2005年5月1日のメーデーは日曜日でした。ゴールデンウィーク真最中のこの日、板橋区グリーンホール601号室で毎年恒例のAPFS定期総会と「移住労働者のメーデー」が大々的に同時開催されました。
午後2時を過ぎるころから続々とAPFSメンバーが会場に集まってきます。さまざまな困難をものともせず都内だけでなく、千葉県や茨城県、群馬県など遠方からやって来た会員も多く見受けられました。
午後3時、第19回定期総会がスタートしました。議長を山口智之事務局次長、書記を吉田真由美運営委員が務めます。アメリカ国籍のレイナ・ルセンコさんが英語通訳です。
まずは吉成勝男代表の開会挨拶。現行の摘発−送還政策を批判しながら、「日本経済の功労者である非正規滞在者のためも頑張っていきましょう。本日の総会とメーデーを成功させましょう」との力強い挨拶で総会が幕を開けました。続いて、津川勤副代表から議案提案が行われました。議案は昨年度1年間を振り返って十分な力を発揮できなかった幾つかの点を反省する事から始まり、今年度は組織としての再出発をかけて飛躍をとげよう、との提起がなされました。
質疑応答では、会場から「自分の問題が解決したらAPFSに顔を出さなくなるのでは意味がない。APFS会員としての自覚を持とう」という積極的な声が聞かれました。
会計報告および予算案提案では昨年度の会計担当が不在となったため吉成代表が再び登壇しました。現在のAPFS財政基盤はこれまでになく厳しいものです。摘発強化政策による相談者数の減少、助成金の打ち切りなどで、収入は激減しています。会員の会費納入とカンパの要請が強く訴えられました。
その後、役員選出へと移ります。
基本的には昨年度役員と変わりませんが、運営委員であった2名(ともにバングラデシュ国籍)が入管法違反で摘発されてしまったため、運営委員が12名から10名に減ってしまいました。その代わり、新たに鈴木江理子さん(一橋大学)とソー・ウィンさん(ビルマ国籍・雑誌「エラワン・ジャーナル」発行者)の2名が新たに顧問として役員に選ばれました。
閉会の挨拶はアノアール事務局長(バングラデシュ国籍)が行い、定期総会は盛況のうちに終了しました。
30分の休憩を挟み、午後4時30分から第15回「移住労働者のメーデー」開催です。
参加者はバングラデシュ、フィリピン、ビルマ、イラン、パキスタン、ネパール、ペルー、ナイジェリア、韓国、アメリカ、スェーデン、日本という12カ国、100名を数えるにいたりました。オレンジ色のAPFS旗で華やかに彩られた会場にはマスコミの取材も入っていました。
司会は白取芳樹運営委員、服部アンパーロさん(フィリピン国籍)が務めます。開会の挨拶は在留特別許可を求めて家族で出頭し裁決を待っているフィリピン国籍のアシアさんです。
続いて連帯のメッセージ。常日頃からAPFSと深い付き合いのある緒団体・諸個人から熱のこもった連帯発言が続きました。民主党島田久衆議院事務所から政策秘書の大竹政一さん、社民党板橋区議の遠藤千代子さん、ジャパン・バングラデシュ・ソサエティでAPFS医療顧問でもあるシェイク・アリム・ザマンさん、ビルマ民主化を目指すモウタウチェ・グループのゾウ・ミン・トゥンさん、川口市を中心に活動するフィリピンのグループ、カフィン、東京都労働相談情報センターの坂本孝夫さんが心のこもったアピールを寄せてくださいました。
基調報告は山口事務局次長が行いました。メーデーのそもそもの意義から話しが始まり、国境を越えた労働者の団結の必要性や日本の戦争国家化に断固として反対しよう、という提起が会場に響きました。
次は在留特別許可を求めている当事者のアミネ・カリルさん(イラン国籍)、ウォンさん親子(フィリピン国籍)が挨拶。「皆さん、応援を御願いします」と述べこれに全員が拍手で応えます。
そして決議文を採択。運営委員のアブル・カラムさんと吉田真由美さんがそれぞれ英語と日本語で読み上げます。
その後の交流会ではバングラデシュ音楽グループ「ウットロン」の演奏やフィリピンのダンスなどを楽しみながらお酒とフィリピン風ビーフンやバングラデシュの炊き込みご飯ビラニで大いに盛り上がりました。
最後は、運営委員トタ・ミアさん(バングラデシュ国籍)の閉会挨拶および「団結ガンバロー」で熱気に包まれた「移住労働者のメーデー」は終了していきました。
今は移住労働者にとり、とても厳しい時代ですが、皆の力を合わせれば困難を乗り越えていける、と確信できたメーデーでした。
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