「フィリピン・トヨタ」(福田 健社長、従業員千五百人)のパラニャーケ市ビクータン工場で同社労組(TMPCWA)組合員と警備員が衝突、少なくとも組合員七人、警備員三人が負傷した。同社の福田社長は「関係者から衝突があったことは聞いたが、詳しい事実関係を現在確認中」と話している。
労組側によると、同日午前九時十五分ごろ、給料を受け取りに来た組合員約百人が同工場の警備員約二十人に敷地外へ押し返されため、抗議行動を開始。同午後二時十五分ごろ、排除に出た警備員が散弾銃を空に向かって六発発砲、投石などで抵抗する組合員と衝突した。組合員一人は警備員五人に囲まれ、全身約十カ所以上を警棒で殴られ流血するなど、計七人が負傷して同市内の病院に運ばれた。警備員も投石などで三人がけがした。労組側は「従業員の出入りや部品搬入に対する妨害活動はしていない。平和的に抗議行動をしていただけ」と経営側を刑事告訴も辞さない構え。
同社労組は、組合員の解雇に抗議して三月二十八日からパラニャーケ市ビクータン、ラグナ州サンタロサの二工場でピケを張るなどの抗議行動を実施、四月十五日まで同社は一部生産がストップした。 労働雇用省の調停で生産が再開した後、同社労組はトヨタ自動車東京本社に解雇された組合員の職場復帰などを求めて申し入れを行った。しかし、本社からの回答は無く工場前での抗議行動を再開していた。
(5/30付け記事)
トヨタ工場衝突事件
労働争議の続くトヨタ自動車の現地法人「フィリピン・トヨタ」(福田健社長、従業員千五百人)の工場前で二十八日午後、同社労組(TMPCWA)組合員と警備員が衝突した事件で同社は二十九日、「暴徒化した組合員が警備員を襲ったため排除した」と声明を発表、労組側を非難した。
声明によると、パラニャーケ市ビクータン工場の正門前で二十八日午後二時ごろ、組合員約百人が従業員の出入りや部品搬入を妨害するなどの違法な抗議行動をしたため警備員が中止させようとした。しかし、組合員は警備員の警棒を奪い取ろうとした上、投石するなど暴徒化し、警備員三人が負傷した。このため、警備員約二十人が組合員を排除しようとした際、組合員約七人が警棒で殴られ負傷した──という。
同社は「労働雇用省が、同省の仲裁期間中、労使双方に敵対行動を行わないよう命じたにもかかわらず、労組は抗議行動を再開している」と話している。 一方、労組側は、「会社側が給料を受け取りに来た組合員を敷地外に押し出したので平和的に抗議行動をした。組合員は投石などをしていない」と会社側の発表内容を否定している。