APWSL総会

1998.11.6-10 コロンボ)

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APWSL(アジア太平洋労働者連帯会議)の総会が11月6日から11日まで、スリランカのコロンボ近郊のラトマラナで開催された。 APWSL総会は3年に1回開催され、活動報告、活動方針、財政・人事のほか、主催国の労働現場の訪問と交流、カルチャー・イベントなどのプログラムが用意される。 今回の総会では、第1日目(11月6日)にキャンディーの紅茶プランテーションの訪問と交流が計画され、第3日目(同8日)にはカトナヤケ輸出加工区の20周年にあたっての「カトナヤケ−−20年間の真実」と題する展覧会と文化祭に参加した。

総会では、スリランカの労働運動の現状についての報告と、アジア経済危機の労働者に対する影響についての報告、調整委員のロバート・リードさんによる活動報告、APWSL各国委員会の活動報告を中心に活発な論議が行われた。

今回の総会は、この3年間における活動の広がり、各国委員会の活動の確立・強化、女性の参加における前進、インターネットを活用した連絡体制の飛躍的強化などの成果を反映した。今回の総会のもう1つの焦点は、調整委員(専従)の選出だった。前回の総会で調整委員の男女交替制が決定され、今回の総会で初めて女性調整委員が選出されることになった。パキスタンのWWO(女性労働者組織)の代表のルビナ・ジャミルさんが立候補し、無投票で選出された。議長(男女各1名)には、ロバート・リードさんと、フィリピンのエリザベス・ロンボスさん(「キリスト教労働者組織」の書記長)が選出された。エリザベスさんはカビテの輸出加工区にある矢崎総業の子会社の労働者で、日本に来たこともある。東アジア・サブ地域調整員には韓国・全国労働運動団体協議会(労運協)のリー・スン・クゥンさん(女性)が選出された。
 

スリランカ総会のスナップ写真

(写真をクリックすると拡大写真と説明を見ることができます)

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参加国組織

 

参加:南アジア(インド、パキスタン、バングラデシュ、ネパール、スリランカ)、東南アジア(フィリピン、タイ、マレーシア)、東アジア(韓国、台湾、香港、日本)、太平洋(オーストラリア、NZ)、14カ国。インドネシアは新しい労働組合センターの総会と重なったため出席できず。台湾は労工教育情報センターから1名だけ。    

会議の日程

第1日(11/6)

エクスポージャー(キャンディーの紅茶プランテーション)

 

第2日(11/7)

開会セレモニー

報告1:「労働者の権利:新しい挑戦」/ジャヤラトナ・マリヤゴダ(一般・サービス労組委員長)・・・多国籍企業の労働者の権利への影響、スリランカのプランテーションにおける労働組合の活動、スリランカの労働組合運動の特徴・・・政党による支配、政党からの独立と新しい統一に向けて

 

報告2:「アジアの危機」/ウパーリ・マジェデラガマジェ(ACFOD)・・・アジア各国の状況、危機の原因、各国の労働者の状況(レイオフ、失業)、提言:草の根の組織化、草の根の国際連帯、ローカル・レベルの連合、グローバル化の監視、メディアの活用、オルタナティブな発展モデル、「アクション・リサーチ」

Q&A、各国からのコメント・・・民営化、工場移転・閉鎖、社会保障・医療・教育への影響等の具体的な状況の報告

まとめ:ACFODの「アクション・リサーチ」に協力する:情報の交換・流布、連帯行動・政策変更への圧力、オルタナティブな発展モデル、分析

 

報告3:「輸出加工区に関する調査の報告」(韓国、フィリピン、インドネシア、メキシコ)/アナ・エンリケス(香港・AMRC)

Q&A、討論:フィリピンの代表からの「輸出加工区に反対するのか」という質問をめぐって、「投資には反対しない、規制が必要」、「輸出加工区に反対。貧しい国のためにならない」等の意見が出た。組合活動が禁止されており組織化がむずかしい、地域コミュニティーとの接触を通じて組織化することが重要等の報告があった。

 

第3日(11/8)

カトナヤカ輸出加工区20周年にあたっての労働者集会、展示会、文化祭に参加

*別稿(RJ12/15号掲載予定)

 

第4日(11/9)
 

コーディネーター報告

*「リンクス」25号に掲載予定

・APWSLは、労働組合の連合に重点を置く傾向と、労働者の交流に重点を置く傾向の間の”妥協”、”バランス”をはかってきた

・活動報告では、前回総会で確認した4つのテーマ(多国籍企業に対する闘い、未組織の組織化、女性労働者の声を反映させる、労働者の権利)に沿ってまとめているが、これらのテーマを意識的に追求したというよりも、結果としてそうなっている。

・8つの中心的な活動について:eメールによる通信体制の確立、交流については目的がはっきりしていない面がある、香港をベースとするグループとの連絡上の困難があった

 
 

evaluation(評価)

よかった点:各国委員会の活動の強化、通信体制の強化、女性の参加、韓国ゼネスト・オーストラリアMUAへの連帯行動、交流・・・

改善すべき点:「階級的労働組合の国際会議」(94年カトマンズ)のフォローアップが不十分、「衣料労働者新聞」が実現していない、「男性組合員に対するジェンダー問題の教育」が行われていない、より効果的な交流プログラムを計画するべき、戦略をめぐる意見の交換が必要・・・

 
 

人事

調整委員ルビナ(パキスタン)、無投票

  • コンビーナー
  • 男性 [日本委員会から山崎さんを推薦する声明の一部を読み上げたが、討論なし(質問も受け付けず)、ただちに投票]
    ロバート 17票、山崎 4票、棄権 3票(計24票)

    女性:エリザベス(フィリピン)、無投票

  • ・サブ地域調整委員

  • 南アジア(男):インドから

    太平洋(女):リサ(NZ)

    東アジア(女):リー(韓国)

    東南アジア(男):エンジェル(フィリピン)

  • 夜はカルチャー交流

     

    第5日(11/10)

     
     

    1999/2002年の行動計画

    これまでの行動計画に加えて、以下の3つの新しい課題(テーマ)

  • 1 労働のインフォーマル化(下請け・派遣etc)の中で、未組織の組織化

    2 職場における安全と健康・・・「アジア労災被害者ネットワーク」との協力

    3 グローバル化と労働者

  • 分科会上記の3つのテーマ総会の宣言と行動計画

  • *正式の報告が届いた段階で翻訳・「リンクス」(25号)に掲載これまでの行動計画を引き続き進める。とくに下記のテーマを強調する。

    1. 輸出加工区、とくに女性労働者の組織化
    2. 真の労働組合の連携の強化(カトマンズ会議のフォローアップ)
    3. 労働者の権利、ALARMとの連携
    4. 女性の完全な参加
    5. 多国籍企業の労働者の連帯

  •  
  • この3年間の変化、新しい状況に対応して、下記の新しいプログラムに取り組む

  • 1. エリートたちのグローバル化と闘う。APEC、MAI等に対する闘い。
    2. 労働のインフォーマル化(下請け・派遣etc)に反対。未組織の組織化。INFORMALとの協力
    3. 職場における安全と健康。「アジア労災被害者ネットワーク」との協力
     
  • 補足的提案、要請

  • 1)ILO、WTOの監視2)プランテーション労働者の連帯3)労働組合センターとの連携と活動状況の調査4)オーストラリアの先住民居住地域でのウラン採掘反対

    5)マレーシアにおける弾圧への抗議

    6)パキスタンのバター工場での600人の解雇に抗議

    7)マレーシア、ハリス・アドバンスト・テクノロジー社で、組合の承認を要求して1/21日からストライキに入る。支援を。

    8)韓国、11/8の全国労働者統一行動への連帯決議

     
     

  • 第4日目に行われた各国報告

    南アジア

    スリランカ

    政党間で、民族紛争の平和的解決のための合意と合せて、労働時間の延長や休日の削減等の合意もなされており、これに反対する統一した闘争を準備している。産業・運輸・一般労組は、政党からの独立を掲げている。女性センターは「女性労働者の尊厳」をテーマに出版活動や文化的活動にも力を入れている。96年に結成された輸出加工区労働者・労働者評議会共同委員会は、労働組合としての承認に向けて前進している。伝統的な労働組合運動とは違い、コミュニティーを基盤とした活動を行っている。スカイスポーツ社(ドイツ資本)の争議では、多くの国際的な支援を得た。

     

     インド

    前回の総会の後、96年9月にカルカッタで最初の全国会議が開かれ、国内委員会の活動が始った。97年2月にはカルカッタで環インド洋会議が開かれ、APWSLの南アジアと太平洋諸国のグループも参加した。APWSLインド委員会としてメーデーのデモを組織している。今年3月には、バングラデシュから6人の労働者がカルカッタを訪問した。

     
     

    バングラデシュ

    ジュート、繊維、衣料労働者との緊密な協力関係を保ちつつ、民営化・工場閉鎖に対する闘争を展開している。労働組合の連合体であるSKOPの全国機関に4人の代表を送っている。この3年間に4回のセミナーを開催した。ケラニゴンジ地域の衣料労働者の闘争に国際的な支援を得た。ジュート労働者の「国境を越えた対話」キャンペーンを今後も継続する。

     
     

    パキスタン

    WWO(女性労働者組織)やAPTUF(全パキスタン労働組合連合)とともに、3月8日の国際女性デーやメーデーの集会・デモを組織している。APWSLの活動は、これまではラホールだけだったが、現在は5つの地方に委員会ができている。APTUFの本部の強制撤去に抗議する国際的な連帯をよびかけた。ILOの児童労働問題の会議に出席。

     
     

    ネパール

    民営化を阻止しているが、いつまで阻止できるかわからない。労働法が制定されたが、まだ国王の承認がないので施行されていない。95年12月にGEFONT(労働組合総連合)の呼びかけによって開催された「階級的労働組合の国際会議」を継承・発展させるためのフォローアップ会議を開催、「プロ・ワーカー」誌を刊行。APWSLの各国グループからの報告を期待している。インドのSEWA(女性の自立的経済活動を進めているグループ)を訪問。

     

    東南アジア
     

     タイ

    経済危機の影響が深刻。工場移転、下請け制度の導入が進んでおり、繊維・衣料、電子工場で労災・職業病が増えている。パーガーメント社とイーデン社の争議に国際的な支援を受けた。5月10日(1993年にケーダー社の火災で労働者188人が死亡した日)を休日にすることを政府に要求してきたが、今年から実現した。スズキの労働者の日本訪問で、日本の労働者と交流ができ、大きな成果があった。

     
     

    マレーシア

    工場閉鎖、人員削減が続いている。ハリス・アドバンスト・テクノロジー社では、労働組合の承認、団体交渉権を要求してピケット闘争を計画している。99年の1月24日までに承認されない場合、ストライキに入る。APWSLの支援を訴えたい(ハリス社の労働組合は、電子産業で初めての労働組合。会社側は、会社の名称を変更することによって労働組合の登録を無効にするという策動を行ってきた)。

     
     

    フィリピン

    経済危機に対して、労働組合が対応する戦略を打ち出せていない。TUCPとLACCは経営団体との「社会的協定」を結んだ。最近のフィリピン航空の争議で、組合側は経営者および政府の決意を甘く見ていた。結果的には、経営者の提案を完全に受け入れてしまった。APWSLフィリピン委員会は、約2年前から始まった。今年、初めてメーデーに参加した。

     
     

    インドネシア

    (新しい労働組合センター、KABIの集会のため総会に出席できず。代わりにロバートさんが報告)。APWSLに結集するグループはこれまで、ジャカルタ、ボゴール、スラバヤ、バンドンの4つの地区で労働NGOとして活動してきたが、最近、ジャカルタで工場レベルの組合を結集してKABIを結成した。KABIは、ICTUFが支援している独立労組SBSIと、左派のPRDの影響下にあるPPPIの中間に位置している。

     

    東アジア
     

     香港

    失業の増加が続いている。経営者による一方的な賃金カットや人員削減が行われている。とくに小売業が人員削減の40%を占めている。香港テレコムのような、高い利潤を上げている企業でも10%の賃金カットを導入した(これは労働組合の強い抵抗のため中止された)。反失業、職業上の健康と安全などの課題で労働団体の共同闘争が進んでいる。

     
     

    台湾

    (今回は労働人権協会が欠席。労工教育資料センターの代表だけが参加)。80年代末以降、新しい労働組合が次々と結成され、ストライキ闘争も増加してきた。しかし、依然として労働法上の制約のため、独立的な労働組合を自由に組織することはできない。

     
     

    韓国

    解雇の増加と労働組合活動家への弾圧が続いている。11月8日に「生活防衛・財閥解体・IMF反対の全国人民集会」が開かれ、各階層が結集する。
    APWSL韓国委員会は、その構成団体である労運協への弾圧などのため困難な時期もあったが、インドネシア、スリランカの労働者の受け入れ、台湾への訪問等の取組みを成功させてきた

     
     

    日本

    日本委員会からは、失業の急増、日経連の「新時代の日本型雇用」、労基法と派遣労働をめぐる最近の動き、労基法改定反対の運動、そしてAPWSL日本委員会の3年間の活動について報告した。

     

    太平洋

     
     

    オーストラリア

    97年1月に新労使関係法が制定され、これまでの労働法が廃止された。労働協約に個人契約制が導入され(労働組合の排除)、労使委員会の権限が縮小され(労使双方から要請された場合にのみ調停の権限を与えられる)、アウォード制度による最低賃金の保証が撤廃された。MUA(港湾労組)の闘いに示されるように、再活性化が始まっており、ビクトリア州では大きなストライキやデモが繰り返されている。AAWL(オーストラリア・アジア労働者リンク)は毎週30分のラジオ番組やニュースレター等で労働組合間の直接の連帯をはかっている。フィージーの鉱山労働者を支援し、ILOへの提訴に協力した。

     
     

    ニュージーランド(アオテアロア)

    雇用契約法の下での攻撃がさらに続いており、休日の変更、苦情申請のための条件、雇用裁判所の改変、新規雇用者(6ヵ月未満)の解雇の自由等の法改正が目論まれている。現時点では労働組合の抵抗によって阻止されている。APWSLの活動では、日本委員会との一連の交流が最大の成功だった。「ワーカー・ニュース」の発行を開始した。連帯行動の要請に応えて、当該国の大使館への行動を行ってきた。APWSLの調整委員と国内委員会の間のコミュニケーション上の問題があり、また、内部で対立が発生した。
       

    スリランカ輸出加工区の20年

     

    スリランカにはカトナヤケ、ビヤガマ、コガラの3つの輸出加工区があり、合計で9万3千人余が雇用されている。そのうちの70%が女性である。最も古いカトナヤケ輸出加工区は20年前に設立された。現在は約6万人が雇用されている。

    11月に開かれたAPWSL総会の第3日目(11月8日)に、カトナヤケ輸出加工区のエクスポージャー(訪問・交流)が計画された。カトナヤケ国際空港とコロンボ港に近いこの地区は、コロンボから北へ24キロ、広さが190ヘクタール。主に衣料工場だが、ほかに園芸関連、食品加工、宝石、電子部品などの工場もある。労働者および工場の関係者以外は輸出加工区の中に入れない。

    「輸出加工区労働者・労働者評議会共同委員会」は、カトナヤカ輸出加工区20周年にあたって、労働者の集会と展覧会、文化祭を準備していた。私たちは、労働者の集会の途中から参加した。約200人の労働者が集まっていた。APWSLの各国の代表が一人一人自己紹介し、短い連帯の挨拶を述べたあと、韓国のリー・スン・クゥンさんが韓国の輸出加工区での労働運動の経験について話し、9月にスリランカの労働者が韓国を訪問して韓国の労働者と交流したことを報告した。オーストラリアのデーブ・クッションさんは、オーストラリアの港湾労働者の闘争が国際連帯の力で勝利を勝ち取ったことを力強く報告した(デーブさん自身、メルボルンのMUAの執行委員で、解雇撤回・復職を勝ち取っている)。APWSLの新しい調整委員に選出されたルビナ・ジャミルさんは、輸出加工区の女性労働者たちに熱いメッセージを伝えた。

    このあと、私たちは労働者の住宅を訪問した。幹線道路の脇に、潅木や果樹が雑然と茂っている一帯に、2−3部屋ぐらいの一軒家がこれまた雑然と建っている。1部屋は8−10畳ぐらいだろうか。そこで4−5人が共同で生活している。ちょうど日曜日だったので、私たちが写真を撮っていると、たくさんの労働者が外に出てきた。あちらこちらで快活な笑い声が上がる。

    展覧会は、近くの公民館のようなところで行われていた。輸出加工区と労働者の20年間をイラストで描いた大きなデコレーション、写真・新聞記事等の展示のほか、3つのテントが設けられていた。最初のテントからは時々、数人の女性が泣き叫ぶ声が聞こえてくる。中に入ると、一人の若い女性が天蓋のついたベッドに横たわっていた。劣悪な労働条件のために亡くなった仲間を思い出すための寸劇のようだった。次のテントには、3畳ぐらいのスペースに4人の人形が寝ていて、その上に洗濯物が吊るされている。労働者の住宅事情を説明しているのだろう。最後のテントは、一見お化け屋敷のようだった。中に入ると、白い衣装をまとった女性がわめき続けている。時々背広・ネクタイの紳士が登場し、何やら怒鳴り、それにその女性が食って掛かっている。言葉がわからないので想像力を働かせるしかないが、女性の形相から見て、相当にシビヤーなことがあったのだろう。

    会場で、争議中の労働者たちとの交流の機会があった。レイオフに反対して数カ月前からストライキに入っているという。彼女たちの多くは、加工区での仕事は当初の期待と全く違っていたと言う。リーダーの一人は、将来の夢は退職金をもらって、故郷に帰って、自営業をすることだと語っていた。

    夜は文化祭。労働者のリーダーや活動家が30人ほど、歌と踊り、それに2つの劇を演じた。工場での生活を描いた劇は、労働者の一団と経営者との掛け合いで、爆笑また爆笑。最後は病気か災害で1人の労働者が倒れて、あとの全員が、仕事を続けるように懇願する経営者に一言叫んで退出していく。あまりの熱演だったので、翌日に演じていたリーダーの一人に会った瞬間に吹き出してしまった。もう1つの劇は「西暦3000年」というタイトル。重装備の軍隊のような一団と、ぼろぼろの格好をした村人の一団と、神か聖人のような女性とその連れが、何やら派手なアクションを繰り広げる。どちらも3ヵ月間にわたって、残業の後や休日に練習を積んだという力作。言葉がわからなかったのが残念だったが、観客である現場の労働者たちとの一体感が十分に伝わってきた。労働者たちの演技の合間には、プロの歌手が続々と登場して、持ち歌を披露した。観客は500人近くだった。最後の劇が終わったのは夜の10時だった。

     

    このイベントを主催した「輸出加工区労働者・労働者評議会共同委員会」は、96年6月に結成された。APWSLに参加しているスリランカの労働組合や女性労働者グループは、輸出加工区の労働者の組織化に重点を置き、輸出加工区における労働組合結成の権利を一貫して要求してきた。以下は、APWSL総会に提出されたレポートの要約である。

    現在、政権を握っている人民連合は、94年の選挙で輸出加工区における労働組合の承認を公約していた。それによって多くの労働組合の支持を受けて勝利したのである。しかし、人民連合は政権に就いた後、外国資本の圧力によってこの公約を反故にし、労働組合の代わりに労働者評議会を設立することを提案した。

    労働者評議会は労働組合ではないが、労働者たちは日々の問題を解決するために、また労働組合結成に向けた一歩として労働者評議会を設立した。現在、カトナヤケ輸出加工区の26の労働者評議会が共同委員会に結集しており、2万5千人が組織されている。最近、ビヤガマ輸出加工区でも共同委員会の組織化が始まった。

    輸出加工区を管理している投資委員会(BOI)のガイドラインによると、BOIによって承認されたすべての企業に労働者評議会が設立されなければならない。各工場で2年ごとに、労働者は秘密投票で10人の代表を選出する。労働者評議会が協議事項を書面で提出し、協議を要求すれば、経営者は30日以内に協議を準備しなければならない。交渉によって解決しない場合、労働者評議会は投資委員会の労使関係部に提訴する。それでも解決しない場合は労働省の労働委員に提訴できる。経営者は労働者評議会の会議のために、評議会メンバーに月2時間の就労免除を提供しなければならない。ストライキによって要求(解雇撤回など)を勝ち取った労働者評議会もある。その一方で、労働者代表の選挙に経営側が干渉する例や、BOIのガイドラインに反して労働者評議会の設立を認めていない企業もある。

    労働者評議会の活動は工場内に限定されている。共同委員会は、この制約を克服する試みであり、輸出加工区内の労働者評議会の協力と連帯を目指している。共同委員会の9人の役員のうち5人が女性である。共同委員会は、要求の獲得のための支援のほかに、リーダーの育成、ニュースレターの発行(隔月)、メーデー、最低賃金引き上げのための署名運動などの活動を行ってきた。スカイ・スポーツ・ランカの労働者の支援(争議の経過については「リンクス」誌第24号に掲載されている)のための全国的・国際的キャンペーンが現在も続けられており、香港資本のボンアドベンチャー工場では工場閉鎖と5000人の解雇を阻止した。今年、共同委員会はBOIに15項目の要求を提出した。最低賃金を月3000ルピー(約6000円)に、年7日の病休、工場閉鎖時の補償、交通手段、水道の整備、レジャー設備、通りの照明、女性警官を含む警察官の巡回警備、輸出加工区の労働者に対する社会的偏見の一掃、労働者評議会の権利の拡大等である。大統領によって任命された作業委員会は最近、これらの要求の一部を受け入れた。


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