2008年4月11日、すでに退去強制令書が発付されているものの、あきらめずに在留特別許可を求める6カ国(フィリピン、中国、ミャンマー、パキスタン、ペルー、スリランカ)・16家族(58名)が、入国管理局に対し審査の見直しを願い出る再審情願を一斉に行いました。この家族たちは、日本で生まれ育った子どもたちが母国に送還されると教育の機会を失う、難民性があり送還されると命の危険がある、などの理由で再度審査を願い出たのです。
当日午前9時半、58名のうち、収容されている4名を除く54名は、APFSのスタッフと弁護士(在特 弁護団からは村田、山田両弁護士が参加、ほかにすみれ法律事務所の佐治史規弁護士、中村孝史弁護士らが代理人として参加した)に付き添われ東京入国管理局審判部門へ向かいました。東京入国管理局側は2名の特別審理官が対応し、16家族の再審情願書をすべて受け取りました。提出に立ち会った家族たちは一様に、現在の窮状を涙ながらに伝え、裁決後に状況の大きな変化があったこと、あるいは裁決にあたって重大な見落としがあったことなどを訴えました。
情願書の提出後、東京入国管理局側に対して本日の一斉情願行動について話し合いを持ちたいと要望をしたところ、上園統括審査官が東京入国管理局を代表して対応することになりました。APFS側は司法による救済が困難な中で、退去強制が執行されれば、子どもたちにとって大きな不利益が生じること、また難病に苦しむ人を送還することは人道上許されないことなどを訴え、今回の行動の趣旨などを伝えました。こうした要望に対して上園統括審査官は「書面は受け取った。再審を開始する方向で検討する」と明言しました。
午後は全員で法務省に向かいました。APFSからは山口代表、吉田事務局次長、吉成相談役ら4名が、法務省からは木村入国管理局審判課補佐官、加藤剛審判課係長ら3名が出席し話し合いがもたれました。なお、いつものことですが、この日も法務省側は在特弁護団の村田敏弁護士を初めとした代理人弁護士の同席を拒否してきました。理由は当事者及び当事者の代理人である弁護士は直接利害に関係するので話し合うことはできないというものでした。申入れではまず要望書を手渡し、さらに16家族の再審を開始すべきであるとの嘆願書5000余筆分を審判課補佐官に渡しました。この席で法務省側は、「再審情願の基準作りなどは今の段階では考えていない。あくまで個別の案件ごとに考えている」というお決まりの言葉をくり返しましたが、一方でここ3年間の再審情願件数に関する最新のデータを開示してきました。
今回の行動は司法などの救済の道が閉ざされてしまった16家族のやむにやまれぬ行動です。再審を求める理由は個々の家族によって異なっており、全体がまとまって行動することには様々な困難が伴いますが、目的は一つ、再審を開始させ、在留を認めさせることです。今後も引き続き在留特別許可をもとめて行動を起こしていきます。
ご支援のほどをどうぞよろしくお願いいたします。
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