声 明 文
昨年9月21日に在留特別許可を求めて出頭したバングラデシュ国籍の長期滞在者7名は、違反調査終了後の同年11月26日に収容令書が発布されて東京入国管理局内に収容、以後、違反審査・口頭審理を経て裁決を待っていましたが、彼ら全員に在留特別許可を認めない旨の裁決−退去強制令書が発布されました。
そしてその後間髪を入れず本日午前、全員がビーマン航空機にてバングラデシュへ強制送還されるという信じがたい事態が出来しました。
今回の強引な退去強制執行はこれまでになかった異例の事態であり、驚愕とともに、胸底から湧き上がる憤りを禁じえません。私たちはこの処分と執行を身体中が震えるような怒りを込めて弾劾します。
そもそも退去強制令書発布と同時にその執行を行うということは、事前に国費で航空券を購入した計画的強制送還であることを意味しており、入管側はどうあっても彼らを日本から追い出そうと予め怠りなく計画を練っていたわけです。そして不意打ちで全員を成田空港に連れ出し無理矢理飛行機に押し込んだのです。なんという卑劣な行為でしょうか。退去強制令書発布処分および執行は坂中英徳東京入国管理局長による判断と推断されますが、坂中局長と執行行為に加担した入管職員は人間として最低限の恥を知るべきです。
7名は裁決後、帰国準備の猶予も与えられず、支援団体や身元保証人に連絡をとることすら許されずに隠蔽されきった状況の中、十数年暮らし続けた日本をあとにしました。彼らは彼らの愛した日本から人知れず追われたのでした。7名の無念と今後彼らを待ち受ける過酷な運命に思いをはせると、胸が張り裂けんばかりです。
彼らは全員、不許可になった場合に再審情願の提出や退去強制令書発布処分の取消しを求める行政訴訟の提起を検討していました。しかし今回の強制送還により、そうした救済手段の機会一切が奪われてしまったのです。これが重大な人権侵害であるのことは間違いありません。違法、違憲の可能性が大きいといえます。
この尋常ならざる即時強制送還は、はからずも東京入国管理局および坂中英徳局長が外国人の人権を一顧だにしない差別・偏見意識に満ち満ちた存在であることを満天下に示しました。そしてまた、世論に影響を与えそうなケースに対しては、問題が大きくなる前に強制送還という「奥の手」を使い事態の収拾を図るという前時代的かつ人道的配慮を著しく欠いた入管行政のあり様をも明示したのです。
私たちは今回の事態を重大な人権問題であるととらえています。このような非人道的強制送還が慣例化されるようなことがあってはなりません。私たちは時代に逆行した東京入国管理局の蛮行を絶対に許しません。
2005年1月21日
ASIAN PEOPLE'S FRIENDSHIP SOCIETY (APFS)
在留特別許可を求める長期滞在外国人を支援する会
|