インドネシアから 2005年3月 |
吉田稔一(全造船関東地協反戦プロジェクト)
ブリジストンタイヤ・インドネシアによって四名の労働組合幹部が解雇されている。彼等は日本の労働者にたいし、ブリジストン・日本本社とインドネシアへの「抗議・要請の手紙(FAX)」を呼びかけている。解雇されたのは、首都ジャカルタに隣接したブカシ工場二千名の組合の委員長と書記長、同カラワン工場千名の組合の委員長、ジャカルタ本社の委員長である。解雇理由は賃上げをめぐる残業拒否闘争を指導したことで、彼等は金銭解決を拒否し、職場復帰を要求している。
現在この4人とブリジストンタイヤ・インドネシア労組は高等裁判所で裁判闘争を行い、またILOと日本外務省:ナションルコンタクトポイント(NCP)へ「OECD多国籍企業ガイドライン違反」で提訴している。しかし、日本本社から海と国境で隔てられて、インドネシアでの多国籍企業ブリジストンとの闘いは困難な状態にあり、局面の打開のためには日本の労働者の連帯行動が不可欠となっている。
そして資本がグローバルに展開して生産が東アジアへ大きく移動し、日本の労働者の労働条件が急速に切り下げられ、働く者の権利が奪われている今、私達には、日本の労働者の権利を守り劣悪な労働条件を改善するためにも、海と国境を隔てた東アジアの労働者と結びつく能力が不可欠になってきている。
この国際的な労働者の結びつきを強化していくためにも、この彼等の闘いを勝利に結びつけるためにも、ブリジストンタイヤ・インドネシア労組への支援を!
私たちは化学・エネルギー・鉱山労働組合SPSIのブリヂストン・タイヤ・インドネシア支部の四人の役員で、2002年5月23日に同社社長の河野久に突然、解雇に向け停職処分されました。四人の役職は次のとおりです。
Sarno H ブカシ工場 分会長
HazrialNazar カラワン工場 分会長
JuliSetioRaharjo ジャカルタ本社 分会長
MachmudPermana ブカシ工場 分会書記長
左から Sarno Hさん、Machmud Permanaさん、Juli Setio Raharjoさん
2002年3月4日から27日まで賃金引上げ交渉が行われたが、合意に達せず、労働省ブカシ事務所とバンドンの地方労働紛争調停委員会に仲裁を申請することに労使が合意しました。
3月27日にブカシ工場カラワン工場ジャカルタ本社の組合役員が会合し、全労働者宛てに残業拒否を支持する指令を出すことに合意しました。その目的は会社の人件費削減策に協力するためです。なぜなら残業代が人件費全体の40%から50%を占めており、これを減らせば25%の賃金引上げという組合要求も可能になるからです。
4月26日バンドンの地方労働紛争調停委員会の26.59%賃金引き上げ提案を労使双方が受け入れました。
ところが、5月23日何の事前交渉もなしに四人の組合役員に対し解雇決定まで停職にするという通告を行いました。この他にも以下のような団結権交渉権否認を行ってきています。
a ブリヂストン・タイヤ・インドネシア株式会社は団結権を保障した労働組合法28条違反で追されています。河野久社長は検察に召喚されているが、2003年2月12日に任期を終え日本に帰国してしまっています。労働監督長官は警察の捜査部門に対して本人をインドネシアに来させるよう要請すると言っています。
b 中央労働紛争調停委員会が四人の解雇を認める決定をしたことに対して行政高等裁判所に対して提訴して解雇撤回を求めています。この件に関するILO2236号事件勧告をインドネシア政府は無視しており、ILO会員国としての義務を果たしていません。
a 2002年11月25日に化学エネルギー鉱山労働組合執行委員会は不当労働行為でILO結社の自由委員会に正式に提訴し2236号事件として受理されました。2003年6月に結社の自由委員会の勧告を受け取りました。(さらに2004年11月25日に第2回勧告を受け取りました。別紙参照)
b 2004年9月6日、日本の外務省に対してOECD多国籍企業ガイドライン違反でブリヂストン・タイヤ・インドネシア株式会社を訴えました。さらにこのことをTUAC−OECDとICFTUに情報提供しました。
労働者としての権利、労働組合の権利を守る私たちの闘いを支援してくださるように要請いたします。以下の内容の支援をお願いします。
1 ブリヂストン本社の渡辺惠夫社長への抗議
宛先 東京都中央区京橋1-10-103-3567-0111
FAX 03-3563-6709a 4人の組合役員の解雇を撤回し賃金をバックペイするようブリヂストン・タイヤ・インドネシア株式会社(吉野イクオ社長)に直ちに命令すること。
b ブリヂストン・タイヤ・インドネシア株式会社の元社長河野久を日本からインドネシアに戻し、ジャカルタの検察庁での司法手続きを継続させること。
c 世界中のブリヂストンの子会社で反組合差別が行われないよう保証すること。
2 ブリヂストン・タイヤ・インドネシア株式会社の吉野イクオ社長への抗議
宛先 Nusantara Building 18th floor,Jalan MH Thamrin No.59,JakartaPusat, Indonesia
Fax 62-21-336345a 4人の組合役員の解雇を撤回し賃金をバックペイすること。
b ブリヂストン・タイヤ・インドネシア株式会社の元社長河野久を日本からインドネシアに戻し、ジャカルタの検察庁での司法手続きを継続するよう即時に呼びかけること。
c ブカシ工場、カラワン工場、ジャカルタ本社の3200人の労働者に対して反組合差別が二度と行われないよう保証すること。
以上が日本の全労働者への支援要請です。私たちの事件に対すると皆さんの注目、連帯と協力に感謝します。
日本の全ての労働者がんばれ、連帯は永遠だ!
化学・エネルギー・鉱山労働組合 ブリヂストン・タイヤ・インドネシア支部
Sarno H ブカシ工場 分会長
HazrialNazar カラワン工場 分会長
JuliSetioRaharjo ジャカルタ本社 分会長
MachmudPermana ブカシ工場 分会書記長
<関連資料>
ブリヂストンタイヤ・インドネシア 残業拒否闘争に組合トップ四名の解雇!
吉田稔一(全造船労組関東地協) 争議の経過と背景説明ILO結社の自由委員会報告 (2004年11月25日)